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陶淵明の「閑情の賦」シリーズ③=エスカレートする脳内ストーキング

 陶淵明の「閑情の賦」も更新しておきましょうね。第三回です。迂生のmixi日記からの転載ですので悪しからず。



 脳内ストーカーはエスカレートします。陶淵明全集・下(岩波文庫)の解説によりますと、「以下につづく『十願』あるいは『十悲』とも呼ばれる十段はこの賦のサワリ(触り=聴かせどころ、詠ませどころ)の部分で最も有名」とあります。既に前段で「願わくは衣に在りては…悲しいかな 羅襟の宵に離るれば、…」でスタートしている「願…悲(嘆)…」のパターンが「十段」連続(あと九段ある)するというのです。今回は二段目から六段目まで見ていきます。まずは「帯」になりたい。


 【2】

 願わくは裳に在りては帯と為り、

 窈窕の繊身を束ねん。

 嗟かわしいかな 温涼の気を異にすれば、

 或いは故きを脱ぎて新しきを服るを。


 ■「繊身」

 =「せんしん」。かぼそい体。「繊」は「ほそ・い」「ちい・さい」との表外訓みがある。「繊細」(せんさい)、「繊毫」(せんごう)、「繊弱」(せんじゃく=孅弱、孱弱)、「繊麗」(せんれい)、「繊翳」(せんえい)、「繊婉」(せんえん)、「繊芥」(せんかい)、「繊姸」(せんけん)、「繊悉」(せんしつ)、「繊嗇」(せんしょく=けち)、「繊繊」(せんせん)、「繊魄」(せんぱく)、「繊微」(せんび)、「繊腰」(せんよう)、「繊羅」(せんら)。

 ■「束ねる」

 =「つか・ねる」と表外訓み。見出し語。たばねる、ひとまとめにしてしばる。「束脩」(そくしゅう=入門する際の進物)、「束帛」(そくはく)、「束身」(そくしん)、「束風」(たばかぜ)。

 ■「嗟く」

 =「なげ・く」。見出し語。感嘆する。また、ためいきをついて悲しむ。「ああ」という簡単語でも訓む。音読みは「さ」。「嗟嘆」「嗟歎」(以上さたん)、「嗟来之食」(さらいのし=さあくらえ、無礼な食事の提供)、「怨嗟」(えんさ)、「咨嗟」(しさ)→「瞻望咨嗟」(せんぼうしさ)、「歎嗟」「嘆嗟」(以上たんさ)、「咄嗟」(とっさ)、「嗟哉」「嗟呼」「嗟吁」「吁嗟」「嗟于」「嗟乎」「嗟嗟」「于嗟」「嗟来」「嗟夫」(以上ああ)、「嗟咨」(さし)、「嗟賞」「嗟称」(以上さしょう)、「嗟悼」(さとう)、「嗟服」「嗟伏」(さふく)、「嗟来」(さらい)。

 ■「服る」

 =「き・る」と表外訓み。見出し語にはない。漢検辞典の意味欄②にある。「佩服」(はいふく)、「着服」(ちゃくふく)、「服翫」「服玩」(以上ふくがん)、「服膺」(ふくよう)→「拳拳服膺」(けんけんふくよう)。「したが・う」との表外訓みもあり、「服喪」(ふくも)がある。


(解釈)なれるものなら、あなたの裳では帯になりたい。だって、たおやかで美しいかぼそいお腰をきゅっと締めてあげたいから。しかし嘆かわしいことに、寒暖の気候が変わると、古い裳・帯を新しいものと取り替えて着られてしまう。また、離れ離れになってしまう。。。ああ。

まずは「帯」ですが、束ねるというと少しSMチックなニュアンスも出ませんかね。勘繰り過ぎか。腰を締め上げると訳したら完全に亀甲縛りですね、はははは。でもやはりここでも落ちは一生傍にいられない。時が来ればストーカーができなくなるということ。


