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お前はもう死んでいる…借金返せない国民の悲惨な未来=「鶉衣」(3)

江戸中期の俳人、横井也有の「鶉衣」(岩波文庫上・下巻、堀切実校注)シリーズの3回目は、「借物の弁」(前編中二四、上巻107~111頁)です。借りたものは返さなければならないのは世の常ながら、とんずらこく奴ぁ多いのが実態で鼻持ちなりませんよね。ああいやな世の中だ。借りたものが誰でも使えるものならいいが、人によっては命に匹敵する大事な物である場合もあるからさあ大変。畢竟、物の貸し借りなんざしないのが賢明なのかもしれません。人と人との間に於いては「禍根」を残すしかないのでしょうから。。。

久かたの月だに日の光をかりて照れば、露また月の光をかりて、つらぬきとめぬ玉ともちるなり。むかし1)何某のみことの、このかみのつりばりをかり給ひしより、まして人代に及んで、一切の道具を借るに、かすものもたがひなれど、2)の挽臼のといへるたぐひは、かすたびに背ひきく、鰹ぶしはかりられて、痩せてもどるこそあはれなれ。金銀ばかりは徳つきて戻れば、もとかる事のかたきにはあらぬを、かへす事のかたきより、今は借る事だにたやすからず。

むかし男ありて、身代もならの京春日の里にかす人ありて、かりにいにけるより、やごとなき雲の上人も、かりだにやは君は来ざらんと、露ふか草のふか入り給へば、鬼のやうなるものゝふも、霜月3)よりはA)地蔵顔して、人にたのむのかりがねは、尾羽うちからして、春来てもこし地にかへらず、かりの宿りに心とむなと人をだにいさむる出家達も、借らでは現世の立ちがたきにや。C)二季の台所には掛乞の衆生来りて、色衣の長老これが為にをがみ給へば、又ある寺には有徳の知識ありて、これはこちらからかしつけて、きりの算用滞れば、貧なる檀房を4)カシャクし給ふ。かれもこれも共に仏の御心にはたがふらむとぞ覚ゆる。

そも顔子は5)ロウコウにありて、いかきのめし6)ヒョウタン酒に、貧の楽をあらためずとや。さるを今世の人々借金の山なして、「是を苦にすれば限なし、百までいきぬ身を持ちて、さのみは心をかなしめむや。一寸さきはやみの世ぞ」と、7)ホウゲンに腹うちたゝきて、「我は貧に安んじたり」など、おなじ貧楽の引ごとにいふは、やるせなき心のはらへならめど、まことは雲水の間違なり。なべて世にある人の衣服・調度をはじめて、人なみならねば恥かしとて、そのためにかねをかりて世上の恥はつくらふらめど、人の物をかりてかへさぬを恥と思はざるは、たゞ8)ケイセイの客にむかひて、飯くふ口もとを恥かしがれど、うそつく口は恥ぢざるにおなじ。

かくいへる我も借らぬにてはなし。かす人だにあらば、誰とてもかりのうき世に、金銀・道具はいふに及ばず、かり親・かり養子も勝手次第にて、女房ばかりはかりひきのならぬ世のおきてこそ有がたきためしなれ。

かる人の手によごれけり金銀花



我利我利亡者とは金に執着する輩のことを言いますが、人に金を貸して何倍もの利息をせしめようという浅はかな魂胆が見え見え。簡単に金を貸してくれる奴ほど罠を用意しているものです。安いものにはわけがある。人並みに生活したいが金は無し。金が無いなら痩せ我慢すればいいものを、簡単に貸してくれる人がいれば泣きついてしまうは悲しい性。こうして人は身を持ち崩すのです。有り難いお経を唱える僧侶とて例外ではありません。借りる方、貸す方にも回り、仏の教えと違うことを平気でやっている。親や子供ですら貸し借りの横行する時代、里親養子のことを言うのでしょうが、女房だけは借りてくるわけにはいかないと也有は言いますが、いまや偽装結婚もある時代です。也有の時代とは明らかに異なるのは人類の進歩なのか後退なのかはいさ知らず。いずれにせよ、金は貸し借りに於いて人の気持ちを汚してしまうことになりますね。簡単には貸し借りはせぬが無難。也有が詠んだ最後の句はそうした戒めが籠められていると思います。

