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草君に饋る「菜根譚」と「止酒」=柏木如亭「詩本草」

 柏木如亭の「詩本草」シリーズの6回目は、第10段「蕈狩りの怪異」の後半です。蕈狩りの最中に道に迷った某生とその下僕の二人が、とある草廬に出くわします。そこで彼らが見たものは、体験したこととは一体。。。。ひゅ~どろどろ。。。

《10蕈狩りの怪異》の続きです

1 これをウカガへば、一老僧、蒲団上に趺坐す。

2 生、径ちに入りて礼を作し、且つ茶を乞ふ。

3 僧応ぜずして石鼎を指す。

4 生と僕と坐して茶をススる。

5 僧復た屋後を指す。

6 因つて首を回らせば、林外宛も一梵宇を見る。

7 至れば則ち宝殿古奥、内に数十の木仏有り。

8 正面に阿弥陀仏を安んず。

9 而して十六聖者左右に排列す。

10その大きさ丈余。

11面貌生けるが如く、も亦た殊だ古し。

12葢し数百年の物ならん。

13生、覚えず信を起して礼拝し、因つて懐中を探り、一方金を捧げて敬賽す。

14殿内に憩ふこと少頃、酒醒めて興趣頓に尽き、看看天色暮れんと欲す。

15将に出で去らんとして忽ち見る、一木像の手を挙げて一像を指すを。

16一像破顔して相顧み、カカ大いに笑ふ。

17生、毛髪尽くち、カンゾク体に遍し。

18須臾にして門外にタクタクとして声有り。

19急に頭を擡げてこれを看れば、僕の屍首のりて樹上に在るを見る。

20生、魂飛び魄散じ、顧みずして走り、既に帰りて主人に告ぐ。

21主人駭きて曰く、「彼の山は相伝へて鬼魅の窟と為す。

22入る者は再び出づること無し。

23君独り何を以て生還することを得たる。

24豈に腰間の鉄、護すること有るか。

25抑信を起して仏を礼す。

26神明陰助するなからんか。

27従僕の死は憫む可しと雖も、君は幸に恙無し。

28請ふ、心を寛うして三盃を喫せよ」と。

29侑むるに酒を以てし、賀して且つ驚きを圧すと云ふ。


1 書き問題「ウカガ・う」。1級配当ですが書けますか?「伺う」「窺う」「闖う」「遉う」「睨う」「俔う」「諜う」「間う」「斥う」「候う」「覗う」ではないもう一つ。→「覘う

  じっと様子を見ることです。音読みは「テン」。「のぞ・く」とも訓む。熟語は「覘候」(テンコウ)、「覘望」(テンボウ)。

  「趺坐」は「フザ」。足の甲を股の上に置く座り方。「結跏趺坐」(ケッカフザ)・「全跏坐」(ゼンカザ)、あるいは「半跏趺坐」(ハンカフザ)・「半跏坐」(ハンカザ)のこと。「趺」は「あし」「うてな」「あぐら」とも訓む。「趺跏」(フカ)という熟語もあり、「趺」「跏」も同じ意味。

  「蒲団」は訓めますか?通常なら「フトン」という唐音読みですが、ここでは別の音読みで。。。。→「ホタン

  えっ?結構難問でしょ。ガマの葉でまるく編んだ敷物。僧が坐禅のときなどに使う。円坐。日本の「布団」は宛字です。「ホタン」と読めるようにしておきましょう。というよりもむしろ、「ホタン」の書き問題が狙われそうです。例えば、「ホタンの上で趺坐する老僧」はいかが。むずいぞ。

2 「径ちに」は訓めますか?表外訓みですが、あまり見慣れない。→「たちま・ち」とルビが振っているが、正確には「ただ・ちに」の方がいいのではないでしょうか。漢字源によると、「回り道をせずまっすぐ、近道を通って、ほかのことをしないですぐに」とある。「径路」(ケイロ)は、近道、捷径(ショウケイ)のことですね。

