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心配の種は奥深く隠さずに適度に表に出しましょう

本日の岩波文庫「菜根譚」(今井宇三郎訳注)は、自分の思う通りになる人生、ならない人生を論じます。暴れ馬を御すにはどうすればいいか。病気がないことは果たしていいことなのかどうか。長い人生における処世訓です。

【前集七七】

泛駕之馬、可就■■、■■之金、終帰型範。只一■■不振、便終身無個進歩。白沙云、為人多病未足羞。一生無病是吾憂。真■■也。

1)泛駕の馬も、2)クチに就くべく、3)ヤクヤの金も、終に型範に帰す。只だ一に4)ユウユウして振わざるもの、便ち終身個の進歩なし。白沙云う、「人と為り多病なるは未だ羞ずるに足らず。一生病なきはこれ吾が憂なり」と。真に5)カクロンなり。




【解釈】 車をひっくり返すような暴れ馬も、御し方一つでうまく走らせることができる。鋳型から跳びはねる金も、最後には鋳型に収めることができる。ただ、のらりくらりと日を過ごし少しも奮起することのない者だけは、一生涯、進歩というものが期待できない。陳白沙が言う所では、「生まれつき多病なことは恥じることではない。むしろ、生涯無病であって、病の何たるかを知らない方が自分には心配の種である」と。ほんとうにしっかりした意見である。


どんな暴れ馬も、人間が鞭なり食べ物なりで御すことは出来ます。それが教育かもしれません。鋳型に入らない冶金だっていつかは大人しく型にはまり立派な金属になって役に立ちます。ところが、ただ徒に生ける屍のように生きているのか死んでいるのか分からない生き方をしていれば、前に進んでいると言えるのでしょうか。多少、口が先走っても自分の主張がはっきりと表に出ている人の方が人間は扱いやすい。御せるから。偶には大声で世の中の矛盾点を叫びましょう。声は出さなければ届かない。どうせ、という台詞は単なる逃げ口上にすぎません。

そして、明代の文人、陳白沙の台詞です。彼の著述である「白沙子」巻六に出て来るものですが、多少病気があった方が手の施しようがある。しかし、病がないということは実は病があることよりもっとひどいのではないかというのです。つまり、病気がちであればケアをするから大事にはならない。一見、何もないといいように思えますが、表面化した時は大事かもしれません。これは日常生活にも当てはまります。適度につまずきを経験することが注意深くさせてくれます。むろん、つまずきはない方がいいに決まっています。人生経験上、それはあり得ないとなれば、災いを転じて福と為すことは必要でしょう。表面的なことと奥深く潜行することは表裏一体です。表面上何もないと云う事は表面化した時に手遅れであることはままあります。なぜか。表面化しない限り気付かないわけですから、病状は進むだけ進むからです。こんなに恐いことはありません。ジェットコースターのようですよ。落ちる時は一気です。容赦ありません。菜根譚はこのように人間の弱さを逆手にとって生きることの大切さを教えてくれます。

人の心に痛みを知りましょう。そして、知るだけでなく、自分に置き換えて痛みを最小限に和らげることが大切です。弱さを隠さずに出しましょう。それは甘えではなくて、身を守るための方便と言ってもいい。人とかかわり、本音をさらけ出し、抱え込まない。抱え込むようなことはしない。密かに潜行することはしない。公明正大に生きることこそ長生きの秘訣です。

1) 泛駕=ホウガ。「ハンガ」ではないので要注意。「泛駕之馬」は成句で「はやってわだちの跡を踏み外し、車をひっくりかえすような馬、転じて、常軌に従わない英雄のたとえ」(漢書・武帝)。「ハン」と読めば「うかぶ、うかべる」の意。「ホウ」は「くつがえす」。泛菊会は「ハンキクカイ」で「九月九日に菊の花を酒に浮かべて飲む宴会、重陽の宴」。

2) クチ=駆馳。馬をさっと走らせる。駆は「馬をかること」。「はせまわって、人のために尽くすこと」の意もある。駆騁(クテイ=馬をあちこちに走らせること)、駆塵(クジン=馬がはやがけして舞いあがった土埃)。

3) ヤクヤ=躍冶。自分勝手にはねあがること。荘子・大宗師に「冶金踊躍」(ヤキンヨウヤク)があり、「自分が置かれている立場に安んじることができないたとえ」。つまり、るつぼや鋳型で熱し溶かされた金属が、その中ではねあがって、外へ出ようとするさまをいう。

4) ユウユウ=優游(優遊)。ゆったりとしているさま。こだわらないで自分の身を運命や世のなりゆきにまかせるさま。優游自適(ユウユウジテキ=ゆったりと気ままに日を送ること、悠悠自適)、優游不迫(ユウユウせまらず=こだわらないでこせこせしないさま)、優游涵泳(ユウユウカンエイ=ゆったりとした気持ちで学問や技芸の深い境地を味わう、論語・為政)。

5) カクロン=確論。たしかな、間違いのない議論。各論、覈論ではないですが、これが浮かぶのは
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Author:char
不惑以上知命未満のリーマンbloggerです。
言葉には過敏でありたい。
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2006.3  漢字学習スタート
2006.6  2級合格
2006.10 準1級合格
2007.10 1級合格①
2009.2 1級合格②

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