 【3】

 願わくは髪に在りては沢と為り、

 玄鬂(髟+兵)を頹肩に刷わん。

 悲しいかな 佳人の屢屢沐し、

 白水に従りて以て枯煎するを。


 ■「沢」

 =「たく」。「つや」「うるおい」という意味がある漢字だが、ここでは髪にそうした艶を出すための油のこと。鬢付け油。

 ■「玄鬂」

 =「げんびん」。くろかみ。「玄」は「くろ」「くろ・い」との表外訓みがある。「玄鳥」(げんちょう)は「ツバメ」のことだが、玄い鳥の意から来ている。「玄~」の熟語は多く、「玄雲」(げんうん)、「玄英」(げんえい=冬)、「玄猿」(げんえん)、「玄奥」(げんおう)、「玄学」(げんがく=老荘の学問)、「玄鑑」(げんかん)、「玄虚」(げんきょ)、「玄闕」(げんけつ)、「玄黄」(げんこう)、「玄混」(げんこん)、「玄妻」(げんさい=美女、黒髪から)、「玄駟」(げんし)、「玄酒」(げんしゅ=水→太羹玄酒)、「玄裳縞衣」(げんしょうこうい=鶴)、「玄端」(げんたん)、「玄紐」(げんちゅう)、「玄穹」(げんきゅう=天)、「玄兎」(げんと)、「玄翁」(げんのう)、「玄牝」(げんぴん)、「玄冕」(げんべん)、「玄圃」(げんぽ)、「玄妙」(げんみょう)、「玄冥」(げんめい)、「玄燿」(げんよう)。
「鬂」(髟+兵)は配当外ですが「鬢」(びん、ひん)の異体字です。したがって「玄鬢」と書き換えてもいいでしょう。左右両脇の耳際の毛のことだが、御髪全体を指す。「鬢乱釵横」(びんらんさいおう)は女性の乱れた寝姿。

 ■「頹肩」

 =「たいけん」。くずれた肩、撫で肩のことか。「頹」は「くず・れる」とも訓み、熟語は「頽檐」(たいえん)、「頽垣」(たいえん)、「頽岸」(たいがん)、「頽毀」(たいき)、「頽乎」(たいこ)、「頽然」(たいぜん)、「頽思」(たいし=意気銷沈)、「頽弛」(たいし)、「頽勢」(たいせい=退勢)、「頽堕」(たいだ→頽堕委靡)、「頽替」(たいたい)、「頽唐」(たいとう)=「頽墜」(たいつい)=「頽落」(たいらく)、「頽年」(たいねん)=「頽齢」(たいれい)、「頽波」(たいは)、「頽廃」(たいはい=退廃)、「頽敗」(たいはい)、「頽風」(たいふう)、「頽敝」「頽弊」(以上たいへい)、「頽陽」(たいよう=夕暉、落日)。

 ■「刷う」

 =「かいつくろ・う」と表外訓み。これは難しい。辞書には見えない。漢字源には「はく、清める、さっとなでてごみを取り去る」の意味が見えるので、ここから宛字っぽく訓んだものと思われます。そもそも「かいつくろう」は「搔い繕う」で「つくろう、整頓する。容儀の乱れたのをととのえる」という意味。ここでは、はらりと垂れかかった髪の毛をと払い上げることか。「刷毛」(はけ)、「刷恥」(さっち=雪辱)などに要注意か。

 ■「白水」

 =「はくすい」。漢字源には、澄んだ清らかな川の流れとあるが、ここでは、米の研ぎ汁で煮沸して髪を洗う、シャンプーみたいなものか。「白~」の熟語は無数にあるが主なものでは「白堊」(はくあ、はくあく)、「白雨」(はくう=にわかあめ)、「白鷗」(はくおう)、「白玉楼」(はくぎょくろう=文人の死後)、「白衫」(はくさん)、「白粲」(はくさん)、「白皙」(はくせき)、「白叟」(はくそう)、「白地」(はくち、あからさま)、「白蘋」(はくひん)、「白璧微瑕」(はくへきのびか)、「白旄」(はくぼう)、「白面」(はくめん、しらふ)、「白楊」(はくよう)。

