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blog更新の「ショウガイ」となる体調不良に切歯扼腕=番外編

爪の長い麻姑に背中を掻いてもらったら嘸かし気持ちいいだろうなぁ、なんて思っていたら、喉が痛み出し、咳が止まらない。鼻水もじゅるじゅる。。。どうやら風邪の症状が一挙に押し寄せてきたようです。先週末に実は京都に遊びに入っており、下戸乍らも祇園・先斗町の「川床」(かわゆか、かわどこ)で友人(愛人じゃないっすよ)と一献傾けたのですが、やはり夜の外はまだ寒かった。夜風に当ってしまったようです。やばい。。。。

毎日更新を宗としている髭鬚髯散人。仕事が忙しいとか、どこかに旅に出ているとか、単なる飲み会いうだけなら、何とか書き溜めて予約配信などで工面もできます(実際にこれまでも何度も凌いできました)が、さすがに体調不良には勝てません。「擬古」シリーズが終了したので、引き続き陶淵明かあるいは別の名文の新シリーズを思案中だったのですが、体調回復まで無理ですね。かといって、このままスルーするのも折角、毎日お越しいただいている読者諸氏にも申し訳ないです。いや、お為ごかしではない、髭鬚髯散人の名が廃る!!ということで、本日はちょっと気分転換。さらりと読める漢字ネタでご容赦願いましょうか。


文化庁の文化審議会国語分科会が「新しい常用漢字表」の作成作業を進めているのはニュースなどでご存知の方も多いと思います。現在の1945字種から、5字を削り、新たに196字を追加して差し引き2136字種の表となります。「鬱」とか「彙」とか普通は書くのが困難なものも含まれていますが、あくまで漢字使用の目安ですから、必ずしも書けなくてもよくてパソコンや携帯電話などのIT機器の辞書機能を利用して選択することができればいいのです。もちろん、漢字検定1級(もうブームは疾うに廃れましたが)を志向する方ならばいずれも読めて書けて、文章などでも自由自在に用いることができなければなりません。

文化審議会が6月にも開かれそこで決定されれば、年内の内閣告示・訓令として正式に位置付けられます。1981年に当用漢字から常用漢字になって以来29年ぶりの大改訂となるわけですが、削るのは初めてのことなのはもちろんのこと、196字のプラスも過去に例のない大幅な内容です。どうして削るのか、なぜこの字を入れてあの字が入るのか不公平だ、「鷹」を入れろ BY 三鷹市長、などなど喧喧囂囂の意見が関係者から持ちあがったのもご存じでしょう。どうしても利害関係が生じるのは致し方ない。さきほども申しましたが、あくまで目安なので絶対ではないし、どこかで線を引くだけのことですからそれほど目くじらを立てるほどのことはないのですが…。全員が一致するものなどできるはずがない。1級配当の6000字をすべて常用漢字にしない限りは収まりがつかないでしょう。「常用」なんですけどねぇ……。

この中で本日は一つだけ話題に載せましょう。「障がい」。普通は「障害」と書きますが、「害」とは何事、「障碍」と書くように改めるよう、健常者も障害者も同じ土俵である「インクルージョン社会」の実現を主張する障害者団体から要望がありました。「碍」はもちろん常用漢字からは外れました。以前、文化庁が凸版印刷などの協力を得て実施した漢字の出現頻度調査によると、3461位です。語例では「融通無碍」「碍子」などがありますが、かなり特殊な場面でしか使いません。

文化庁がいろいろ調べたところ、明治期から「障害」と「障碍(障礙)」はかなり混在して使われていることが分かりました。江戸末期の文久二年(1862)に発刊された「英和対訳袖珍辞書」(A POCKET DICTIONARY of the ENGLISH AND JAPANESE LANGUAGE)でも「Annoy,Annoyance」の訳語として「退屈ナル物、煩労、障害、妨ゲ、損害」と見えると同時に、「Rub」に関しては「摩軋、障碍、困難、衝キ」となっており、「障害」と「障碍」が両用されています。

さらに、「太陽コーパス」(雑誌「太陽」日本語データベース 国立国語研究所編 CD-ROM版 博文館新社)によりますと、「障害」「障碍」「障礙」の出現頻度数の推移が見え、興味深い。出版年ごとに順に見ていくと、

