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心の欲望に打ち勝つには…最悪をシミュレーションせよ

本日の岩波文庫「菜根譚」(今井宇三郎訳注)は、強欲さが身の破滅への入り口であることを戒めます。一生を台無しにする恐れがある。だから、昔の人を引き合いに出して、欲を丸出しにするなと言います。

【前集七八】

人只一念■■、便銷剛為柔、塞智為昏、変恩為惨、染潔為汚、壊了一生人品。故古人以不■為宝、所以■■一世。

人は只だ一念1)タンシなれば、便ち剛を銷して柔となし、智を塞ぎて昏となし、恩を変じて惨となし、潔を染めて汚となして、一生の人品を壊了す。故に古人、2)ムサボらざるを以て宝となすは、一世に3)ドエツする所以なり。



【解釈】 人はほんの少しでも欲張る心を起こすと、強い気象も弱くなり、澄んだ知恵もにぶくなり、愛情も残酷な心になり、潔白な心もよごれてしまって、生涯の品格をすっかりこわしてしまう。そこで古人も、欲張らないことを宝としたが、それが俗世間を超越したわけである。

欲張りは人格を変えてしまう。「剛」が消えて「柔」に、「智」が塞がって「昏」に、「潔」が「汚」に染まり、人品が壊れ去る。少しならいいだろうとか思わない方がいい。「剛」「智」「潔」というポジティブな性格がすべてネガティブなものに姿を変えてしまう。ほどほどがいいんです。分不相応の欲を求めても禄な結果にならないからです。だから、昔の人は強欲を戒めて、清貧を宗としたのは俗世間の誘惑から己の身を守るためだったのです。あの陶淵明が田園に帰ったのもそうだというのでしょう。ある意味早々に見切りをつけた。世の栄達の空しいことを見抜き、本分に従って生きることこそ自分自身を守ることだった。物理的な隠者にならなくとも、心の中で隠者になることはできる。世の中から逃避するのではなく、世の危険から身をも守るために。。。



本日は二つ目も。そうした欲をどうすれば防げるのか。

【前集七九】

耳目外聞為外賊、情欲意識為内賊。只是主人翁、■■不昧、独坐中堂、賊便化為家人矣。

耳目外聞は外賊たり、情欲意識は内賊たり。只だこれ主人翁、4)セイセイ不昧にして、中堂に独坐せば、賊便ち化して家人とならん。



【解釈】 聞いたり見たりする欲は外部から侵入する賊で、欲情や我意は心の内部にいる賊である。ただ主人である自分さえ、さとく明らかで欲にくらまされることなく、心の中央に端坐しておれば、内外の賊はそのしもべとなるであろう。

目を閉じて耳を塞いで外の敵を防ぐ。内なる敵は心を静かに澄みきらせて安らかにしておく。そうした敵を奴隷にする。難しいですよ。誘惑は多いし、心は弱いし。水は低きに流れます。大勢に流されます。自分をしっかり持つことしかないでしょう。心の坐禅。外に振らされす、内にたゆたわせず。己を一心不乱に磨く而已。「耳目外聞」や「情欲意識」と言っているうちはまだまだ甘い。万が一、欲を出し過ぎて最悪のケースが起きたことを想定してみる、そうした事態をシミュレーションしてみるのも手かもしれません。怖くなっておのずと心は静まるかもしれません。耳も目もおのずと窒がることでしょう。


問題の正解などは続きにて。。。




1) タンシ=貪私。私利私欲をむさぼること。「ドン」は慣用読み。貪位(タンイ・くらいをむさぼる=実力もないのに地位をあせり求める、才能以上の地位にむりしてかじりつく)、貪汚(タンオ=欲が深く心がきたない、貪悪=タンアク=)、貪枉(タンオウ=欲が深く心のまがった人)、貪猾(タンカツ=欲が深くてずるい、そのような人、貪獪=タンカイ=)、貪看(タンカン=むさぼり見る、くいいるように見つめること)、貪競(タンキョウ=むさぼりきそう、欲深くて人より先に得ようとして互いに争うこと)、貪残(タンザン=欲が深くてむごい、貪虐=タンギャク=、貪酷=タンコク=)、貪色(タンショク・いろをむさぼる=女色を非常に好む)、貪生(タンセイ・セイをむさぼる=何とかして生きながらえようとする、役に立たぬ者が生きながらえる)、貪叨(タントウ=欲が深い)、貪鄙(タンピ=欲が深くて心が卑しい、貪卑=タンピ=)、貪夫(タンプ=欲が深い人)、貪冒(タンボウ=むりをしてむさぼり求める、欲深い)、貪暴(タンボウ=欲が深くてあらあらしい)、貪名(タンメイ・なをむさぼる=名声やよい評判をむりして求める)、貪欲(タンヨク・ドンヨク=自分の心の欲するものをむさぼり求めること)、貪吏(タンリ=欲深く、わいろなどを取る役人、貪官=タンカン=)、貪利(タンリ・リをむさぼる=利益をむさぼる、激しく利益を求めようとすること)、貪吝(タンリン・ドンリン=欲が深くけちなこと)、貪戻(タンレイ=欲が深く道理にそむいている)、貪恋(タンレン=ひどく物事にひかれること)、貪狼(タンロウ=えげつない欲張り根性、そのような人)、貪見(ドンケン=物事に執着しておこす、さまざまな悪い考え)、貪著(トンジャク=度を越してその物事に執着すること)、貪食(ドンショク=やたらにむさぼり食う)、貪婪(ドンラン・タンラン=非常に欲が深い)。

2) ムサボらざる=貪らざる。「むさぼる」はほかに、「愒る、冒る、叨る、墨る、婪る、毎る、沓る、渇る、牟る、翫る、餮る、饕る」などがあり、いずれも正解です。

3) ドエツ=度越。世間一般のものを越えてすぐれていること。

4) セイセイ=惺惺。心が澄み切っていてさといさま。ウグイスの澄み切った鳴き声も形容する。「惺」は「さとる」「しずか」とも訓む。
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Author:char
不惑以上知命未満のリーマンbloggerです。
言葉には過敏でありたい。
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2006.3  漢字学習スタート
2006.6  2級合格
2006.10 準1級合格
2007.10 1級合格①
2009.2 1級合格②

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