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摧け散る玉掻頭に血涙流す皇帝=長恨歌2

 白居易の長恨歌シリーズの2回目です。エロチックな第1段でしたが、いきなり第2段では楊貴妃の死というクライマックスが訪れます。無力な皇帝も哀れです。


27 驪宮高き処青雲に入り

28 仙楽風にりて処処に聞こゆ

29 緩歌慢舞シチクを凝らし

30 ジンジツ君王看れども足らず

31 漁陽の鼓地を動かして来たり

32 驚破すゲイショウウイの曲

33 九重のジョウケツ煙塵生じ

34 センジョウ万騎西南に行く

35 スイカ揺揺として行きて復た止まり

36 西のかた都門を出づること百余里

37 リクグン発せず奈何ともする無く

38 エンテンたるガビ馬前に死す

39 カデンは地に委てられて人の収むる無し

40 スイギョウ金雀ギョクソウトウ

41 君王面を掩いて救い得ず

42 り看れば血涙相りて流る


 27 「驪宮」(リキュウ)=「9」で登場した驪山の「華清の池」の宮殿のこと。すなわち、華清宮。「驪」は1級配当で、この場合は地名に用いられていますが、音は「リ」もしくは「レイ」で「くろうま」「くろ・い」「なら・べる」とも訓む。「驪馬」(リバ)、「驪竜」(リリョウ)→「驪竜頷下之珠」(リリョウガンカのたま=危険を冒さなければ得られないもののたとえ、出典は「荘子」)が重要成句です。「驪珠」(リシュ)ともいい、「驪竜」と呼ばれる黒い竜の頷(あご)の下にある珠玉のこと。ほかに、「驪駒」(リク)、「驪歌」(リカ)がある。皇帝が建てられた驪宮は、空に浮かぶ雲に届きそうなほど高く聳えている。

 28 「仙楽」(センガク)=天上の美しい音楽。宮中はしばしば仙界にたとえられる。「飄り」は基本訓み問題=「ひるがえ・り」。「飃る」「翩る」「繙る」「幡る」「翻る」も同じ。「飄」は1級配当で「ヒョウ」「つむじかぜ」「ただよ・う」「お・ちる」「はや・い」とも訓む。「飄石」(ずんばい)、「飄逸」(ヒョウイツ)、「飄客」(ヒョウカク=嫖客)、「飄然」(ヒョウゼン)、「飄飄」(ヒョウヒョウ)、「飄風」(ヒョウフウ)、「飄揚」(ヒョウヨウ)、「飄揺」(ヒョウヨウ)、「飄零」(ヒョウレイ)=「飄落」(ヒョウラク)=「飄墜」(ヒョウツイ)、「飄風」(ヒョウフウ)、「飄瓦」(ヒョウガ)、「飄蕩」(ヒョウトウ)、「飄忽」(ヒョウコツ)、「飄疾」(ヒョウシツ)、「飄泊」(ヒョウハク)=「飄寓」(ヒョウグウ)、「飄泛」(ヒョウハン)、「飄眇」(ヒョウビョウ)、「飄飄乎」(ヒョウヒョウコ)、「飄蓬」(ヒョウホウ→これは本番でも出そう)、配当外に踏み出せば「飄」(ヒョウヨウ=ひらひらただよいさまよう)、「飄」(ヒョウヨウ=風にはためく)。

 29 「緩歌慢舞」(カンカマンブ)=テンポのゆるやかな歌と、静かにゆったりとした舞。この場合の「慢」は「ゆるい」という意味。「慢游」(マンユウ)、「慢歩」(マンポ)。「シチク」は基本熟語問題=琴などの弦楽器と、笛などの管楽器。音楽全般も指す。正解は「糸竹」。簡単すぎて本番でも出そうでしょう?覚えましょうね。「糸管」(シカン)、「糸」(シカン)ともいう。「」は配当外で「笛などの管楽器」。「絃」(カンゲン)、「籥」(カンヤク)。「糸竹を凝らす」というのは、歌と舞の伴奏の管弦が余韻を残していつしか耳から消えていくさま。

 30 「ジンジツ」は基本熟語書き取り問題=「一日中、終日、ひねもす」の意味で、正解は「尽日」。大晦日の意もあるが、ここは取らない。皇帝が音楽や舞を御鑑賞されていても飽きることがない。

 31 「漁陽」(ギョヨウ)=安禄山(アンロクザン)が節度使(セツドシ、地方長官のこと)として赴任した地。現在の北京郊外。安禄山は755年、唐王朝に対して反旗を翻し転覆を狙って反乱を起こし、自ら皇帝を僭称した。「鼓」(ヘイコ)=騎兵が馬上で打ち鳴らすための太鼓。転じて、戦争の勃発を象徴する言葉。「」は配当外で「こづつみ」とも訓む。その時、突如として漁陽の地方から攻め太鼓の音が地響きとなって押し寄せてきた。安禄山が反乱を起こして攻めてきたのだ。

