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「奚囊」の中に詠じた詩を入れる=漢詩学習

本日の「如亭山人遺藁巻二」からは、三首をご紹介します。

まずは「石雲嶺に示す」。

石雲嶺というのは、石野雲嶺(1790~1870)。藤枝の人。石は修姓。雲嶺は号。名は世彝。字は希之・緑窠。菊池五山や梁川星巌ら東海道を往来する文人と交わり、この地の詩檀の中心人物の一人となった。海内才子詩に詩三首を収める。

1)カンゼンショゴ 間と宜し
正に是れ奚嚢 句をア)覓むる時
2)ハイヨウ 3)ザンカ 須らく意を着くべし
秋来何の地か詩無かるべき


1)カンゼンショゴ=寒前暑後。あまり一般的ではないですかね。「秋」をいうとありましたが、寒くなる冬の前、暑かった夏の後ということでしょうか。どこにも解説は見えませんでした。

2)ハイヨウ=敗葉。枯れかかった葉。佩用、胚葉では意味が通らないですね。

3)ザンカ=残荷。枯れ残った蓮。残霞もあり得ますが、これでは残念ながら意味が通らない。以上、敗葉と残荷は秋の風景です。

ア)覓むる=もと・むる。求めるに同じ。音読みは「ベキ」。これまで何度も登場してきました。

「奚」(ケイノウ)というのは、従者に持たせて詩を容れる袋のこと。詩ともいう。唐書・李賀伝に「毎旦日出、出騎弱馬、従小奚奴、背古錦、遇所得句、書投中」(每旦出ヅルニ, 弱馬ニテ出騎シ, 小奚奴ヲ從ヘ,古錦ヲ背ハス。遇タマ句ヲ得ル所トナラバ,書シテ中ニ投ズ。)とあるのが出典です。「奚奴」(ケイド)は「召使い、奴隷」のこと。ちなみに「奚」は1級配当漢字ですが、反語の用法が多い。「なんぞ」と訓読する。「ケイ」と音読みの熟語は珍しいと思います。でも、「奚」や「奚奴」は本番でも出そうな雰囲気がぷんぷんしますね。是非とも覚えておきましょう。

続いて「画に題す (時に岐蘇を歴)」の二首。

岐蘇とは木曾に同じ。

イ)かに4)ヒッケンを収めて5)チョウトに向ふ
一半の年光 帝都に負く
路を走るは前生多く債を欠くるならん
写し来るは亦た是れ遠行の図

山に登り水を渡り杖唯だ陪す
健脚間関とするも首回らさず
一番 6)キケンの路を走過して
胸中の7)キュウガク 添へ来るを覚ゆ


4)ヒッケン=筆硯。「必見」ではないことに注意。ふでとすずり、つまりは書画の必須アイテム。

5)チョウト=長途。長い旅の道のり。「腸肚」ではない。

6)キケン=奇嶮。稍難問です。山などがけわしく聳えるさま。かえって「奇」が難しいですね。奇峭という言い方もあるように、「普通でない、尋常ではない」という意味がある。

7)キュウガク=丘壑。これは平易でしょう。しかし、意味は比喩的。胸の中の丘や谷というのは、山水画の材料のこと。ふつふつと画のネタが湧いてくるというのでしょう。

イ)間かに=ひそ・かに。密かに。

一年の半分を旅に出て、京都(=帝都)には腰を落ち着くことがなかった。負(そむ)くという言葉を使ったのは如亭の本音でしょう。ほんとうはもっとゆっくりと京都にいたかった。でも、わたしにはやることがある。それが「前生の債」。いわば“借金”がまだ残っているというのは、まだまだこの世でやり残したことが多いということ。それは旅から旅を続けて絵を描き、詩を詠じること。それしかないのです。「健脚間関」(ケンキャクカンカン)というのは、彼方此方を歩いて回って転々とすること」。「一番」はここでは「いったん、ひとたび~したら」という意。

このblogも更新し続けるしかないのです。描き続ける中で、胸の中に、ネタが湧くのです。如亭と同じです。次に何を書こうなどとは考えていない。如亭の詩を玩わう中で沸くのです。如亭の詩からインスパイアされたものを表出するのみ。。。
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Author:char
不惑以上知命未満のリーマンbloggerです。
言葉には過敏でありたい。
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2006.3  漢字学習スタート
2006.6  2級合格
2006.10 準1級合格
2007.10 1級合格①
2009.2 1級合格②

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