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生きていれば地獄よりましなのか?死んだ方が楽なのか?=「飛騨の山と越の海」(34)

遅塚麗水の紀行文集「日本道中記」(近代デジタルライブラリー所収)シリーズから、「飛騨の山と越の海」の34回目は、「一四 夜の日本海」のその4です。船上の客たちは宛ら戦場の生ける屍状態。何時なんどき死に至るかどうか分からないのです。そんな中船長だけは余裕を見せながら冗談ばかりかまします。


 1)る中にも水夫どもは流石に健気なり、『一層吹くなら唐天竺へ、持つて往つてお呉れよ此の船を』など歌ひながら打ち働きぬ、お客さん此の風雨ぢア、佐渡へ行かなきやならないよ、地獄へ往くよりまだ増しだろうなど。

 頼み少なの船長の言を聞きては、息ある屍とばかり2)チンセキし居たりし乗客は一斉に起き上りて、船長さん、大丈夫かね、低き、太き、3)れたる、濁りたる、疳走りたる声は暗中より起りたり、難船するまでは大丈夫ですよ、と高けれど力なげなる笑声を残して、手にせる丸き4)ケイトウの、宛がら流星のごとく5)の方へ走り行く、風は愈々急なり、帆柱も弓と曲りて、雲怖ろしき天を6)ムチウつばかりならんとぞ思はれたる。



風に流されて佐渡ヶ島に着いてしまうと船長。地獄よりはましだとは生きていればのこと。生きてさえいれば未来はある。。。のかどうか昨今の状況からして確かなことは言えないのがもどかしく怖ろしいです。いっそ地獄に行った方が楽なのではないか。そんな自暴自棄の言葉すらはいてしまう。兎に角、自然の猛威にひれ伏すしかない人間は、その猛威が収まるのを待って復旧、復興に向けて起ち上がり、進み続けなければならないのです。ただ、生きるための希望がほしい。。。


それよりも何よりも今は、余震はもう勘弁してほしい。。。。


問題の正解は続きにて。。。






1) 斯る=かかる。このような。

2) チンセキ=枕籍。かさなりあうようにして寝る。枕藉(チンシャ)とも。枕骸(チンガイ=かさなりあった死体)、枕簟(チンテン=まくらとむしろ、寝具のこと)。

3) カれたる=嗄れたる。声がかれる、かすれる。音読みは「サ」。嗄声(サセイ=しわがれ声)。

4) 舳=みよし・へさき・とも。「へさき・みよし」は「ふねの先端の突き出た所」。「とも」は「ふねの後尾」。意見すると矛盾しているようですが、実は両方とも正解です。ただし、元来、中国の用法は「へさき」。後から日本で誤用として「とも」にも使われるようになったことは押さえておきましょう。基本は「へさき」です。舳艫千里(ジクロセンリ)・舳艫相銜(ジクロあいふくむ)はいずれも「多くの船が前後に連なって進む様」。

5) ケイトウ=携燈。携行用のポータブルライト。

6) ムチウつ=鞭つ。むちでうって進むように励ますこと。音読みは「ベン」。鞭捶(ベンスイ=うまをうつむち、むちうち、鞭策=ベンサク=)、鞭尸(ベンシ・シにむちうつ=しかばねにむちうって、うらみを晴らす)、鞭杖(ベンジョウ=むちや棒でうつ、むちうちの刑)、鞭声(ベンセイ=むちをあてる音)、鞭撻(ベンタツ=むちでうってせきたてる、励ます)、鞭笞(ベンチ=むち、むちで苦しめひどいめにあわせる)、鞭辟(ベンペキ=身分の高い人の通る道をあけるために、むちで民衆を追い散らしていくこと)、鞭撲(ベンボク=むちでうちすえる、むちうちの刑)、投鞭断流(ベンをトウじてながれをたつ=むちを投げ込んで流れをせき止める、人馬が多く兵力が強大であることのたとえ)、鞭長莫及(むちながけれどおよぶなし=むちは長くても馬の腹までは届かない、勢力が強大であってもまだ思うに任せないことがあるたとえ)。
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Author:char
不惑以上知命未満のリーマンbloggerです。
言葉には過敏でありたい。
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2006.3  漢字学習スタート
2006.6  2級合格
2006.10 準1級合格
2007.10 1級合格①
2009.2 1級合格②

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