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閶闔に倚門するばかりの帝閽の意地悪=屈原「離騒経」10

中国の名文・美文を噛み締めるシリーズは、憂国の大詩人、屈原の「離騒経」(明治書院「新書漢文大系35 文選<文章篇>」)の10回目です。「天界へと飛翔したが、天の宮殿の門番は門を開けてくれない」という第八段の後半です。


望舒(ボウジョ)を前にして先駆せしめ、飛廉(ヒレン)を後にして1)ホンゾクせしむ。

2)ランコウ余が為に先ず戒め、雷師(ライシ)余に告ぐるに未だ具わらざるを以てす。

吾鳳凰をして飛騰せしめ、又之に継ぐに日夜を以てす。

3)ヒョウフウア)まりて其れ相離れ、4)ウンゲイをイ)いて来り御(むか)う。

紛総総として其れ離合し、斑陸離として其れ上下す。

吾帝閽(コン=天宮の門衛)をして関を開かしめんとすれば、閶闔(ショウコウ=天門)に倚りて予を望むのみ。

時は5)アイアイとして其れ将に罷(きわ)まらんとし、幽蘭を結んで延佇す。

世ウ)溷濁して分かたず、好んで美を蔽いて嫉妬す。


1)ホンゾク=奔属。走り後ろから付いてこさせること。跟随、追随。やや難語です。「望舒」(ボウジョ=月の御者)に「先駆」(先に走らせる)させて、「飛廉」(ヒレン=風神)を後ろに従えて走るという意味。

2)ランコウ=鸞皇。ランとオオトリ。瑞鳥の代名詞。「戒める」はここでは、「蹕、さきばらいをすること」。このあとの「雷師」(ライシ)は雷神。

3)ヒョウフウ=飄風。つむじかぜ。「飄」の一字で「つむじかぜ」。飆風もありか。

4)ウンゲイ=雲霓。くもやにじ。いずれも雨が降る前兆。「霓」は「(雌の)にじ」。霓裳羽衣(ゲイショウウイ=にじのようじうつくしい裳。玄宗皇帝の楽曲名)、霓旌(ゲイセイ=天子の儀仗の旗)。

5)アイアイ=曖曖。薄暗いさま、はっきりしないさま。「曖」は「くらい」とも訓む。曖昧模糊(アイマイモコ=はっきりしないさま)。藹藹も「アイアイ」ですが、こちらは「元気いっぱいであるさま、草木がこんもりと茂るさま、雲がたなびくさま、穏やかなさま」。後ろにある「罷まらん」とか「幽蘭」などの文意から判断するしかないでしょう。

ア)屯まり=あつ・まり。「屯まる」は「あつまる」。やや特殊な表外訓み。たむろする。ずっしりとむらがること。音読みは「トン」。「チュン」と読めば「下に閊えて出きらない、行き悩む」の意。

イ)帥いて=ひき・いて。「帥いる」は「ひきいる」。表外訓み。大勢の先頭に立って指揮をすること。

ウ)溷濁=コンダク。にごる、けがれる。また、にごり、世の中の乱れ。「溷」は「にごり、にごる、みだれ、みだれる」の訓みがあり。溷淆(コンコウ=入り乱れる、溷肴=コンコウ=)、溷廁(コンシ=便所、かわや)。

「紛総総として其れ離合し、斑陸離として其れ上下す。」は面白い対句表現ですね。天界に向かって車に乗って飛び進んでいる屈原。雲や虹が入り乱れて群がったかと思うと離れ離れになり、まだらになったところではきらきら輝きを放ち上に行ったかと思うと下に降りてくる。スピード感に溢れる表現で、この「離騒経」が美文である所以とも言えるでしょう。心躍らせる屈原の真情がにじみ出ています。

ところが、やっとの思いで到達した天界の入り口である宮殿の門だというのに、門番は閂を開けてくれない。なぜなのか?薄暗く暮れ果てる門を前にして、空しく立ちつくす屈原です。手にはかすかに香る蘭の花。ああ、ここでも世の中は乱れて腐っているのか。わたしの美徳は覆い隠され、嫉み妬みに遭うばかりではないか。。。
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Author:char
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2006.3  漢字学習スタート
2006.6  2級合格
2006.10 準1級合格
2007.10 1級合格①
2009.2 1級合格②

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