 32 「驚破」(キョウハ)=驚かす。この場合の「破」は強意の助字。「おどろかす」はほかに、「駭かす」「顫かす」「懼かす」「慫かす」「怛かす」「咢かす」「愕かす」もあるので序でに頭の片隅に入れておきましょう。訓めればいいんです。「ゲイショウウイ」は1級配当基本四字熟語=うすい絹などでつくった、女性の美しくて軽やかな衣裳のこと。また、舞曲の名。天人を歌った西域伝来のものをいう。楊貴妃はこの舞が得意だったという。正解は「霓裳羽衣」。このうち、「霓」(ゲイ)が1級配当で「にじ」と訓む。「にじ」にも雌雄があって「虹」が雄、「霓」が雌と考えられた。配当外では「」。「霓旌」(ゲイセイ=天子の儀仗の旗)。

 33 「ジョウケツ」は1級配当絡みの書き問題=「九重のジョウケツ」で、天子のいる宮城を指す。正解は「城闕」。「闕」(ケツ)は1級配当で「もん」「か・ける」「のぞ・く」と訓む。「闕掖」(ケツエキ)、「闕下」(ケッカ)、「闕画」(ケッカク)=「闕筆」(ケッピツ)、「闕疑」(ケツギ)、「闕字」(ケツジ)、「闕失」(ケッシツ)、「闕如」(ケツジョ)=「闕焉」(ケツエン)=「闕然」(ケツゼン)、「闕所」(ケッショ)、「闕殆」(ケッタイ)、「闕廷」(ケッテイ)、「闕庭」(ケッテイ)、「闕腋」(ケッテキ)、「闕文」(ケツブン)、「闕本」(ケッポン)、「闕里」(ケツリ)=「闕党」(ケットウ)、「闕漏」(ケツロウ=手落ち)。熟語が多いということは本番でも狙われるということです。必須漢字ですね。「九重」は幾重にも重なっているさまを言いますが、ここでは天子の宮殿を指すので、「ここのえ」よりは「キュウチョウ」と読みたいところ。「九重天」(キュウチョウのテン)とも言います。安禄山の兵が宮中を占拠したことを言う。

 34 「センジョウ」は基本熟語書き取り問題=玄宗皇帝を取り巻く軍隊を指す。正解は「千乗」。この場合の「乗」は軍の兵車を数える語で馬四頭で一車を引いた。軍隊の規模を表わす言葉で「万乗」(バンジョウ)もあるので、これよりは兵隊の数は少ないのでしょう。ただし、次には「万騎」(バンキ)も見えるのでそこそこの規模だったのでしょうか。まぁ、比喩的な表現で、「皇帝の一行」くらいに訳すのが無難か。ここで言う「西南」(セイナン)とは、蜀の成都のことで、長安の都を捨てたいわば「都落ち」となります。

 35 「スイカ」は書き問題=同音異義語では「Suica」(?)も浮かんでしまいますが、「西瓜」「水瓜」「誰家」「誰何」「垂下」「水禍」ではない。玄宗皇帝一行が「徽」として立てているカワセミの羽飾りをつけた旗のこと。ちょっと難しいですが、正解は「翠華」。「翠」は準1級配当で「みどり」「かわせみ」とも訓む。「翡翠」(ヒスイ)もカワセミのことで「翡」が雄、「翠」が雌。「翠羽」(スイウ)、「翠煙」(スイエン)、「翠玉」(スイギョク)、「翠帳紅閨」(スイチョウコウケイ)、「翠苔」(スイタイ)、「翠黛」(スイタイ)、「翠眉」(スイビ)、「翠微」(スイビ)、「翠巒」(スイラン)、「翠嵐」(スイラン)。一行の歩みはのろく、進んでは止まり、止まっては進むという風だった。それは兵隊たちの志気が上がらないためであった。

 36 長安の城門を出て西へ百余里(約五十キロ)のところ、馬嵬(バカイ)の駅に一行は辿り着いた。

 37 「リクグン」は基本熟語書き問題=これも軍隊を指す言葉で、とくに天子を守る軍隊のこと。正解は「陸軍」ではなくて、「六軍」。「六師」ともいう。周の制度では、一軍は一万二千五百人、天子は六軍で七万五千人を持つ。「六」を「リク」と読む熟語には「六合」(リクゴウ)、「六韜三略」(リクトウサンリャク)、「六学」(リクガク)、「六義」(リクギ)、「六宮」(リクキュウ)、「六芸」(リクゲイ)、「六書」(リクショ)、「六尺之孤」(リクセキのコ)、「六朝」(リクチョウ)、「六典」(リクテン)、「六纛」(リクトウ)、「六徳」(リクトク)、「六博」(リクハク)、「六呂」(リクリョ)、「六花」(リッカ)、「六卿」(リッケイ)など多数あります。とうとう兵士たちが騒ぎ出して、出発しようとしない。皇帝の命令もきかなくなった。彼らは楊貴妃の存在が許せないのです。

