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「合歓」「衾裏」「紅腮」「比翼薦」…色っぽい語彙=柏木如亭「詩本草」

 柏木如亭の「詩本草」シリーズの15回目は、40段の「吉原詞」の第5回です。盧昭鄰の「長安古意」が長かったですが、20首中の15首目から。。。。


(15) 夜半 郎帰りて挽けども留まらず

    合歓衾裏 一身の秋

    紅腮 雨湿ひて 雲乱れ

    タイマイサイ摧けて枕頭に在り


 ■「挽く」=「ひ・く」。「ひく」と言えば「引く」「抽く」「弾く」「惹く」「曳く」「攀く」「掎く」「覃く」「碾く」「曼く」「搆く」「掣く」「拿(拏)く」「拉く」「扞く」「彎(弯)く」「汲く」「貫く」「援く」「延く」「輓く」「轢く」「牽く」「退く」と多彩。このうち漢検1級配当は「攀」「掎」「覃」「碾」「曼」「搆」「掣」「拿(拏)」「拉」「扞」「彎(弯)」「輓」「轢」。

 本文は、恐らく遊女が「たーさん、帰らないでよ~、まだいいじゃん」などと「郎」の着物の「裾」をひいて留めさせようというのですから、この中では、真っ先に「攀轅臥轍」(ハンエンガテツ)という四字熟語が想起されます。中央から赴任した地方長官が任期を終え戻る際に人民が惜しんで留任を求めるさまを表わしています。したがって、「挽く」は最も一般的な「ひく」ですが、「攀く」の字を宛ててもぴたりくる。「掎角の計」(キカクのケイ)は、「挟み撃ち」のことで、鹿を捕縛する際、前から角を、後から足をひっぱるのです。

 やや見慣れないのが、「覃」「曼」「搆」「彎(弯)」ですね。「ひく」にもいろいろあって、「轢く」は車で人をはねること。「碾く」は石臼で粉をひく。「碾き割り納豆」ですね。

 ■「合歓」(ゴウカン)=男女が睦まじく愛し合うさま。熟字訓では「ねむねむのき」とも。四字熟語に「合歓綢繆」(ゴウカンチュウビュウ)があり、必須です。愛情が濃やかにからんでいる様子を表わす。まさに、ねっとりと愛し合うさまです。中国の詩や書物では頻出の言葉ですね。「巫山雲雨」(フザンウンウ)も似たような意味で、少し色っぽい言葉です。でも、照れることなく押さえましょう。文学を翫わう上では避けて通れませんから。。。

 ■「衾裏」(キンリ)=布団の中にいること。ベッドインの状態。もちろん、一人ではない。「衾」は「ふすま」とも訓む。「被」とも書く。「衾褥」(キンジョク=夜具)、「衾裯」(キンチュウ=夜具、裯=チュウ=は配当外で「かいまき」)。これも色っぽすぎる言葉ですなぁ。

 ■「紅腮」は読み問題=紅を刷いた頰。「腮」は「えら、あご、あぎと」とも訓む。魚のえら。人間で言えば、両頰の下半部を指す「コウサイ」。「サイ」とは慣れないと読めませんねぇ。。難しいです。「顋」(サイ、えら)の異体字(漢字源では別漢字でした)ですが、あごの先のとがった部分を指すようです。熟字訓に「腮門(顋門)」がありますが、訓めますか?「ひよめき」で、赤ちゃんの頭蓋骨がまだ接合しておらずにピヨピヨと動く部分のことです。

 一方、「魚のえら」では「鰓」(えら)もある。これも「サイ」「あぎと」。いずれも1級配当ですがやや難しい。

 ■「湿ふ」は訓み問題=「ふるお・ふ(うるおう)」。表外訓みですが、余り見かけませんね。「うるおう」では「霑う」「潤う」「浹う」「洽う」「沐う」「濡う」「沢う」「沾う」などがあります。このうち、1級配当は「霑」(テン)、「沾」(テン、セン)、「浹」(ショウ)、「洽」(コウ)で、いずれも頻出漢字です。「霑体塗足」(テンタイトソク)、「殫見洽聞」(タンケンコウブン)、「均霑」「均沾」(以上キンテン)、「浹洽」(ショウコウ)などの熟語を確実に押さえましょう。

