スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

求道の師は年齢貴賤に囚われず=韓愈「師説」1

中国名文を噛み締めるシリーズは引き続き韓愈から、今度は「師説」(シのセツ)を紹介いたします。明治書院の「新書漢文大系9・文章規範」(P8)によりますと、「韓愈は親分肌の人物で、多くの弟子を養成していた」とあります。石川忠久氏の漢詩鑑賞事典(講談社学術文庫)の韓愈の解説欄(P392)によると、「彼はよく後進を導き、詩人孟郊・賈島・張籍・王建・李賀、儒学者李翺らを門下から輩出した」。「圬者王承福伝」でも王承福の言辞を耳にして自らの鑒と反面教師としたように、人を教えたり、人から教えられたりするのが好きだったのでしょう。人間同士が上下の身分によらない関係を構築しながら、教えつ教えられつ道を進むことを実践しました。

題材として選んだ「師説」で韓愈は、「師の道」を宣揚し、師弟関係を結ぶことの意味を説きます。しかしながら、明治書院には続けて、そうした韓愈の態度は「当時の貴族的な人々の、嘲笑と攻撃の的となった。彼らからすれば、師とは子供に本の読み方を教える技術を授ける者であれば良いのであって、若僧(韓愈は当時34、5歳)がしたり顔で道を説くなど、笑止千万だった」とあります。若者を集めて徒党を組む韓愈に鼻持ちならなかった官僚たちが多くいたのです。それは、「そのような師弟関係による政治的発動も危惧され、非難と嘲笑がますます高まっていく」という危機意識が根底にはあったようで、韓愈の言動は当時の唐王朝でも無視できない存在だったのは間違いないところ。それに対して韓愈は真っ向から反駁するのです。

底本は明治書院「新書漢文大系」シリーズから、「30・唐宋代家文読本<韓愈>」を基盤としながら、「9・文章規範」の手も借りながら進めようと思います。3~4回シリーズで。漢字や言葉はそれほど難解なものは多くありません。

【1】
古の学者は必ず師有り。師は道を伝え業を授け惑いを解く所以なり。人は生まれながらにして之を知る者に非ず。ア)か能く惑い無からん。惑いて師に従わずんば、其の惑いたるや、終に解けじ。吾が前に生まれて、其の道を聞くや、固より吾より先ならば、吾従って之を師とせん。吾が後に生まるとも、其の道を聞くや、亦吾より先ならば、吾従って之を師とせん。吾は道を師とするなり。夫れイ)ぞ其の年の吾より先後生なるを知らんや。是の故に貴と無く賤と無く、長と無く少と無く、道の存する所は、師の存する所なり。

ア)「孰か」=たれ・か。疑問・反語の助字。誰が、誰を。音読みは「ジュク」。

イ)「庸ぞ」=なん・ぞ。反語の助字。どうして~か。表外訓み。「なんぞ」はほかに、「奚ぞ、那ぞ、奈ぞ、寧ぞ、曷ぞ、渠ぞ、烏ぞ、盍ぞ、胡ぞ、何遽、奚為、奚而」がある。いずれも読めるようにしましょう。

冒頭の「古の学者」とは、「論語・憲問」にある「古の学者は己の為にす」がモチーフ。所謂研究者や学識経験者ではなく、仁を取得するために日々学びを実践する人のことを指しています。韓愈自身が目指すべき求道者の姿です。その道を学ぶ上では「師」という存在が大きいという。

人は生まれながらに道を知っているわけではなく、師に随って学びとっていくものである。そして、ここで重要なのは年齢の上下や身分の貴賤は関係ないということです。縦んば、年下でも下賤な身分でも、自分より先に道理を知っている人であるならば、師として仰ぐべきであると言います。言い換えれば、道そのものが師である。人間の属性はどうでもよい。道理のあるところが師のあるところなのである。

導入部分としては非常に明瞭ですね。何が言いたいかはすっきりと入ってくる。ただ、どうしてわざわざこのくだりをイントロに持ってきているのかは韓愈なりの思いがありそうです。

明治書院「新書漢文大系30」(P73)によると、「貞元18年(802)、35歳になった韓愈は、遂に中央への任官を許される。職は四門博士。国士監(大学)は、身分の上の者から国士学、太学、四門学、律学に別れて学ぶ。韓愈はこの四門学の教員に任じられたのである」と解説が見えます。「師説」は、その意気揚々たるころに編まれたものです。儒学に傾倒した韓愈は孔子を師と仰ぎ、道の体得を追い求めました。果たして、師の神髄とは何でしょうか…?
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

profile

char

Author:char
不惑以上知命未満のリーマンbloggerです。
言葉には過敏でありたい。
漢検受検履歴
2006.3  漢字学習スタート
2006.6  2級合格
2006.10 準1級合格
2007.10 1級合格①
2009.2 1級合格②

calendar
10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
recent entry
recent comment
category
monthly archive
search form
RSS links
links
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。