3 「石鼎」(セキテイ)は、陶器製の茶を烹る道具。「鼎」は「かなえ」。

4 書き問題「ススる」。これはノーヒントで書けてほしい。但し、いずれも1級配当ですが「る」「酳る」「歃る」「哈る」ではないので念のため。。。→「啜る

  音読みは「セツ、テツ」で「すすりな・く」とも訓む。「啜汁」(セツジュウ、しるをすする)、「啜賺」(セッタン)、「啜泣」(テッキュウ)。

6 「宛も」は「あたか・も」。さながら。

  「梵宇」(ボンウ)は、寺院、仏寺。「梵刹」(ボンサツ)とも書く。

7 「古奥」(コオウ)は、古くて奥の深いさま。簡単ですがあまり見かけない熟語です。

8 「聖者」はここでは、「ショウジャ」。まよいを去り、道理を悟った人。ここでは羅漢像のこと。「セイジャ」と読めば、最も高い人徳を身につけ、知恵のすぐれた人、中国の天子。

10 「丈」は「ジョウ」。「一丈」は約3米。

11 「状」は訓めますか?表外訓読みです。→「かたち」。覚えましょう。

13 「一方金」は「イチホウキン」。一枚の方形の金貨。一分金(四分の一両)をいう。

   「敬賽」は「ケイサイ」。恭しく捧げ呈すること。「賽」は「おれいまつ・り」「さいころ」とも訓む。熟語には「賽神」(サイシン)、「報賽」(ホウサイ)、「賽会」(サイカイ、サイエ)、「賽社」(サイシャ)、「賽銭」(サイセン)、「賽日」(サイニチ)、「賽河原」(サイのかわら)。

14 「少頃」は「ショウケイ」。しばらく。「少時」(ショウジ)とも書く。

   「看看」(カンカン)は、みるみるうちに、次第に。

16 書き問題「カカ」。書けますよね?同音異義語は「嘉禾」「禾稼」「哥哥」「禾果」「嬶」「嚊」ですが、その後に「大いに笑ふ」とありますから、OKですよね。→「呵呵

  からからと大声で笑うさま。「呵」は1級配当で「しか・る」「わら・う」「ふ・く」とも訓む。「呵呵大笑」(カカタイショウ)、「呵譴」(カケン)、「呵欠」(カケン=あくび)、「呵詬」(カコウ)、「呵止」(カシ)=「呵禁」(カキン)、「呵責」(カセキ、カシャク)、「呵凍」(カトウ)=「呵筆」(カヒツ)=「呵硯」(カケン)、「訶問」(カモン)。

17 「竪ち」は訓めますか?→「た・つ

  「竪」は準1級配当で「ジュ」、「た・つ」「たて」。「豎」は異体字。熟語は「竪子」(ジュシ)、「竪立」(ジュリツ=身の毛が弥立つ)、「小竪」(ショウジュ)、「竪宦」(ジュカン)、「竪児」(ジュジ)、「竪儒」(ジュジュ)、「竪僧」(ジュソウ)、「竪吏」(ジュリ)。

  書き問題「カンゾク」は浮かびますか?「漢族」「姦賊」「奸賊」ではありません。総毛立ち、体中に「カンゾク」が立っているというのですから。。。。。→「寒粟

   寒さや恐怖の為に、肌にアワのような粒が生じること。鳥肌が立つこと。「粟膚」(ゾクフ)。

18 書き問題「タクタク」はいかがでしょう?「啄啄」ではありません。やや難しいか。ヒントは、骨がぽきぽきという音なんですが。「はりつけ」が大ヒントです。→「磔磔

 「磔」は「はりつけ」「さ・く」と訓む。からだをひきさく、ひきさいて内臓を開くという意味もあります。かなり残酷な漢字。「桀」の一字で「はりつけ」。これに石偏。「磔磔」と言えば、ことこととたたく音の形容、あるいは、鳥の羽ばたく音、鳥の鳴く声の形容が一般的です。この「ぽきぽき」という音が宝殿の外から聞こえてきたのです。何でしょう。

19 「挂りて」は「かか・りて」。「掛かり」と同義。「挂」は1級配当で「ケイ」「ひっか・かる」とも訓む。「挂冠」(ケイカン、官職を辞すこと)=「挂冕」(ケイベン)=「挂綬」(ケイジュ)、「挂歯」(ケイシ)、「挂錫」(ケイシャク)。下男の首が樹上にかかっていたのです。ぎゃぁあああああ~~~~。

