スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

露伴「幽情記」で漢検1級直前問題⑧

本日の漢検1級直前問題は露伴の「幽情記」(講談社文芸文庫)から「玉主」というお話を取り上げます。比翼連理、偕老同穴、琴瑟相和、関関雎鳩などなど夫婦間の「永の愛」を風喩する言葉は数多ありますが、このお話も夫婦間の絆、つながりをシンプルにかつストレートに綴っています。先立った妻の魂が現れて、横死した夫の魄を救う―。ま、かなり“ステレオタイプ”でもありますけどね。露伴の格調高い文体で読むと泪が誘われると同時に、奥深い意味の語彙に浸ることができます。あすの「本番」には持って来いの題材ではないでしょうか?

★燕山の美人に劉鳳台といふがありけり。桃の媚、柳の嬌、麗しき人も多かりける中に、新月の眉ア)くやかに、初花の唇、紅包ましく、年いとイ)くて而も色優りければ、おのづから一際勝れて見え、名ある女も其のあたりをば避くるばかりにぞありける。(「玉主」P224)

ア)ほそ・く
イ)わか・く

★しかも歌の声は黄鸝(うぐいす)をあざむき、絃の調は天雲を1)トドむべく、浄机に筆を執りても、小室に針を運びても、万般の事のいと巧みなる…。(「玉主」P224)

1)

★丙卿は家富み才かしこく、風流ウ)華奢にして、香囲2)フンジンにも名を馳せ面を知られゐけれど、眼高くして金盆に凡花を貯ふるを欲はず。(「玉主」P224)

2)粉陣
ウ)カシャ

★今までは思を寄する方もなくてありけるが、一たび鳳台を見てより3)ソガンの竟に遂ぐるを喜び、4)セキジョウの暗に牽くを覚え、たゞには已み難くて遂にこれを納れぬ。(「玉主」P224~225)

3)素願
4)赤縄

★女貌郎才、両々相当りて、琴意瑟情、双々克くエ)へる二人が間は如何に楽しかりけむ。(「玉主」P225)

エ)かな・へ

★君の出でしより、5)シュスイオ)くして光無しといふ詞をば、古き詩とのみ耳に聞き居しが、今の事として目のあたりにぞ見る、鳳台は夫の旅立ちしより、粧の鏡対ふにカ)くして雲の髩(ビン)乱れ、紅のキ)独守れば夜の灯細く、遣る瀬無き情、伸ぶるに由無く、尽くる期知らば、暗き路はるかに遠く、たゞ涙にのみ暮らしける。(「玉主」P225)

5)珠翠
オ)くら・く
カ)ものう・く
キ)ねや

★哀む可し劉女は思に瘻(やつ)れ〽て、終に香魂6)ビョウビョウとして7)コウセンに落ちぬ。(「玉主」P225)

6)渺渺(眇眇)
7)黄泉

★丙卿は此事を知る由も無く、山河ク)迢々夢のみ通ひて、雲樹8)ヨウヨウ暗に傷む旅路のケ)に在りけるが、中夜魂魘(おび)えて、一朝悲到り、コ)を得て、9)ガクゼンとして面を掩ひて泣き、取る物も取りあへず馳帰りぬ。(「玉主」P225)

8)杳杳
9)愕然
ク)チョウチョウ
ケ)はて
コ)

★彼の国の習、亡き人を祭るには、サ)(表外訓み)を用ふ、主は即神の依るところなり。栗の木・桑の木などをもて之を為り、宗廟・家廟に安置して、これに物を供へ心を致して祭る。シ)此方の俗、位牌といふものは、すなはち主なり。(「玉主」P226)

サ)かたしろ
シ)こなた

★璧の光は潤ひ輝りても、胸の闇は沈み黒みて、名をス)り字を刻まんとするにも、未金刀を下さずして腸先づ断え、手を着くべき方も覚えざりしが、辛くして功成りしかば、又長短句の一詩を賦してセ)り添へぬ。(「玉主」P226)