 ■「枯煎」

 =「こせん」。見出し語にはない。からからにほされること。「煎」は「い・る」「に・る」と訓み、「煎茶」(せんちゃ)、「煎督」(せんとく)、「煎餅」(せんべい)、「煎薬」(せんやく)、「煎和」(せんわ)、「煎調」(せんちょう)、「焙煎」(ばいせん)、「烹煎」(ほうせん)、「香煎」(こうせん)、「熬煎」(ごうせん)、「煎熬」(せんごう)。


(解釈)なれるものなら、あなたの髪の上で髪油になりたい。だって、その黒髪をその撫で肩の上で梳かしてさしあげられるから。だけど、悲しいかな、あなたは頻繁に髪の毛を洗われるので、米の研ぎ汁と共に洗い流され、からからに乾されてしまうのが落ち。ああ、また離れ離れになってしまう。。。。

次は「沢」(鬢付け油)。髪の毛にべたーっと張り付くさまはまさにストーカーではないでしょうか。その豊かな一本一本に己の情念を浸み込ませる感じが出ています。でも、所詮は清潔好きの女性だから、しょっちゅう髪を洗うのですから、いつまでも張り付いている訳にはいきませんわね。。。諦めなさい。


 【4】

 願わくは眉に在りては黛と為り、

 瞻視に随って以て閑やかに揚らん。

 悲しいかな 脂粉の鮮かなるを尚び、

 或いは華粧に毀たれんことを。


 ■「瞻視」

 =「せんし」。見出し語にあり。目を上げて見ること。見上げること。また、その目つき。「瞻」は「み・る」と訓む。対義語は「瞰」(下を見る)。「瞻仰」(せんぎょう)、「瞻望」(せんぼう)、「瞻望咨嗟」(せんぼうしさ)、「仰瞻」(ぎょうせん)、「瞻依」(せんい)、「瞻前」(せんぜん)、「瞻慕」(せんぼ)。

 ■「閑やか」

 =「のど・やか」と表外訓み。「しず・か」と訓むのが一般的ですが、熟字訓に「長閑」(のどか)があるので何とか訓めそうです。「閑舒」(かんじょ)、「閑暢」(かんちょう)、「閑話休題」(かんわきゅうだい)は余談をやめて話を本筋に戻すときに使うことば。

 ■「毀つ」

 =「こぼ・つ」。見出し語。こわす、やぶる、そりとる、けずる。ほかに、「やぶ・る」「そし・る」「やぶ・れる」「や・せる」と訓みが多いので要注意です。音読みは「き」。「毀壊」(きかい)、「毀棄」(きき)、「毀傷」(きしょう)、「毀損」(きそん)、「毀謗」(きぼう)、「毀誉」(きよ)、「毀誉褒貶」(きよほうへん)、「詆毀」(ていき)、「破毀」(はき)、「毀言」(きげん)、「毀疵」(きし)=「毀短」(きたん)=「毀詆」(きてい)、「毀歯」(きし)、「毀瘠」(きせき)、「毀折」(きせつ)、「毀誹」(きひ)。


(解釈)なれるものなら、あなたの眉の黛(まゆずみ)になりたい。だって、あなたの視線の動きにつれて、静かに上下に動くことが出来るから。でも、悲しいのは、お洒落好きだからしょっちゅうお化粧を塗り直されるのを大事にされるから、すぐに新しいのと塗り換えられてしまうことだ。。ああ、また、さようなら。。。。

ここでは「黛」。微妙なところを考えましたねぇ。眉が動くたびにその視線と共に一緒に動けるかぁ。同じものが見たい。でも目になるわけでなく眉に塗られる黛となってかぁ。マニアックやな。いまならさしずめ、マスカラになって。。。。でしょうか。

