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茗粥と魚飯こそ美食の極致なりぃ~=柏木如亭「詩本草」

 柏木如亭の「詩本草」シリーズはまだ終わりませんよ。お忘れなく。。。本日はその第20回です。飯のうま~い食べ方を三連発で取り上げます。ほんとうまそうです。まずは「茗粥」から。読めますよね。。。既出ですよ。

 《44 茗粥》

 研北、一事をセイネンすれば、便ち一段を筆す。多く欲する所を説いて、粥飯に及ぶこと莫し。是れ欠事に似たり。今、茗粥・魚飯の二法を附す。茗粥の法、下品の茶を濃煎して茶を棄し、汁を取りてに移し、塩少許りを下し、米を投じてこれを烹る。熟するを待ちて中に傾け入れ、再び茶汁を以てこれをふこと四五度、椀に盛り、上品の茶をいで食らふ。余近ごろ此の法を伝ふるも亦た以て老を養ふに足ればなり。止にその香その色の精妙なるのみに非ず、冬日は以て寒を禦ぐ可く、夏天は以て暑を敗る可く、口に適し腹に果す。双弓米に勝ること、遠きこと甚だし。

 ■「茗粥」(ちゃがゆ、メイシュク)=訓読みでは「茗」は「ちゃ」と訓んでくださいね。音読みは「メイ、ミョウ」。既出です。もちろん、「茶粥」の方が一般的でしょう。

 ■「研北」(ケンポク)=文字通りは、「硯」の北側。「研」は「硯をする」の意。机を南向きに置くとき、人は硯の北側の位置に坐ることから。転じて、学者・文人などにあてる手紙で、宛名のわきに書き添えて敬意を表わすことばのこと。ここでは、机に向かって坐り翰を認めることをいう。

 ■「セイネン」は浮かびますか?=常用漢字の難問です。「成年」「青年」「生年」「盛年」ではない。「一事をセイネンする」のですから。。。正解は「省念」。思い出すことですが、辞書にも掲載がなく難しい言葉です。

 ■「多く欲する所を説いて、粥飯に及ぶこと莫し。是れ欠事に似たり」→これまで書いたものを振り返るといろいろ採り上げたが、粥飯が最高なのにまだ書いていなかった。画竜点睛を欠いているぞ…といったような意味でしょう。「粥飯」(シュクハン)は「かゆめし」でもOKか。ただし、「ひさ・ぐ」の意味では音読みは「イク」となることに注意。「粥粥」(イクイク=媚を売る)、「粥技」(イクギ)、「粥売」(イクバイ)、「粥文」(イクブン)。「シュク」と読む熟語は逆に珍しいかも。

 ■「下品」は読み問題=難しい。下級、下等といった意味で、ここは「ゲボン」と読む。「ゲヒン」ではない。もとは仏教語で極楽浄土に往生する者の生前に積んだ功徳の違いに応じて九品(クホン)を、上・中・下に三分した最下位のもの。さらに下品上生・下品中生・下品下生に分かつ。「品」を「ホン」と読むのは呉音で表外の音読みです。しかも音便で「ボン」と濁るのが二重に難しいですね。この対義語の「上品」は当然ながら「ジョウボン」です。これって本番で出そうじゃありません?漢検漢和辞典の見出し語にもありますよ。きっと出るな。「ゲボン」の書きか、「下品」の読みか?

 ■「濃煎」(ノウセン)=茶を濃く入れる。健康食品で「アガリスク濃煎液」というのはよく見かけますな。

 ■「棄」(ヘイキ)=棄て去ること。「」は配当外ですが、音符から読めますよね。「ヘイ」「はらう」。筆法の「とめはらい」の「はらい」はこの字を宛てる。「開」(ヘイカイ=脇に棄てて顧みない)。

 ■「鐺」は読めますか?=1級配当ですが意外に難問。普通は「トウ」「こじり」「こて」。ここは「ソウ」。火にあてて酒を温める三本脚のかなえ・なべの意。「酒鐺」(シュソウ→シュトウと読んでいる辞書が多いですが意味を考えればシュソウが正しいでしょうね)。「双鳥獅子花卉文金鐺」は「ソウチョウシシカキモンキンソウ」。蛇足ですが「鼎鐺玉石」は読めますよね。「テイトウギョクセキ」。こちらは「トウ」です。「トウ」と「ソウ」の読み分けは超難しい。。。ですが、試験だけを考えれば「トウ」だけ覚えればいいですよ。「ソウ」を問う問題は出ないな。

