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一日も早い「イゼン」状態を取り戻したい…=「飛騨の山と越の海」(21)

遅塚麗水の紀行文集「日本道中記」(近代デジタルライブラリー所収)シリーズから、「飛騨の山と越の海」の21回目です。高山に到着した麗水は、鴨川、東山、嵐山、あたかも小京都然とした町に束の間の安堵感、まるで我が家に帰りしかのような安らかな心地に浸ります。忙中有閑。本日も明日も計画停電はなしです。

九 高山の一夜

 翌四日、今日も晴れたる日なり、六時半三日町を発し、八時高山に入り、旅館に投ぜり、町は東西十町余、南北十有八町、1)シボウ三十五、戸数四千人口一万七千を有する大市にて、岐阜を距ること実に三十三里なり、町を貫いて宮川の清流あり、京都の鴨川に擬し、五橋を架す、東方の高岡を東山となし、豊臣氏の時金森長近の居城の墟址なる白雲山を嵐山とし、地勢稍や京都に似たるをもて小京華の称あり、2)シテンは多く石を載せたる板葺の家なれど、繁華なること山中の都会としも思われず、3)ロシュクにひとしき三日の4)リョジを歴来りし余は、恰も京に帰りたるがごとき心地したり、余の宿りし家は、客室の瀟洒、器皿の5)ガケツ、殊には美にして6)ケイなる細君の斡旋甚だ勉むるあり、人をして7)イゼンとして征途に在るを忘れしむ。




麗水は高山を「小京華」と称しています。小京都のこと。三日三晩の野宿生活。旅の疲れも吹っ飛んでいます。これまで泊ってきた宿屋は「いぶせし」と形容しましたが、今回ばかりは「瀟洒」。てえきぱきとした女主人の饗しに旅の疲れが吹っ飛び、「人をしてイゼンとして征途に在るを忘れしむ」とは痛切な響きを持っています。被災地に於いて耐乏生活を余儀なくされている方々を思うと心が痛みます。一日も早い「イゼン」を取り戻すことを願ってやみません。と同時に、これは決して他人事ではないと肝に銘じております。この項はまだ続きます。

問題の正解は続きにて。。。






1) シボウ=市坊。まち、市街地。「坊」は「町」の意。

2) シテン=市廛。まちなかの店、店のある町、市街地。「廛」は「みせ」。

3) ロシュク=露宿。屋外で寝ること。野宿、雲臥、露次ともいう。

4) リョジ=旅次。旅行の途中。この「次」は「やどる、とまる」の意。旅の間に一日だけ泊る。

5) ガケツ=雅潔。上品で清潔なさま。

6) ケイ=慧。さとい、細かく心が働きさかしいさま、気がきくさま。慧黠(ケイカツ=悪賢いこと)、慧給(ケイキュウ=かしこく気がきいて口上手なこと、便給)、慧悟(ケイゴ=知恵がありさとい、慧智=ケイチ=)。

7) イゼン=怡然。なごやかによろこび楽しげなさま。「怡」は「よろこぶ」。怡怡(イイ=心配事がなく心穏やかになごむさま)、怡悦(イエツ=なごやかなよろこび、怡懌=イエキ=)、怡衍(イエン=よろこび楽しむ、怡予=イヨ=)、怡顔(イガン・かおをよろこばす=なごやかによろこび楽しげなさま)、怡暢(イチョウ=のんびりとなごむさま)。
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2006.6  2級合格
2006.10 準1級合格
2007.10 1級合格①
2009.2 1級合格②

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