 【5】

 願わくは莞に在りては席と為り、

 弱体を三秋に安んぜん。

 悲しいかな 文茵の代り御して、

 年を経るに方りて求められんことを。

 
 ■「莞」

 =「かん」と読む。「い」と訓読み。イグサ科の多年草。ここでは、蒲のこと。沼などの湿地に自生し、茎は円柱状をしており、むしろを織るのに使用する。「ふとい」ともいう。熟語には「莞爾」(かんじ、にっこり)、「莞然」(かんぜん)、「莞席」(かんせき)、「莞莚」(かんえん)、「莞簟」(かんてん=いむしろとたかむしろ)。

 ■「席」

 =「むしろ」と表外訓み。敷物。これまで何度も登場しているがまた御浚いです。「むしろ」はほかに「蓆」「莚」「筵」「蒻」「蒲」「苫」「莞」「藉」がある。

 ■「三秋」

 =「さんしゅう」。三つ意味があり、①陰暦で秋にあたる三つの月。孟秋、仲秋、季秋②九ヶ月③三度の秋。三年間のこと。ここでは、①。

 ■「文茵」

 =「ぶんいん」。文様のある褥(しとね)。虎の皮できていると解説にはある。「しとね」も頻出ですが「褥」「蓐」「衽」「袵」などがある。「茵」の熟語は「茵褥」(いんじょく)、「茵蓐」(いんじょく)、「茵席」(いんせき)、運・不運の「墜茵落溷」(ついいんらっこん)がある。

 ■「経る」

 =「ふ・る」と表外訓み。通常は「へ・る」でしょう。「経過」「経歴」「経渉」などはこの意味です。


(解釈)なれるものなら、蒲のむしろになりたい。だって、秋の三月の間、あなたのかよわいお体を安らかに休ませてあげられるから。だけど、悲しいのは、やがて冬になると、むしろの役目は虎皮のしとねに取って代わられる。また、1年(正確にはマイナス3ヶ月)も待たなければ御用に与れない。。。ああ、秋が来るのが待ち遠しい。。。。

ふむ、次は体の一部ではない敷物か。やや距離を置いて客観的になれたのかな、、、って、ちゃうわ、お尻や、お尻がどっかと坐るんじゃ。こりゃ、楽しい圧迫ですな。苦しい、苦しい、でも、嬉しい。。。ああ、重い、重い、でも、楽しい。。。。臭い、臭い、でも、郁しい。。。(最後のはレッドカード級かも、、、失礼しました、つい興奮してしまって。。。。)いやぁ、三ヶ月もの間、愛しい人と密着ですよ。これは堪らないですね。自らが動けないだけに、サディスティックに甚振られて欣ぶ危ない快楽がそこには潜んでいますね。


 【6】

 願わくは糸に在りては履と為り、

 素足に附きて以て周旋せん。

 悲しいかな 行止の節有りて、

 空しく床前に委棄せらるるを。


 ■「糸」

 =「いと」。ここでは生糸。「糸帛」(しはく)、「糸鞋」(しあい)、「糸涙」(しるい)、「糸綸」(しりん)、「糸桐」(しとう=琴の別名)。

 ■「素足」

 =「そそく」と音音で読む。これだと白い足の意。普通は「すあし」と重箱読みをするが、その場合は、靴下を穿いていない剥き出しの裸足のことですな。案外要注意かも。「素(そ)~」と読んで、「白い~」という熟語は「素衣」(そい)、「素英」(そえい)、「素影」(そえい)=「素彩」(そさい)、「素娥」(そが)、「素冠」(そかん)、「素宦」(そかん)、「素肌」(そき)=「素膚」(そふ)、「素錦」(そきん)、「素景」(そけい)、「素月」(そげつ)、「素絹」(そけん)、「素光」(そこう)、「素糸」(そし)、「素秋」(そしゅう=秋)=「素商」(そしょう)、「素雪」(そせつ)、「素湍」(そたん)、「素読」(そどく)、「素波」(そは)、「素魄」(そはく=月)=「素蟾」(そせん)、「素服」(そふく)、「素面」(そめん、しめん、しらふ)、「素鱗」(そりん=白身魚)、「素練」(それん)。