昨今は人の貸し借りよりも国家財政の貸し借りが世の中を苦しめています。財政赤字と言う奴で、欧州のギリシャはもとより米国債務問題が最大の関心事。S&Pという訳の分からん格付け会社にいいように翻弄されて金融市場がズタズタになろうとしています。とはいえ、返す当てもないのに徒に借金を膨らませて国民、いや選挙民にばら撒いた政治家の浅はかさが問題なのでしょう。経済対策=票目当てのばらまき政策。他人の国のことではありませんよ。わが日本、他人事ではないのです。米国債格下げで円高となっていますが、いずれ日本国債格下げ(すでに下げているので一段の下げ)によって債務不履行が現実のものとなればマーケットは回復不能になるかもしれません。

大震災の復興財源も借金をあてにする向きが多い。用は返す当てもないのに将来世代へのつけの先送りなのです。目先の安逸のために麻薬をうつだけ。消費増税の議論を忌避しようというばかどもしかいない政治の世界に未来を託すことは出来ないでしょう。借金はここぞという効果的な場面でこそやるべきで、金がないなら何もしない方がまし。それでも必要なら、みんなで出し合って助け合うのが筋。そう、いまこそ国民全員が一丸となれる雰囲気作りが求められている。それが増税だと言いきるつもりはありませんが、その議論から逃げる奴らも信用は出来ません。日本が真の復興を遂げ新たな国家に生まれ変わるチャンスでもあるのです。

みずみす逃してはいけませんな。借りたものは返さなければならない。返せないなら借りてはいけません。返す手段はみんなでやりましょ。こんな簡単な筋立てすら書けず、演じきれない国民……おねだりする時は票をあげるからと穏やかな顔するくせに、返す時には仏頂面で選挙落とすぞとしか言えない低能国民。。。。「お前はもう死んでいる」-。どこかの漫画のセリフを言われてからではもう遅いんだがね。。。。


■下線部A)に関係する次の諺で(   )を完成せるとともに、意味を記す一方で下線部Bの漢字を訓め。

借りる時の地蔵顔、B)す時の(   )。

■下線部Cを解釈せよ。



問題の正解は続きにて。。。







■(   )=閻魔顔(エンマガオ)。借金をたのむ時には穏やかな顔をし、返済する時には不機嫌な顔をするたとえ。「済す」は「なす」。返済すること。「地蔵顔」は「恵比須顔」や「大国顔」ともいうが、閻魔顔はこれしかない。「済す」は「返す」と置き換え可能。

■盆・暮れの二度の節季になると、掛け売りの代金を取りたてる借金取りがやってくる。→「掛乞」(かけごい)は借金取り。「掛取り」(かけとり)、「掛集め」(かけあつめ)ともいう。

1) 何某=なにがし。人・物・時・所など、はっきり分からない時に用いることば。また、わかっていても、わざと暈して言う時に用いる言葉。「某」の一字でも「なにがし」。

2) 砥=といし。切れ味が良くなるように、刃物をとぐための石。砥石とも書く。

3) 比=ころ。ころおい。~そのころになって。

4) カシャク=呵責。とがめしかる、きびしく責めしかる。「カセキ」とも。苛責・訶責とも書く。呵叱(カシツ)・呵譴(カケン)も同義語。

5) ロウコウ=陋巷。貧しい裏町など、せまくてむさくるしい町筋。「陋」は「せまい」。

6) ヒョウタン=瓢簞。酒を入れるヒサゴと、飯を入れる竹の器。ヒョウタンの実をくりぬいて酒などを入れる器。「瓢」は「ひさご」「ふくべ」の和訓があり。

7) ホウゲン=放言。勝手気儘に話す、言いたい放題に言う。無責任なことば。

8) ケイセイ=傾城。君主が色香に迷って、自分の国をあやうくするほどの女性。絶世の美人のこと。ここは単に遊女のこと(美人かどうかは問わない)。
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Author:char
不惑以上知命未満のリーマンbloggerです。
言葉には過敏でありたい。
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2006.3  漢字学習スタート
2006.6  2級合格
2006.10 準1級合格
2007.10 1級合格①
2009.2 1級合格②

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