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「地方の顔」知事はセールスマンか?=王融「永明十一年、策秀才文五首」3

中国名文を囓んで玩わうシリーズは、南朝斉の王融が作成した「永明十一年、策秀才文五首」(永明十一年、秀才に策する文 五首=明治書院発行「新書漢文大系35 文選<文章篇>」)の3回目です。本日のお題は「地方官僚の登用」。地方の時代にいかにして能力を発揮させるか?これも大きな問題です。

【3】
又問う。昔者賢牧陝を分かち、良守共に治め、ア)下邑必ず其の風を樹て、一郷以て績を為す可し。旦に1)メイキンを撫し、日に2)ジュンシュを置く有るに至る。文にして害無く、厳にして残なわれず。故に能く人を阽危(エンキ=崖っ縁)の域より出だし、俗を仁寿の地にイ)す。是を以て賈誼言う、天下の悪有るは、吏の罪なり、と。頃(このご)ろ深く珪符をウ)び、妙に銅墨をエ)ぶ。而るに春雉未だ馴れず、秋螟散ぜず。入りて朕が前に在れば、其の智略を湊め、出でて城守を連ねては、オ)闕爾として聞こゆる無し。豈薪槱(シンユウ=柴を焚いて天の神を祭る祭事、転じて良賢を発掘すること)の道未だ弘からず、網羅の目を為すこと尚おカ)かなるか。意を悉し辞を正しうし、執事に侵さるること無かれ。

1)メイキン=鳴琴。琴を弾くこと。鳴絃・鳴弦(メイゲン)ともいう。風流な楽しみの代表格。

2)ジュンシュ=醇酒。薄めていない濃厚な味の酒。淳酒ともいう。享楽の代名詞。

ア)下邑=カユウ。天子・諸侯・豪族らが治める領地のこと。「邑」は「くに」「むら」とも訓む。邑宰(ユウサイ=村長)、邑入(ユウニュウ=税収)、邑落(ユウラク=むらざと、邑里=ユウリ=)、邑憐(ユウリン=うれえおしむ、悒憐)。

イ)躋す=のぼ・す。高い所へ登らせる。「躋る」は「のぼる」。他動詞と自動詞の違いで訓み分けましょう。音読みは「セイ」。躋升(セイショウ=高い所にのぼる)、躋攀(セイハン=高い所によじ登る、攀躋=ハンセイ=)。

ウ)汰び=えら・び。「汰ぶ」は「えらぶ」。表外訓み。「よなげる」と訓むのが一般的。

エ)簡ぶ=えら・ぶ。選び出す。「揀」(カン)に当てた用法。簡擢(カンタク=選び抜き出す)。

オ)闕爾=ケツジ。欠けていて不完全なさま。闕如(ケツジョ)、闕焉(ケツエン)、闕然(ケツゼン)ともいう。「闕」は「かける、かく」と訓む。「爾」は状態を表す形容詞に付く助詞。徒爾(トジ=いたずらなさま)、卓爾(タクジ=すっくりと高いさま)、莞爾(カンジ=にっこりと笑うさま)。

オ)簡か=おろそ・か。やや特殊な表外訓み。手を抜いてあるさま。「慢」と同義。繁簡(ハンカン)、「簡慢」(カンマン=人との対応や仕事を行うのに手数を省いていい加減に扱うこと、怠慢、手抜き)。

(解釈)また問う。昔、賢明な太守が陝の地で東西に分けて治め、賢良な長官は天子に協力して政事を執り、かくして、どの領地も美風をうちたて、その郷邑も治績を上げることができた。そして、朝に琴を弾じて堂を下らず、日ごと混じりけのない良い酒を飲宴するまでになった。法度を守っても人を害することなく、厳粛な政治を行っても下々を損なうことはなかった。この結果、人々を危難の域から救い、平俗な人々をして仁徳を身につけて命を長からしめたのである。賈誼が「人々が不善であるのは役人の罪による」と断じたのはこのことによる。このごろは、郡守や県令の任命を極力慎重を期して行っている。それなのに、まだ十分な成績は上がらず、春になっても雉は馴れ親しまず、秋になってもずい虫は逃げ出さないというありさまである(季節が本来の姿をみせないほど落ち着かない世の中になっている)。朝廷に居て朕の前では智略を尽くした政策を述べるくせに、ひとたび地方に赴任して長官となるや功績は上がらず、まったく噂にも聞こえてこない。賢牧を登用するの道がまだ狭く、人材を選ぶ網の目が今もなお粗いからであろうか。汝らは意を尽し言葉を正しくして奉答し、担当官にその正論が枉げられないように述べよ。

「珪符」(ケイフ)は「諸侯の身分を示す、玉と、そのしるし。転じて、諸侯の位。また、官位を与えること」。「銅墨」(ドウボク)は「銅印墨綬ともいい、銅製の印と、黒色のくみひも。県令の身分の象徴」。いずれも地方官として任命することです。中央から地方に派遣しても、私利私欲を貪るばかりの無能な役人ども。どうすれば仕事をするようになるのか。地方分権の時代にあって知事や市長ら自治体の首長の役割は確実に増していますが、なかなか、一国一城の主になると天狗になってしまうせいか、思うような業績を上げる人が少ない。セールスマン宜しく自分の売名行為ばかりを優先して国政に打って出ようとする●●●●知事。。。。住民が鉄拳を啖らわすしか手はないのですが、政治に参加する意識をどう養えばいいのか。仕事をしてもらうのではなく、仕事をさせる。仕事をしない奴は、次の奴と取り換える。

かつて韓愈が名伯楽がいないと嘆きましたが、名馬はいるんです。選挙民こそが名伯楽にならなければならないのです。調子のいい弁舌ではない、外見ではない、本質を見極める炯眼が求められます。そのためには、日夜精進するしかないですよね。この国の行く末を案じる人々が増えれば増えるほど、劇的に変わると思いま~す。何を精進するかはひとそれぞれでしょう。このblogを毎日読み込むのも「ある」と思いま~す。

ちなみに、「賈誼」(前201~前168)は前漢の文帝時代の政治家。青年期から詩書に長け、文帝に仕え、最年少の博士を経て太中大夫となり、暦・服色・官名・法律・礼楽などについて建議した。彼の才能を認めた文帝は、公卿の位に昇進させようとしたが、高官たちの中傷にあって実現せず、かえって長沙王の太傅に左遷された(前176)。1年余りで、文帝に呼び戻されて、その末子である梁の懐王の太傅に任じられ、国政について文帝の諮問も受けるようになった。「治安策」や「鵬鳥賦」など数多くの名文を残している。「文選」にも採用されていますが、残念ながら「新書漢文大系シリーズ」(明治書院)では掲載がありません。「新釈シリーズ」を手に入れる必要があります。
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Author:char
不惑以上知命未満のリーマンbloggerです。
言葉には過敏でありたい。
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2006.3  漢字学習スタート
2006.6  2級合格
2006.10 準1級合格
2007.10 1級合格①
2009.2 1級合格②

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