 ■「周旋」

 =「しゅうせん」。見出し語。人や物事の間に立ち、両者を取り持ったり口添えしたりして世話をすることの意だが、ここでは立ち居振る舞いのことでしょう。一緒になって動くこと。起居と動作(欷歔と礬水ではない)のこと。

 ■「行止」

 =「こうし」。いくことととどまること。行うことと止めること。出処進退。ふるまい、品行。ここでは振る舞い。足の動きのことですね。

 ■「委棄」

 =「いき」。見出し語。物事をほうっておくこと。棄ててそのままにしておくこと。「委」は漢検辞典意味欄③に「すてる、すておく」がある。この意味では「委捐」(いえん)がある。ほかに注意すべき熟語は「委悉」(いしつ)、「委質」(いしつ)=「委贄」(いし)=「委摯」(いし)=はじめて仕官すること、「委靡」(いび)→「頽堕委靡」(たいだいび)⇔「萎靡沈滞」(いびちんたい)は「萎靡」ですが殆んど同じ意味でしょう。


(解釈)なれるものなら、生糸の靴になりたい。だって、あなたの真っ白なおみ足にぴたっと張りついて一緒に動き回れるから。だけど、悲しいかな、あなたの行動にも節目がある。寝る時は脱ぎ捨てて寝台の前に棄てて置かれますよね。

ここでは「靴」。これも一見、体の一部ではないので客観性があるかとも思いますが、いやいや、これこそフェチの極致。素足にぴったり張り付くんですから、何処へ行くのも一緒。食事も游びもトイレの中も。。。。ただし、さすがに寝るときは脱ぐでしょう。忘れたかのようにぽいと棄てられる。この落差がたまらない。あんなに密着していたのにあっさり見捨てられる。。ああ、もっと苛めて。。ぞんざいに扱って。。でも、また朝になったら一緒だよ。。。。おぉ~~っこわ。


以上前半の「妄想ストーカー」行為でした。頭の先から、眉から、尻の下まで、足の先までいつも一緒だよ、愛しいあなた。。。どんどん妄想が膨らんでいくのが分かるでしょう。でも、それはあなたも、わたしも、誰もが大なり小なりやっていること。実際にやったら犯罪ですが、頭の中だけなら何をやってもいいんですから。。。いろんな「パーツ」になった自分を妄想したことありませんか?迂生はありますよ、○▲■××・・・・ですけど、何か?

「十願」の残りの四段は次回にて。。。

(以上、charのmixi日記、2009年3月12日付から転載)



ストーキングは明らかに「ピーク」を越えていきます。段々と密着度が弱くなっていく。脳内から湧き出る「マグマ」が枯渇してきたのかもしれません。いや、まだまだ「踏ん張るぞい。。。」って言っても如何せんエネルギーがぁぁ、、、ああ、愛しいあなたさま。どうか余を見捨てたまふ勿れ―。お願い。


 【7】

 願わくは昼に在りては影と為り、

 常に形に依りて西東せん。

 悲しいかな 高樹の蔭多く、

 時有りて同にせざるを慨つ。


 ■「西東」

 =「さいとう、せいとう」。東奔西走、あちこち歩き回ること。本文では「さいとう」とルビが振ってあるが、どちらかというと和読みっぽいので、「せいとう」の方がしっくりきます。「西する、東する」という読み方もある。

 ■「慨つ」

 =「かこ・つ」と表外訓み。通常は「なげ・く」と訓む。「かこつ」なら「喞つ」「託つ」の方が一般的でしょうか。もっとも、意味的に「なげく」「かこつ」は同義です。「慨世」(がいせい)、「慨慨」(がいがい)、「慨息」(がいそく)、「慨嘆」「慨歎」(以上がいたん)、「慨然」(がいぜん)。


(解釈)なれるものなら、昼間なら影になりたい。だって、いつもあなたの身に寄り添ってあちこち付いてまわれるから。ただ、悲しいことに、高い木の傍だと影も大きいから、その木陰に入ってしまわれるとご一緒できないのが恨めしい。早く出てくださいな。。。