20 「魂飛び魄散じ」は「コンと・びハクさん・じ」。恐怖の余り精神錯乱状態になってしまうこと。そのまま四字熟語に「魂飛魄散」(コンヒハクサン)で覚えましょう。

21 「鬼魅」(キミ)は、物の怪。「魑魅魍魎」(チミモウリョウ)。「魅」は「すだま」。

22 「腰間の鉄」(ヨウカンのテツ)は、腰にさした刀。どうしてあなたさまだけ助かったのか?刀のせいではござるまい。

29 「酒」は「シュコウ」。酒と肴。「」は配当外で「おかず、皿の上に交差させて並べる料理」。「核」(コウカク)=「肴核」「函」(コウカン)、「殽烝」(コウジョウ)、「殽饌」(コウセン)、「殽乱」(コウラン)=「殽雑」(コウザツ)。

  「驚きを圧す」は、恐ろしい目にあった者に、酒食を供して心を落ち着かせること。


 さあ、「某生」だけがどうして鬼魅の手にかからず、生き延びることができたのでしょうか?「13」の信心による「敬賽」のお蔭なんでしょうね、単純だけど。あの趺坐して何も語らなかった僧が[物の怪]だった。外で待っていた下男だけがやられた。信心と言うのは咄嗟のとき役立つものなのかもしれません。しかも、意図したものでは駄目でしょう。心の底から感動したとき、その「験」が最大限に発揮されるのです。これは屹度、学習も同じだと思います。漢字検定試験が6月にあろうがなかろうが関係ないんです。いつあってもいいように常に学習を怠らず、咄嗟のときにその実力が発揮できるようでなければならないんです。いささか、牽強付会ではありますが、一歩でもいいから前に進むことが大切なんです。物の怪の話ではありましたが、自分の身に置き換えてみました。こじつけでも何でもいいんです。

 ただ、ひとつ疑問なのは「14」に「酒醒め」とあるのですが、「4」で啜ったのはお茶ですよね。草廬では酒は飲んでいないはずです。ははぁ~ん、草廬に辿り着く前に、「青苔」で下男と「壺觴」を交わしましたよね(前半の「27、28」)。これは既に酔っていましたね。草君のように。。。酩酊状態だ。それでぐるぐる歩き回ったものだから、まさに「桃花源」を見たのではないでしょうか。草廬なんてなかった。宝殿もなかった。十六聖人もなかった。。。。すべては「夢」の中。。。「全裸」にこそなっていなかったものの、いい気分でこの世に無い妄想を見ていたんでしょう。じゃ、下男の首はどうなんだって?何かと見間違えたんではないですかね。今頃、下男もどこかに眠りこけているのではないでしょうか?そういう落ちってあり?。。。ですか?

 んでも、酒って恐いよねぇ。。草君。「強制猥褻」でなく「公然猥褻」だから、大したことないって。反省は必要だが、一度リセットして出直そうよ。ストレスは誰にでもある。酒で憂さを晴らすのもいいでしょう。あの陶淵明だって酒を止めようと思った時期もあるくらいの「失敗」を犯したようだから、君はまだ三十四歳、若いぞ。世間は許してくれると思うよ。且く謹慎して復帰した暁には、また、ニュー「草」として活躍すればいいじゃないか。謹慎期間中には、「菜根譚」を読むことを勧めるよ。一度、挫折を知った人間は強いぞ。このまま朽ちてはいけない。それだけが言いたくて、無理矢理、酒の話を持ち出した次第です。。。失礼。。。
 本日は以上です。

【今日の漢検1級配当漢字】

蕈、趺、賽、臾、擡、挂、魄、駭、曰、憫、雖、恙、闖、遉、睨、俔、覘、跏、歠、酳、歃、哈、啜、賺、刹、禾、哥、嬶、嚊、呵、譴、詬、磔、冕、魑、魍、魎、烝、饌、咄嗟、屹、廬、觴、猥褻
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char

Author:char
不惑以上知命未満のリーマンbloggerです。
言葉には過敏でありたい。
漢検受検履歴
2006.3  漢字学習スタート
2006.6  2級合格
2006.10 準1級合格
2007.10 1級合格①
2009.2 1級合格②

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