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トイレで紙がない時あなたはどう拭く?=「飛騨の山と越の海」(41)

遅塚麗水の紀行文集「日本道中記」(近代デジタルライブラリー所収)シリーズから、「飛騨の山と越の海」の41回目です。今回の余話は飛騨の食べ物。一部の地域を除いて山間部のやせた土地の多い土地柄ですから、食べ物も貧しいのは致し方なし。

二〇 食物


 高山、船津、古川、其の他の二三の1)メイユウを除けば、文久ツウホウ、寛永ツウホウ日常の2)ツウホウたるなり、米飯は3)セイキャクにあらざれば饗せず、食ふところの飯は稗と麦、若くは黍と麦とを4)和炊したるもの、中流以上の家といへども、米に稗と麦、若くは米と粟と麦とを等分に和したるものを食ふ、之れを三分飯といふ、其の生活の5)テイドなるは、あ)圊に上りて矢を揩浄するに木片を以てするを見ても知るべし。



下線部、あ)を解釈せよ。

文久通宝、寛永通宝とも江戸時代に流通した貨幣。混ぜ物が横行し価値が低い。これがいまだに流通しているのが飛騨地方だというのです。米も簡単に口にできるわけではありません。よほどの御馳走を食べる時でないと出せない貴重な物。通常は、稗と麦のブレンドか、黍と麦のブレンドが主食です。中流家庭でも「三分飯」というのがせいぜい。すなわち、「米に稗と麦」、あるいは、「米と粟と麦」のイコールブレンドなのです。そして、最後にトイレの描写。麗水にとってはかなりのショックだったようで、今回の旅で何度か見かけており記述しています。みっちゃんみちみち○○○して、紙がないから、手で拭いて、、、云云の子供のころに口ずさんだ莫迦歌の一節を思い出しました。人間の生活水準を計るうえでは排泄場所の風習は馬鹿に出来ないですよね。中国でもドアがないと聞くと吃驚しますもん。麗水は聊か侮蔑的に見ているようです。この項はもう一回続きます。


あ) 「トイレに入っておしりをふくのに木片を用いる」。以前も出てきた表現です。麗水お気に入りでしょうか。「圊」(セイ)は「かわや」の意。問題は「矢」。「シ」と読みます。これはややお下劣ですが、「直線状で短いくそ」のこと。「屎」と同義です。馬矢(バシ)は「馬糞」。荘子・人間世(ジンカンセイ)に「夫れ馬を愛する者は筐を以て矢を盛り……」(そもそも馬をかわいがる者は、小箱で糞をうけてやり…、「筐」は「竹細工の小箱」)とあります。「揩浄」は「きれいにあらうこと」(以前もそうでしたが、本文では「楷」と誤っており正しておきました)。飛騨地方の風習なのでしょうが麗水は紙の無い田舎だと見下しています。

1) メイユウ=名邑。その名が轟く村・町。「邑」は「むら・まち」。

2) ツウホウ=通宝。唐代以降の貨幣につけられた名前。世間に通用する貨幣の意。

3) セイキャク=盛客。りっぱな客。もてなすに値する上客。「盛」は「とうとい、立派」の意。辞書には記載がありません。

4) 和炊=カスイ。まぜて炊くこと。「和」は漢音では「カ」。「成分の異なるものをうまく配合する」の意。和氏之璧(カシのヘキ)。

5) テイド=低度。水準の低いこと。「程度」ではない。引っ掛け。
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2006.10 準1級合格
2007.10 1級合格①
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