「影」。。。まさにストーキングですね。日の光がある限り、どこまでも付いていける。たとえ木陰に入ってもじっと機を窺っているんですから、大したことではないですね。家に引き籠られるとつらいが、行動的なあなたはいつも外出して歩き回るから安心さ。。ね。いつも一緒だよ。ふっ。ふっ。。ふっ。。。ふっ。。。。ふっ。。。。。



 【8】

 願わくは夜に在りては燭と為り、

 玉容を両楹に照らさん。

 悲しいかな 扶桑の光を舒べ、

 奄ち景を滅して明を蔵すを。


 ■「燭」

 =「ともしび」と訓む。あかりにするため、ともした火。たいまつ(松明)、かがりび(篝火)、ろうそく(蠟燭)など。音読みは「しょく、そく」。熟語には「燭光」(しょっこう)、「燭台」(しょくだい)、「華燭」(かしょく)、「樺燭」(かしょく)、「銀燭」(ぎんしょく)、「紙燭」(ししょく)、「手燭」(てしょく)、「蠟燭」(ろうそく)、「燭花」(しょっか)、「燭影」(しょくえい)、「燭芯」(しょくしん)、「燭心」(しょくしん)、「燭剪」(しょくせん)、「燭竜」(しょくりょう)、「燭涙」(しょくるい)、「秉燭夜遊」(へいしょくやゆう)、「風燭」(ふうしょく)=風前の灯火。

 ■「玉容」

 =「ぎょくよう」。美しい容姿。「玉~」で「美しい~、すばらしい~」と敬意を表わす言い方を1級配当漢字を軸にして列挙すると「玉韻」(ぎょくいん=他人の詩)、「玉宇」(ぎょくう)、「玉顔」(ぎょくがん)、「玉釵」(ぎょくさい)、「玉趾」(ぎょくし)、「玉卮」(ぎょくし)、「玉甃」(ぎょくしゅう)、「玉什」(ぎょくじゅう)、「玉筍」(ぎょくじゅん)、「玉簫」)(ぎょくしょう)、「玉觴」(ぎょくしょう)、「玉漿」(ぎょくしょう)、「玉簪」(ぎょくしん)、「玉塵」(ぎょくじん=雪)、「玉砌」(ぎょくせい)、「玉屑」(ぎょくせつ)、「玉蟾」(ぎょくせん=月)、「玉箸」(ぎょくちょ)、「玉牒」(ぎょくちょう)、「玉兎」(ぎょくと=月)、「玉佩」(ぎょくはい)、「玉帛」(ぎょくはく)、「玉璞」(ぎょくはく)、「玉臂」(ぎょくひ)、「玉貌」(ぎょくぼう)、「玉摧」(ぎょくさい)、「玉塞」(ぎょくさい)、「玉鸞」(ぎょくらん)、「玉輦」(ぎょくれん)、「玉壺」(ぎょっこ)、「玉勒」(ぎょくろく)、「玉珂」(ぎょっか)、「玉函」(ぎょっかん)、「玉几」(ぎょっき)、「玉肌」(ぎょっき)=「玉膚」(ぎょくふ)、「玉斧」(ぎょくふ)、「玉筐」(ぎょっきょう)=「玉匣」(ぎょっこう)、「玉稿」(ぎょっこう)、「玉觥」(ぎょっこう)、「玉鉤」(ぎょっこう)、「玉喉」(ぎょっこう)、「玉闕」(ぎょっけつ)。

 ■「両楹」

 =「りょうえい」。二本の大柱。「楹」は「はしら」ですが、天井から床の間に入った形状が丸い、太いはしら。熟語には「楹書」(えいしょ=遺言状)、「楹棟」(えいとう=柱石)、「楹聯」(えいれん)=「楹帖」(えいちょう)、「一楹」(いちえい)。