 ■「熟する」(ジュクする)=ここでは、米が炊き上がる意。

 ■「篩」は読めますか?音読みですよ=訓なら「ふるい」ですが音は珍しい。素直に「」。「篩骨」(シコツ)、「篩管」(シカン)。

 ■「滌ふ」は訓み問題=「あら・ふ(あらう)」。1級配当で音読みは「テキ、デキ、ジョウ」。「すす・ぐ」とも訓む。「滌除」(テキジョ)、「滌蕩」「滌盪」(以上テキトウ、デキトウ)、「洗滌」(センデキ、センジョウ)、「漱滌」(ソウデキ)、「掃滌」(ソウデキ)、「滌除」(テキジョ)、「滌瑕」(テキカ)、「滌漑」(テキガイ)、「滌洗」(テキセン)=「滌濯」(テキタク)、「滌滌」(テキテキ)、「滌煩」(テキハン=お茶の別名、世間のわずらわしさをあらい流してくれるから)。

 ■「澆ぐ」は訓み問題=「そそ・ぐ」。お茶などを上からふりかけること。1級配当で音読みは「ギョウ、キョウ」。「うす・い」とも訓む。「澆季」(ギョウキ)=「澆末」(ギョウマツ)=「澆世」(ギョウセイ)、「澆薄」(ギョウハク)=「澆漓」(ギョウリ、漓も1級配当で「うすい」)、「澆訛」(ギョウカ)=「澆偽」(ギョウギ)、「澆詭」(ギョウキ)=軽薄で偽りが多いこと、「澆灌」(ギョウカン)=「澆漑」(ギョウガイ)。

 ■「止に」(ただ・に)=表外訓み。ただ、もっぱら。1級配当なら「啻に」を覚えましょう。

 ■「暑を敗る」(ショをやぶ・る)=暑さに負けない。

 ■「双弓米」(ソウキュウマイ)=何のことだか分かりますか?弓が二つの米、弓弓米……、弓米弓、な~る「」の隠語。お洒落な表現ですね。今度使ってみよう。風を引いたら「双弓米」を食べて早く治そう。「七草粥」は「七草双弓米」。「粥腹」は「双弓米腹」。

 しかし、如亭は茗粥を絶賛していますね、よほど旨いのを食べていたんでしょうなぁ。

 続いて「魚飯」。これも旨そうです。

 《45 魚飯 その一》

 魚飯の法は先づ鯛魚を斫りて二三寸の肉片と作し、その骨の最も軟かき者を揀び、火して抹と為し、赤味噌をめてきて清水に投じ、以て冷羹を作り、而して肉片を熱飯内に埋め、抹及び紅椒、白葱の細かに切る者を羹中にし、徴しに澆ぎてこれを食らふ。飯は熱きを覚えず、肉は冷たきを覚えず、奇なること言ふ可からず。薩州飯と名づく。魚飯数十法の中、此を第一と為す。

 ■「鯛魚」は読み問題=音読みで。既出ですね。「チョウギョ」。たい。「棘鬣魚」(キョクリョウギョ)もお忘れなく。。。

 ■「火」(カコウ)=火であぶること。「」は配当外で「コウ」「あぶる」。

 ■「沫」(マツ)=こな、こなごなにすること。「抹香」(マッコウ)、「抹茶」(マッチャ)。

 ■「団める」は訓み問題=「まる・める」。「まる」は表外訓み。

 ■「き」(や・き)=火気であぶって乾かす、焼く。配当外漢字で「カ」。

 ■「冷羹」(レイコウ)=冷たいスープ。ここでは冷たい味噌汁。「羹」は「あつもの」。冷遇されて恥辱を受ける意の四字熟語に「残杯冷炙」(ザンパイレイシャ)がありますが、「残杯冷肴」(ザンパイレイコウ)、「残杯冷羹」(ザンパイレイコウ)、「残羹冷炙」(ザンコウレイシャ)とも言います。

 ■「紅椒」(コウショウ)=唐辛子のこと。番椒、蕃椒とも書く。「椒」は1級配当で「ショウ」「はじかみ」。「胡椒」(コショウ)、「山椒」(サンショウ)、「椒酒」(ショウシュ=屠蘇)、「椒桂」(ショウケイ=賢人)、「椒図」(ショウト=怪獣の名)、「椒房」(ショウボウ=皇后、皇后の居室)=「椒屋」(ショウオク)=「椒庭」(ショウテイ)=「椒殿」(ショウデン)=「椒掖」(ショウエキ)=「椒壁」(ショウヘキ)=「椒閣」(ショウカク)、「椒蘭」(ショウラン=皇后の親類、外戚)。白居易の長恨歌に「椒房の阿監青蛾老いたり」がある。

