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時の皇帝に「諷り」が過ぎやしませんか?=韓愈「仏骨を論ずる表」4

中国の名文を味わうシリーズは、韓愈の「仏骨を論ずる表」(明治書院「新書漢文大系シリーズ30 唐宋八大家読本・韓愈」)の4回目です。ここからは身近な唐王朝、延いては憲宗帝と仏教の関わり方について論じます。最初は帝を高く持ち上げるのですが、次第に激昂する韓愈。かなり危険コードすれすれの「きわどい表現」が続きます。

高祖始めて隋の禅を受け、則ち之を除かんと議す。当時群臣、ア)材識遠からず、深く先王の道、古今の宜を知り、聖明をイ)推闡し、以て斯の弊を救う能わず。其の事遂に止む。臣常に恨む。

伏してウ)るに、睿聖文武皇帝陛下、神聖英武、数千年已来、未だ1)リンピ有らず。即位の初め、即ち人を度して僧尼道士と為すを許さず。又2)ジカンを創立するを許さず。臣常に以為らく高祖の志し必ず陛下の手に行われんと。今エ)い未だ即ち行う能わずとも、豈に之を恣にし、3)ウタた盛んならしむ可けんや。

1)リンピ=倫比。仲間、同類。倫匹(リンヒツ)、倫輩(リンパイ)ともいう。ここでは「並ぶ物がいない」という意。

2)ジカン=寺観。仏教の寺と道教の寺。「観」は、道士が修行した高い見晴らし台のことを言う。

3)ウタた=転た。副詞用法。時が起つにつれて程度がだんだん激しくなるさま、ますます。「愈」が類義語。

ア)材識=サイシキ。才智と識見。「素質や才能」の意味の場合は「サイ」と読むことに留意。「才」に充てたものでしょう。材幹(サイカン=すべて物事を処理する能力、腕前)、材質(サイシツ=うまれつきの素質)、材武(サイブ=才能があって武勇にも優れていること)、材吏(サイリ=能力のある官吏、腕利きの役人)。

イ)推闡=スイセン。おしひらくこと、真理などを深く尋ね窮める。推究闡明(スイキュウセンメイ)の省略。やや難語。「闡」は「ひらく」「あらわす」と訓む。闡究(センキュウ=研究して明らかにする)、闡校(センコウ=明らかにしてただす)、闡発(センパツ=ひらきあらわす、はっきりと表に出す、明らかにする)、闡明(センメイ=わかりにくいものをはっきりと明らかにする、闡揚=センヨウ=)、闡幽(センユウ=かくれたことを明らかにする、潜んでいるのをはっきり表に出す)。

ウ)惟る=おもんみ・る。和訓。思うに~である。音読みは「イ、ユイ」。既に何度も取り上げています。書き問題でも要注意でしょう。

エ)縦い=たと・い。接続語法。「たとえ~とも」「万が一~とも」。縦令、縦使と用いても同じ意味。

唐の初代皇帝・李淵(高祖=隋王朝から禅譲を受けた)は仏教を擺脱しようとしたのだが、当時の群臣に慧眼鋭い者はおらずに、それは叶わぬこととなった。このことを平素からわたくし韓愈は口惜しいと考えていた。「睿聖文武皇帝陛下」、すなわち今の憲宗皇帝が即位なされた。その高祖にも匹敵する志の高いお方であられるから、高祖の宿志を陛下こそが自らの手で行われるものと常々思っていた。。。

「褒め殺し」という言葉もありますが、ここのくだりがまさにあてはまります。シニカルな見方をすれば「当て擦り」(=諷り)か。さんざん賞め倒して、それなのにどうして仏教を野放図にされているのであろうかと言うのです。唐王朝の初代皇帝の気高い志を努々お忘れではありますまいに……。何を愚図愚図されておられるのか?

韓愈の歯軋りが聞こえてきます。。。
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2006.6  2級合格
2006.10 準1級合格
2007.10 1級合格①
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