 ■「扶桑」

 =「ふそう」。見出し語。昔の中国による日本の呼称。扶桑国。中国の伝説で、東海の太陽の出る所にある神木およびその地の称から。ここでは、太陽そのものを指す。「扶」の意味的には、「たすける」ではなく、「広がって大きいさま」=普、博。熟語には「扶寸」(ふすん=膚寸)、「扶掖」(ふえき)、「扶疏」(ふそ)=「扶蘇」(ふそ)、「扶揺」(ふよう=暴風)。

 ■「舒べる」

 =「の・べる」。見出し語。かたまったものなどを、のばし広げる。心中の思いを述べるの意もある。これは何度も出ている。もう覚えたでしょう。音読みは「じょ」。「舒巻」(じょけん→「けん」の読みに注意、じょかんでもいいようだが)、「旌旗巻舒」(せいきけんじょ)、「舒緩」(じょかん)、「舒暢」(じょちょう)、「閑舒」(かんじょ)、「展舒」(てんじょ)、「舒遅」(じょち)、「舒徐」(じょじょ)、「舒嘯」(じょしょう)、「舒情」(じょじょう)、「舒展」(じょてん)、「舒放」(じょほう)。

 ■「奄ち」

 =「たちま・ち」。漢検辞典の見出し語にはある。にわかに、瞬く間に。「おお・う」とも訓む。音読みは「えん」。「気息奄奄」(きそくえんえん)、「奄有」(えんゆう)、「奄冉」(えんぜん)、「奄然」(えんぜん)、「奄忽」(えんこつ)、「奄人」(えんじん=宦官)、「奄息」(えんそく)、「奄留」(えんりゅう)。漢字源には「たちまち」の意味は見えないので、必ずしも確立されている意味ではないようです。「たちまち」は「忽ち」「驀ち」「輙ち」「輒ち」「溘ち」「掩ち」「倏ち」「乍ち」など宛字っぽいのも含めてある。「倏忽」(しゅくこつ)が最もぴったりでしょう。


(解釈)なれるものなら、夜にはともし火になりたい。二本の大柱の間であなたのうっとりするほど艶やかな姿を照らして差し上げられるから。でも悲しいことに、朝日が差し込んでくると、あっという間にその火は消される。あかりは必要なくなるから。。。朝が来るのが恨めしい。。。朝よ来ないで、邪魔すんな、おらっ。

夜のともし火というのは、これまでと違っていささか距離を置いている。気持ちの中で少し「客観性」が出てきたかもしれません。でも、夜中じゅうずっと寝姿も見ている、じ~っとね。朧げなあかりながらも、ねっとりとしたその視線の先には、愛しい人の肢体が、ああ。夜よ明けないでぇ。このまま夜が続いて欲しい。っていうけど、確かさ、「領」になりたいときは、夜が来たら羅が脱ぎ捨てられるから、早く夜が明けて、朝になって言ってたよなぁ。そらそら、「齟齬」が出てきましたよ。脳内ストーカーに理論矛盾が発生し始めています。妄想のジグソーパズルは完成するのか?


 【9】

 願わくは竹に在りては扇と為り、

 淒飆を柔握に含まん。

 悲しいかな 白露の晨に零ちては、

 襟袖を顧みて以て緬邈たるを。


 ■「淒飆」

 =「せいひょう」。涼風とある。「凄」とは別字だがほぼ同義で使われる。「淒」は「すさま・じい、さむ・い」という意味。「飆」は「つむじ風」で、熟語には「飆風」(ひょうふう)、「飆飆」(ひょうひょう)、「清飆」(せいひょう)、「飆回」(ひょうかい)、「飆起」(ひょうき)、「飆塵」(ひょうじん)。

 ■「柔握」

 =「じゅうあく」。これはちょっと難解だが、柔らかい手で握られること。あるいは、その握られたしなやかな手そのもの。「柔翰」(じゅうかん=筆)、「柔克」(じゅうこく)、「柔日」(じゅうじつ=十干のうちの、乙、丁、己、辛、癸。対して剛日は、甲、丙、戊、庚、壬)、「柔条」(じゅうじょう=若い枝)、「柔脆」(じゅうぜい)、「柔懦」(じゅうだ)、「柔媚」(じゅうび)。