ス)・り
セ)・り

★丙卿は此の玉主をば身より離さず、錦の囊をに代へて此を装ひソ)み、持仏なんどの如く那辺にも随へて、山にも水にも相棄つること無く、旦にも暮にも恒に搔抱きければ、世に10)ショウジョウの人は多かれども、かゝる例は聞かぬことなりとて、或は聊タ)むものもあり、又却て憫むものもありて、談柄(かたりぐさ)とはなりける。(「玉主」P226)

10)鍾情
ソ)つつ・み
タ)あざ・む

★11)ソクソクの情の密に募るには、詩人狂はんと欲す。物を観て感じては、酒の前にも涕あり、チ)に接してツ)めては、夢の後にも猶惑ふ。(「玉主」P227)

11)惻惻
チ)おもかげ
ツ)・め

★長く故き家に在りて、昔の事を想ふ苦しさに得堪へねば、寧知らぬ郷に遊びて、新しき境に吟ぜんには如かじと、丙卿は12)ソウゴ万里の旅を思ひて出でぬ。(「玉主」P227)

12)蒼梧

★13)シッシュツ霜に啼く14)ボウテンの夜は、灯青うして、玉主白く、15)ラバ月にテ)ゆる山路の暁には、悲風襟に落ちて、16)スンカイ凍る、旅路もいかで楽しからんや。(「玉主」P227)

13)蟋蟀
14)茅店
15)騾馬(騾)
16)寸懐
テ)いば・ゆる

★されども帰らんかたも無ければ、駅々(うまやうまや)の数を重ねて、彼の名も高き大江のほとりに出でぬ。17)オウオウたる水、万古流れて、18)ボウボウたる望、対岸低し。(「玉主」P227)

17)汪汪(汪々
18)茫茫(茫々)

★舟を勧むる者の有るに任せて、神ならぬ身の19)ホウテイに投じけるが、雨の日には風加はり、愁ある人には禍至る、口惜の浮世の常態とて、丙卿を乗せたる舟の主こそは、険しき浪の裏に好き魚を漁り、渦なす流の上にト)き腕を揮ふ恐しき20)コウゾクにこそありけれ。(「玉主」P227)

19)篷底
20)江賊
ト)から・き

★書を読むの人、何ぞ刀に血(のり)する人に敵せんや、ナ)れむべし、財物はニ)く奪はれて、身命亦亡はれ、天辺に星黙して、江上水ヌ)き夜半、鳴きて帰らぬ杜鵑、声たゞ闇に消え去つて、寄る方も無き孤漚(はなれあわ)、形はかなく流れ逝きぬ。(「玉主」P227)

ナ)あわ・れむ
ニ)ことごと・く
ヌ)くろ・き

★こゝに蒼梧の司理(つかさびと)あり、官閣に在りて睡りけるに、夢とも現とも無く美しき人現はれ来りて、21)ガビにネ)を含み、22)セイボウに怨を帯び、長袖羞を遮り、素衣怯を蔵して、言はんとするが如く、訴へんとするが如くにして、忽然と消えしが、覚めて陰風の猶身を繞るを覚え、肌粟立ちて、懐うそ寒く、23)カンパイの響き耳に遺りて、24)オエツの態眼に在る心地しければ、こはたゞ事ならじ、迷にもあらじと、起出で視れば、天淡く灯尽きんとして夜は寂に明けんとす。(「玉主」P228)

21)蛾眉(娥眉)
22)星眸
23)環珮(環佩)
24)嗚咽(嗚噎)
ネ)ひそみ

★死生は25)ユウビョウなり、美人の26)メイコンあらはれ出でゝ夫の27)エンパクを救ひしとは、率に道ひ難し、たゞ人の情の至極するところは人の理の悉尽すところにはあらざるべくや。ふしぎなる事もありけるものなり。(「玉主」P228)

25)幽渺(幽眇)
26)冥魂
27)冤魄
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

profile

char

Author:char
不惑以上知命未満のリーマンbloggerです。
言葉には過敏でありたい。
漢検受検履歴
2006.3  漢字学習スタート
2006.6  2級合格
2006.10 準1級合格
2007.10 1級合格①
2009.2 1級合格②

calendar
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
recent entry
recent comment
category
monthly archive
search form
RSS links
links
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。