 ■「ウ雲」は書き問題=女性の黒髪の喩え。「クロカミ」と宛字読みをする書物もあるようです。→「」。この場合はカラスではなく「くろ・い」の意。

 ■「タイマイサイ」は書き問題=鼈甲製のかんざし。→「玳瑁釵」。



  「玳瑁」(瑇瑁)も「釵」も何度も取り上げている。もう覚えましたね。

 ■「摧ける」は訓み問題=「くだ・ける」。「くだける」はほかに「麋ける」「齏(韲)ける」「砕ける」がある。音読みは「サイ」。「玉摧」(ギョクサイ)、「破摧」(ハサイ)、「摧朽」(サイキュウ)=「摧枯」(サイコ)=「摧槁」(サイコウ)、「摧挫」(サイザ)、「摧残」(サイザン)、「摧辱」(サイジョク)、「摧折」(サイセツ)=「摧破」(サイハ)、「摧蔵」(サイゾウ、ゾウをくだく)、「摧頽」(サイタイ)、「摧眉」(サイビ、まゆをくだく)、「摧北」(サイホク)、「摧抑」(サイヨク)、「蘭摧玉折」(ランサイギョクセツ)。

 (迂生訳)あなた帰らないでと挽き止める。身も心も一つになって布団の中で秋の夜が更けていく。紅の頰も涙で頽れ、髪もかんざしも乱れに乱れた枕元。。。

 かなりエロっぽいですがな、如亭はん。遊女があんたを離さなかったんやねぇ。。。


(16) 月はサソウに映じて 雨半ば残る

    金釵 卜し罷めて 涙ランカン

    暁来作さず 鴛鴦の夢

    比翼薦空しうして双枕寒し


 ■「サソウ」は書き問題=女性の部屋の設えで、うすぎぬのかかった窓のこと。「紗窓」。



 「紗」は準1級配当で「うすぎぬ」。織り目の粗い薄い絹織物。「紗巾」(サキン)、「紗障」(サショウ)、「紗灯」(サトウ)=「紗籠」(サロウ)、「紗帽」(サボウ)、「紗羅」(サラ)、「紗綾」(サあや)、「紗」(サコク=縮みのうすぎぬ、「」は配当外で「ちりめん」)。

 ■「卜す」(ボク・す)=占うこと。ここは、かんざしを畳の上に投げて、落ちたところの畳の目で吉凶を占う「畳算」のことを指す。

 ■「ランカン」は書き問題=涙がさめざめと縦横に入り乱れ、とめどなく流れるさまをいう。漢検辞典の見出し語にもありますよ。必須語ですね。「闌干」。もちろん、てすりの意味もあるのですが、ここはいささか特別な言い回し。「」は「たけなわ」「おそ・い」とも訓む。したがって、同音異義語の「欄干」「欄檻」では不正解です。やや、難しいか?

 ■「比翼」(ヒヨク)=雌雄の羽がつながって飛ぶという伝説上の鳥を比翼鳥ということから、夫婦が仲良く離れないことの比喩。「薦」は「セン」ですが、表外訓みで「こも」「むしろ」。敷物のこと。

 (迂生訳)わたしの部屋の窓には月明かりが照らし、雨もまだ降り止まない。「畳算」の結果も凶だわ。もうや~めた。さめざめと涙が止まらない。夜来、悶悶として鴛鴦の姿も夢に出ない。二人の布団もいまは一人、枕は二つ。。。。

 う~む、遊女の待ち人は来ないんですね、如亭はん。行ってあげよし。。。

 本日は都内某所に外出していたので、些か疲れ気味なので短めでご容赦を。。。

 ただし、某所とは「如亭ゆかり」のところ。すこし、「取材」してきました。ネタをゲットです。近日中にblogで公開致しますので御期待ください。いよいよ、次回は「吉原詞」の最終回です。お楽しみに。。。


 【今日の漢検1級配当漢字】

盧、攀、掎、覃、碾、曼、搆、掣、拿(拏)、拉、扞、彎(弯)、輓、轢、轅、綢繆、巫、衾、褥、腮、顋、鰓、霑、沾、浹、洽、殫、鼈、玳瑁釵、瑇、摧、麋、齏(韲)、槁、頽、闌、檻

 【今日の配当外漢字】

裯、縠
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char

Author:char
不惑以上知命未満のリーマンbloggerです。
言葉には過敏でありたい。
漢検受検履歴
2006.3  漢字学習スタート
2006.6  2級合格
2006.10 準1級合格
2007.10 1級合格①
2009.2 1級合格②

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