 38 「エンテンたるガビ」は書き問題=一連の成句として覚えたほうがいいでしょう。まゆが美しく弧を描いているさまをいう。正解は「宛転たる蛾眉」。「宛転」は女性の顔が美しいさまを言う場合、眉のラインを注視した表現です。「蛾眉」は眉の美しさを言う場合、蛾の触角のようにしなやかな曲線を描いているさまを指しています。「エンテン」は「婉転」でもOK、「ガビ」は「娥眉」でもOKです。それぞれ「婉」「娥」が女偏の1級配当漢字で頻出です。「婉娩聴従」(エンベンチョウジュウ)は押さえましょう。美しい眉を描いた楊貴妃は、皇帝の命によって眼前で殺されてしまった。

 39 「カデン」は1級配当絡み書き問題=同音異義語では「訛伝」「家電」「荷電」「瓜田」「家伝」が浮かびます。デマゴーグでも、エコポイントでも、履を納れてはいけない場所でもない。楊貴妃が身に付けていた花のかんざしのことですから、正解は「花鈿」。「鈿」は1級配当で「かんざし」「かざ・り」とも訓む。「螺鈿」(ラデン)、「金鈿」(キンデン)、「鈿車」(デンシャ)。「委てる」は「・てる」。だれも楊貴妃の花のかんざしを拾うものはいなかった。

 40 「スイギョウ」はやや難しい書き問題=カワセミの羽の髪飾りのことで、「スイ」は浮かびますが、「ギョウ」が難しい。1級配当なのですが、「驍」「蟯」「翹」「澆」「徼」「嶢」「僥」の中から選んでください。正解は「翠翹」。この場合の「翹」は「高く弧を描いて立つ雉の尾羽」という意味。通常は「つまだ・てる」「あ・げる」「すぐ・れる」といった意味です。「翹関」(ギョウカン)、「翹企」(ギョウキ)=「翹足」(ギョウソク)=「翹望」(ギョウボウ)=「翹首」(ギョウシュ)=鶴首(カクシュ)=強く待ち望むこと、「翹翹」(ギョウギョウ)、「翹材」(ギョウザイ)、「翹然」(ギョウゼン)、「翹楚」(ギョウソ)=これは本番でも出そう、「翹足引領」(ギョウソクインリョウ)、「翹足而待」(ギョウソクしてまつ)。「スイギョウ」の同音異義語には「邃暁」(=知悉)もあるので押さえられれば。。。
 「ギョクソウトウ」は耳慣れない書き問題=玉でつくった笄(こうがい)・簪(かんざし)の類なんですが、浮かびますか?正解は「玉搔頭」。これはもう覚えるしかないですな。「金雀」(キンジャク)は孔雀の形をした金の髪飾り。いずれも楊貴妃が身に付けていた装飾品で、彼女の死と共に散らばった形容。

 41 皇帝は顔を掩った手を振り払うこともなく、楊貴妃を救うことはできなかった。

 42 「回り」は表外訓み問題=「かえ・り」ですが、「めぐ・り」でも正解でしょう。「和り」も表外訓み問題=「まじ・り」。ちょっと難しいですね、宛字っぽい。楊貴妃を看ることなく後ろを振り返る皇帝の顔には血の涙が流れていた。

 安禄山は、辺境・突厥(トッケツ)の武将の息子で、玄宗と楊貴妃に取り入り出世して行った。同じ頃、楊貴妃の従祖弟にあたる楊国忠が宰相となり権勢を握るようになると禄山は自らの恩寵にも翳りが見えたことを悟り、その回復のためには自らが皇帝を名乗り新国を樹立するしかないとの思いに到ったのです。それが反乱として結実。いったんは専制国家樹立に成功するも、唐王朝の巻き返しに遭い、乱勃発の九年後の763年に禄山は殺され乱は収束したのでした。楊貴妃も皮肉なもので、親戚と取り入った臣下の間に挟まれて死に至るのですが、美貌に基づく栄華はいずれ滅びるが常。国や城を傾けた美女は、自らの命をも傾けることでしか結末が得られなかったと言えそうです。
 本日は以上ですが、長恨歌はむしろ楊貴妃が死んでからが本番。次回以降をお楽しみに。。

 【今日の1級配当漢字】

驪、聳、飄、飃、翩、繙、幡、嫖、泛、眇、籥、僭、駭、顫、懼、慫、怛、咢、愕、霓、旌、闕、掖、焉、腋、喩、蜀、翡、閨、巒、嵬、韜、纛、婉、娥、娩、訛、鈿、驍、蟯、翹、澆、徼、嶢、僥、邃、笄、簪、厥、翳

 【今日の配当外漢字】

颻、颺、筦、鼙、蜺
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Author:char
不惑以上知命未満のリーマンbloggerです。
言葉には過敏でありたい。
漢検受検履歴
2006.3  漢字学習スタート
2006.6  2級合格
2006.10 準1級合格
2007.10 1級合格①
2009.2 1級合格②

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