 ■「撒し」(サンし)=まき散らすこと。「撒」は準1級配当で「サツ」とも読む。いや、むしろ「サン」は慣用読み。訓読みは「ま・く」。「撒水」(サッスイ、サンスイ)、「撒布」(サップ、サンプ)、「懸崖撒手」(ケンガイサッシュ=勇気を揮い起こし思い切って事に臨む)、「撒火」(サッカ)。

 ■「薩州飯」(サッシュウハン)=さつまめし。日本語大辞典の「さつま」の解説には「鯛やヒラメなどを焼いてすり身にし、白みそとだし汁でのばし、同じ魚の刺身をのせた熱い飯にかける汁かけめし。さつまめし」とあると出ています。如亭によれば、「魚飯数十法の中、此を第一と為す」と旨さは第一級品だと賞賛しています。

 《46 魚飯 その二》

 又た法として、鯛を斫ること方解石の若くし、塩を以て衣と為し、飯将に熟せんとする、取りて飯上に置き、熟後これを和し、澆ぐに淡羹を以てす。亦た椒と葱とを離さず。初め炊くとき、莱菔・胡蘿蔔の二物を切りて寸縷と為す者を用ひて、米と同じく烹るを妙と為す。飯中、是の二法有り。復た李笠翁が五香八珍の麵を羨まず。凡そ魚飯を造るには、至精の米、至鮮の魚に非ざれば、則ち必ず滋味を損ず。此も亦た司庖の婢をして知らしめざる可からざるなり。

 ■「方解石」(ホウカイセキ)=無色透明あるいは白色半透明の鉱物。炭酸カルシウムの結晶体で、断面は鑿で削ったような直線的な形状を示す、と註釈に見える。

 ■「塩を以て衣と為す」=塩をまんべんなく塗すこと。

 ■「候」=「とき」と表外訓み。

 ■「淡羹」(タンコウ)=薄味のスープ。

 ■「莱」(ライフク)=だいこん。大根。「蘆」(ロフク)、「蘿」(ラフク)ともいう。「莱」は準1級配当で、あかざ(藜)、「」は配当外でダイコン。

 ■「胡蘿蔔」(コラフク)=にんじん。人参。

 ■「寸縷」(スンル)=一寸ほどの長さの千切り。「縷」は1級配当で「糸のように細長くつらなるさま」。「縷縷綿綿」(ルルメンメン)。

 ■「李笠翁」(リリツオウ)=清初の文人・李漁。笠翁は号。「間情偶寄」(カンジョウグウキ)16巻というグルメをはじめ文人生活万般の解説指南書を著している。如亭が「詩本草」を執筆する上で大きな影響を与えている書物です。

 ■「五香八珍」(ゴコウハッチン)=李笠翁が好きな麵の二種類、すなわち、「五香麵」と「八珍麵」のこと。如亭に言わせれば、李笠翁が絶賛した「五香麵」も「八珍麵」も、魚飯には到底叶うまいと対抗意識の炎がめらめらです。

 ■「至精の米、至鮮の魚」(シセイのこめ、シセンのうお)=できるだけ精白した米、できるだけ鮮度の良い魚。この二つの条件が具わっていないと魚飯は旨くないというのです。

 ■「司庖の婢」(シホウのヒ)=台所で料理に携わる下女。「婢」は1級配当で「ヒ」「はしため」。「婢僕」(ヒボク)、「婢妾」(ヒショウ)、「下婢」(ゲヒ)、「侍婢」(ジヒ)、「奴婢」(ヌヒ)、「僕婢」(ボクヒ)、「婢子」(ヒシ)、「婢女」(ヒジョ)、「婢僮」(ヒドウ)。

 以上、如亭お気に入りの二品を紹介しました。くいてぇ~、誰かくわせてくれぇ~。

 本日は以上です。ちょっと長かったかな。。。瘁れた。。。


 【今日の漢検1級配当漢字】

茗、鐺、篩、滌、澆、亦、睛、媚、卉、盪、漱、瑕、漓、訛、詭、啻、棘鬣、羹、炙、椒、屠、掖、鑿、蘆、蘿、藜、蔔、縷、婢、僮、瘁

 【今日の配当外漢字】

撇、烘、、菔
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char

Author:char
不惑以上知命未満のリーマンbloggerです。
言葉には過敏でありたい。
漢検受検履歴
2006.3  漢字学習スタート
2006.6  2級合格
2006.10 準1級合格
2007.10 1級合格①
2009.2 1級合格②

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