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犢鼻褌を締めたら分かる?お相撲さんのモテる秘密=「柳橋新誌」二編(14)

成島柳北の「柳橋新誌」(岩波文庫、塩田良平校訂)二編シリーズの14回目です。前回、詩経を噛ったことしかない旧薩摩藩士をぎゃふんと言わせた芸妓で胸がすっきりした続きで、柳北先生が昨今の柳橋の芸妓を俘にしている俳優ともう一つ、力士の存在を解説します。♪もしもし力士よ、力士さんよ、世界の内でお前ほど、からだのでかい物はない、どうしてそんなにモテるのか~♪柳北の云いぶりが面白く壺に嵌まります。今回は落ちがちょっとだけエロですよ。


仙史曰く、頃歳柳橋の妓俳優(シバヰモノ)に私する者多くして1)■■(スモウ)と私する者亦2)からず矣。三代吉の訥升(トツシヨウ)に於ける、小花の田之助に於ける、阿季(スエ)の高見山に於ける、同じく其の志を成す者也。千吉身を相生(アヒオヒ)に委ねて死す、相生之が為に3)コクする十日。夫れ俳優は糚飾4)トマツし、艶麗の姿5)アダの態女子と一般、妓輩6)ケンレン思慕する者固より理無しと為さず。若し夫れ力人は状貌7)■■(オオキク)筋骨鉄打(カナテコ)、雷公の如き者有り。夜叉の如き者有り。而して俳優と同じく紅裙の情客(イロ)と為る。余大に之を怪む。蓋し所謂四十八手有つて善く之を擒(イケドル)する耶、抑々相撲膏薬(スマウカウヤク)の如く粘着力有つて然る耶、余将に諸を西洋8)キュウリの諸先生に問はんとす矣。




戯訓語選択の問題

1) 「スモウ」

7) 「オオキク」


カイイ・シコ・ザンタク・カクテイ・ヘイホウ・ソウボウ






正解



1) カクテイ=角觝。つのをつきあわせること、転じて、武術の腕くらべ、力くらべをすること。「觝」は「ふれる」とも訓み、「抵抗のあるものにぶつかる、つのをつきあわせる」の意。觝触(テイショク=互いにあいいれないものがつきあたる)、觝排(テイハイ=よくないとして排斥する、排斥する)。

7) カイイ=魁偉。からだがめだって大きくてりっぱなこと。魁梧(カイゴ)・魁壮(カイソウ)ともいう。魁然(カイゼン=大きく目立つさま)、魁甲(カイコウ=科挙で首席で合格した者、状元=ジョウゲン=、魁選=カイセン=、魁星=カイセイ=)、魁岸(カイガン=からだが大きくてがっちりしている)、魁健(カイケン=非常に体が大きく、力も強いこと)。


2) 尠からず=すくなからず。「尠ない」は「すくない」。音読みは「セン」。尠少(センショウ)はマストです。同音異義語で書けるように。

3) コクする=哭する。大声を上げて泣くこと。慟哭(ドウコク)、哭雨風(コクウフウ=夏至のころ、にわかに吹いてくる南西の風)、哭声(コクセイ=大声でなく声)、哭歎(コクタン=大声で泣いて悲しむ)、哭臨(コクリン=葬式でおおぜいの人が泣く)、哭岐泣練(コクキキュウレン=もとは同じなのにのちには別々になってしまうことを嘆き悲しむ、楊子と墨子の故事から)、哭泣(コッキュウ=なき叫ぶ)。

4) トマツ=塗抹。表面的にぬりつける、ぬりつぶす。ここは白粉を塗りたくって化粧すること。「糚飾」は「粧飾」(ショウショク)で「化粧をして飾ること」。粧点(ショウテン)ともいう。

5) アダ=婀娜。なよなよとして、なまめかしく美しいさま。婀嬌(アキョウ=なよなよしてなまめかしい女の姿、そのような美人をいう)。

6) ケンレン=眷恋。思い慕う、心に思っていつも忘れない。拳攣(ケンレン)でもOK。

8) キュウリ=窮理。物事の道理をきわめつくす。朱熹の学問において極めて重要なところとされた。究理とも。「リをきわむ」とも訓読する。胡瓜ではないので要注意。




役者は芸妓にモテる。ところが、意外や意外、力士がこれまたモテるのだ。例えばということで柳北が例に挙げたのが、「三代吉」と「訥升」、「小花」と「田之助」、「阿季」と「高見山」。この三カップルは芸妓と役者・力士の組み合わせ。最初の二人が役者でそれぞれ澤村訥升(サワムラ・トッショウ)、澤村田之助(サワムラ・タノスケ)。高見山はジェシーではなくて初代高見山大五郎こと高砂浦五郎(初代)です。続いて、「千吉」と「相生」のカップル。千吉姉さんが自殺して悲しんだ明治時代で最初の幕内力士である相生枩五郎(アイオイ・マツゴロウ)のこと。それぞれ詳細はネットで調べてみてください。いずれ劣らぬイケメンで浮いた話には事欠かなかったようです。

柳北先生は、歌舞伎役者が持てるのは分かるという。きれいに化粧して艶麗の姿だから。ところが、力士だけは分からんと疑問を呈します。見るからに「筋骨鉄打」、「雷公」のようにいかつい。「夜叉」のように醜い者も多い。だのに俳優に負けず劣らず芸妓のいい男になるのはどうしてだろうか。分からん、解せぬ。頭を掻き毟って拈り出した答えがこれ。「蓋し所謂四十八手有つて善く之を擒する耶、抑々相撲膏薬の如く粘着力有つて然る耶」。いわゆる相撲の決まり手に四十八手あるが、寝床でもその「技」を駆使して芸妓を喜ばせるからであろうか?はたまた、膏薬のように粘着質のからだがぽよんぽよんと心地よいからであろうか?やっかみしてはすこしH系で柳北先生らしからぬお下劣な想像ではないか。しかし、その落ちが笑えます。ああ、これがほんとかどうか西洋諸国の科学者や思想家にでも尋ねてみたいものだわな~。最後まで力士がモテるマル秘テクが何なのか?永遠の謎だよとぼやくことしきりでした。そんなに知りたければ犢鼻褌を締めてみたら分かるかもよ、柳北先生…
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不惑以上知命未満のリーマンbloggerです。
言葉には過敏でありたい。
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2006.3  漢字学習スタート
2006.6  2級合格
2006.10 準1級合格
2007.10 1級合格①
2009.2 1級合格②

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