1895(明治28年)=「障害」22、「障碍」17、「障礙」10→総計49、
1901(明治34年)=各48、21、19→88、
1909(明治42年)=各13、8、5→26、
1917(大正6年)=各20、14、6→40、
1925(大正14年)=25、8、1→34

となっており、「障害」の合計が128と圧倒的に多く、次いで「障碍」の68、「障礙」の41の順番となっています。混在はしているものの拮抗しているという状況ではありません。つまり、古来、「障害」という用例は数多くあるということです。最近になって「障害」が、昔からある「障碍」に取って代わったというわけではないのです。

結論的に言えば、国語分科会漢字小委員会は「碍(礙)」を常用漢字に追加することは一応見送った形になっています。ただし、一方で政府の「障がい者制度改革推進本部」(2009年12月8日閣議決定)というのがあって、その中で、「法令等における『障害』の表記の在り方に関する検討等を行う」として、当面5年の間に結論を出す方針を決めています。この議論でもし万が一「障害」を「障碍」に書き換える旨決定された場合は、「碍」を常用漢字に加えるかもしれないことが明記されています。政治家の中には「障がい(害)者」にいいところを見せたいと考えるものもいて、判断は先送りにされた格好です。社民党などが特に唱えています。真に差別しているのはこの政党ではないかと思うくらい無理筋のような気がしますが、おぼっちゃま鳩山では普天間しかりで決断ができないでしょう。小党に掻き乱されている。不幸だ。。。

で、このネタに特に落ちはないのですが、さらに文化庁の出した資料によりますと、明治時代の読売新聞で「障害」「障碍」「障礙」の使用例が目にとまりました。幸田露伴の「日ぐらし物語」の「ねぢくり博士」では「障害物」と用いている一方で、別の場面では「障碍」(ショウゲや「無障碍」(ムショウゲ)となっている。このほか、新聞の記事中には「障礙物」(ショウガイモもの)、「障碍」(さはり)、「障碍競争」(ショウゲキョウソウ)、「不通障碍」(フツウショウガイ)などなどあらゆる言い回しで混在されている実態を浮き彫りにしています。例えば露伴ですら明確に区別していないのですから意味上の違いはなく、明治期の人々は庶民も含めて、いずれも読めたし、書けたし、使っていたと言えましょう。

ちなみに「障碍」「障礙」で「ゲ」と読む場合は「呉音」です。要するに仏教用語ですね。日本国語大辞典(小学館)によると、「ショウゲ」と読んだ場合の意味としては「ものごとの発生、持続などにあたってさまたげになること。転じて、悪魔、怨霊などが邪魔をすること。さわり。障害」の意味も包含されています。「悪魔、怨霊」といったおどろおどろしいニュアンスも出るので、障害者団体の方々は一概に「障碍」がいいと言わない方がいいのかもしれませんよ。無論、「害」といってもいい響きではありません。障害者の方々自身が「害」というわけではないのでやや被害者意識が強いのかもしれませんが、「それは健常者の戯言のロジックだ」と罵倒されても正面切って反論することはできませんが……。

なかなか終わりもないのですが白居易の「春日題乾元寺上方最高峰亭」にも「障礙」が登場しています。これを味わいながら急場を凌ぎます。これは呉音ではなく「ショウガイ」と読むんでしょうかね?

危亭絶頂四無鄰,見盡三千世界春。

但覺虛空無障礙,不知高下幾由旬。

迴看官路三條線,卻望都城一片塵。

賓客暫遊無半日,王侯不到便終身。

始知天造空境,不為忙人富貴人。


新たに「常用漢字表」のカテゴリーを設けました。今後もコラム的にこの話題を取り上げる機会があるかと思いましたので…。体調不良がこのblog更新の「障碍」となっている…。忸怩たる思い、慙愧に耐えません。。。
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char

Author:char
不惑以上知命未満のリーマンbloggerです。
言葉には過敏でありたい。
漢検受検履歴
2006.3  漢字学習スタート
2006.6  2級合格
2006.10 準1級合格
2007.10 1級合格①
2009.2 1級合格②

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