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名聞利養に意味なし!酒があるなら飲め、飲め、飲め=陶淵明「飲酒」4

陶淵明の「飲酒」シリーズの4回目です。岩波文庫「陶淵明全集(上)」から。

「其三」

道 喪われて1)センザイにア)とし

人人 其の情を惜しむ

酒有るも肯えて飲まず

但だ世間の名を顧る

我が身を貴ぶ所以は

豈に一生に在らずや

一生 復た能く幾ばくぞ

イ)やかなること流電の驚かすが如し

2)テイテイたり 百年の内

此れを持して何をか成さんと欲する

1)センザイ=千載。

非常に長い年月、千年、ちとせ。遠い昔を指すことも。千秋、千葉(センヨウ)、千歳(センザイ)、千霜(センソウ)ともいう。「載」は「年、数を表す言葉について年数を表すことば、年月の切れ目の意から」。「王三載」(オウのサンサイ=即位三年め)。載祀(サイシ=年、殷代には一年を一祀と記した)、載生魄(サイセイハク=月の初め、「
魄」は月のほの白い輪廓、新月の時)。

2)テイテイ=鼎鼎。

その時その時が過ぎゆくさま。「かなえ」のように三本脚でずしりとして歩みが鈍い、すなわちゆっくりと着実に歩むことを表している。

ア)向とし=なんなん・とし。

やや特殊な訓み、宛字っぽい訓読語法。通常は「垂とし」。いままさに~となろうとしている、やがて~になろうとしている。垂死は「スイシ、シになんなんとす」で「いまにも死にそうな様子」。

イ)倏やか=すみ・やか。

たちまち、あっという間に。音読みは「シュク」。倏忽(シュクコツ=時が非常に速く過ぎるさま、時間が非常に短いさま)、倏焉(シュクエン=時間が非常に速く過ぎるさま、たちまち)、倏然(シュクゼン=すばやいさま、さっと、たちまち)。

道 喪 向 千 載
人 人 惜 其 情
有 酒 不 肯 飲
但 顧 世 間 名
所 以 貴 我 身
豈 不 在 一 生
一 生 復 能 幾
倏 如 流 電 驚
鼎 鼎 百 年 內
持 此 欲 何 成


道が失われて千年にもなろうというのに、世間の人は相も変わらず自分の気持ちを出し惜しみしている。酒があっても飲もうともせず、ただただ世俗的な虚名を気にしている。だが、我が身が大事だとといっても、それは自分の一生の限られた範囲内のことにすぎない。その一生が長さは稲妻のごとき一瞬の出来事と言える。たった百年しかない一生をぐずぐずと世間体ばかり気にし続けて一体何ができるというのか。

名聞利養に執着することを厭い、官途を棄てて田舎に帰った陶淵明らしい詩です。「道喪」というのは、古代の聖賢の教え、つまり孔子をはじめとする儒家の教えが行われなくなった今の世のことを指しています。体面ばかりを重んじ讒諂面諛。欲しいものを欲しいと言わずに押し殺す嫌な世の中だと。酒が欲しいなら素直になって飲めばいいではないか。お上の意向を窺っていてはこの世に生まれた甲斐があるのか。短い人生、思う通りに生きようとしないで何が楽しいのだ。このくだりは如何にも「ザ・陶淵明」。周りにいた連中がどうしようもなく虫酸が走るような下らない奴らばかりで辟易したのでしょう。

詩中問題にしませんでしたが「流電」とは「稲妻のこと、物事がすばやいたとえ」。「流~」の熟語を拾ってみると、流淫(リュウイン=行いが度を越して乱れる)、流裔(リュウエイ=血筋の続いている遠い子孫)、流衍(リュウエン=はびこる)、流鶯(リュウオウ=枝から枝へと飛び移るウグイス)、流霞(リュウカ=仙人の飲む酒)、流金鑠石(リュウキンシャクセキ=酷暑)、流憩(リュウケイ=ぶらついて時に休息する)、流言蜚語(リュウゲンヒゴ=デマ)、流光(リュウコウ=移りゆく時間のこと)、流洽(リュウコウ=仁徳や、よい風潮が世の中を広くうるおす)、流寇(リュウコウ=徒党を組んで各地を渡り歩く盗賊)、流行坎止(リュウコウカンシ=平和時に出仕し、険悪な時は致死し民間にいること)、流竄(リュウザン、ルザン=島流し)、流矢(リュウシ=流れ矢)、流徙(リュウシ=人民が戦争のためあちこちさまようこと)、流觴曲水(リュウショウキョクスイ=陰暦三月三日、曲がりくねった流れにさかずきを浮かべ、自分の前に来るまでに詩を作る遊び)、流声(リュウセイ=評判、名声)、流瘠(リュウセキ=流浪してやせおとろえた人)、流歠(リュウセツ=水の流れるような音をたてて汁を吸う)、流涎(リュウゼン、リュウセン=よだれをたらす、ひどくほしがる、垂涎)、流霰(リュウセン、リュウサン=ぱらぱらと降るアラレ)、流蘇(リュウソ=五色の糸で作ったふさ)、流謫(リュウタク=罪によって遠くにながすこと)、流涕(リュウテイ=涙を流して泣くこと)、流宕(リュウトウ=おちぶれてさまよう、勝手気儘で道から外れる、流蕩=リュウトウ=)、流毒(リュウドク=世間に害を与えること)、流麦(リュウバク、むぎをながす=読書に夢中になること)、流眄(リュウベン=流し目で見回すこと、流睇=リュウテイ=)、流萍(リュウヒョウ=ながれていく浮き草)、流品(リュウヒン=政府に仕える役人)、流氓(リュウボウ=あちこちあてもなくさ迷い歩く人、ごろつき)、流沫(リュウマツ=川の、流れる水面のあわ)、流誉(リュウヨ=それに相当することをしていないのに伝わるよい評判)、流落(リュウラク=おちぶれてさすらう)、流連荒亡(リュウレンコウボウ=遊楽や狩り・飲酒の楽しみにふけり家になかなか帰らないこと)、流潦(リュウロウ=ながれる雨水、洪水)。こんなに熟語がありますが、これでもかなり端折りました。是非とも流れるように覚えたい言葉が目白押しですね。
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Author:char
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2006.3  漢字学習スタート
2006.6  2級合格
2006.10 準1級合格
2007.10 1級合格①
2009.2 1級合格②

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