 ■「緬邈」

 =「めんばく」。遥かに遠いこと。また、遥かにあって見えにくいさま。「緬」は「長く細々と続くさま、はるかに遠いさま」。「緬然」(めんぜん)、「緬想」(めんそう)、「緬思」(めんし)、「緬羊」(めんよう)。「邈」は配当外。「貌+之繞」。本文のルビは「ばく」。「まく」とも読む。とおい、はるかという意。遠くにぼんやりかすむさま。ほのかにかすんださま。「あなどる」の意もある。何となく「藐」と似た意味の漢字です。仲間でしょうから、此方は1級配当なのでセットで覚えられたらベターですね。「邈焉」(ばくえん)、「邈乎」(ばくこ)、「邈然」(ばくぜん)、「邈邈」(ばくばく)、「邈視」(ばくし)。「藐」の方では、「藐焉」(ばくえん)、「藐姑射の山」(ばくこやのやま、はこやのやま)、「藐視」(びょうし)、「藐然」「(ばくぜん)、「藐藐」(ばくばく)などほぼ「邈」と同じです。


(解釈)なれるものなら、竹の団扇(うちわ)になりたい。だって、あなたのしなやかな手に握られて涼しい風を送ってあげられるから。たけど悲しいことに、朝になって白露が降りるころになると、寒々として襟や袖を振り返りつつ遥か遠くに身を引かなければならない。団扇は必要なくなるのだから。。。

ラス前の段ですが、「団扇」というのもかなり距離を置いた存在ですね。いよいよ、身に付き纏うことが曠しいことだと分かってきたのでしょうか。ただ、「柔握」と辛うじての接点、触れ合いは求めているところが未練たらたらといえるでしょう。送った風であなたを涼しくしてあげる。。犠牲愛。奉仕愛。何も求めない無償の愛。。。。でも、優しく「に・ぎ・っ・て。。。。。」って、何を??ピー、レッドカード二枚目です。。退場っすよ、お客さん。


 【10】

 願わくは木に在りては桐と為り、

 膝上の鳴琴と作らん。

 悲しいかな 楽しみ極まりて以て哀しみ来り、

 終に我れを推して音を輟めしむるを。


 ■「鳴琴」

 =「めいきん」。琴を弾くこと。また、音を奏でている琴のこと。音を鳴らしたり、音が聞こえたりする「鳴~」には、「鳴珂」(めいか)、「鳴禽」(めいきん)、「鳴絃」(めいげん)、「鳴弦」(めいげん)、「鳴号」(めいごう)、「鳴糸」(めいし=琴)、「鳴謝」(めいしゃ)、「鳴条」(めいじょう)、「鳴鏑」(めいてき)=「鳴箭」(めいせん)、「鳴吠」(めいはい)=「鶏鳴狗盗」(けいめいくとう)、「驢鳴犬吠」(ろめいけんばい)、「鳴鸞」(めいらん)=「鳴鑾」(めいらん)。

 ■「輟める」

 =「や・める」。文字通りやめること。音読みは「てつ」で「輟耕」(てっこう)、「輟食」(てっしょく)、「輟朝」(てっちょう)、「中輟」(ちゅうてつ)。


(解釈)なれるものなら、木であれば桐になりたい。だって、あなたの膝の上で奏でる琴に作られるから。ただ悲しいかな、あまりに楽しい後は急に空しくなって、その悲い気持ちからその琴をおしのけて音を出すのをやめられてしまう。ああ、永遠に奏でてはくださらないのか。。

オーラスは「桐」、そして「琴」。う~む、音を奏でる「楽器」というのはやはり「エロチック」な存在だと思います。快楽を追求する道具というか。でも、琴じゃもうずっと一緒にいられるわけにはいかんわ。少なくともあの人が演奏しているときだけだから、一日のうちの何時間にもなりはしない。すぐに飽きられることも心配していますが、自分ではもう分かっていますね。ストーカーがもう保たないことを。。。諦めの境地の象徴と言えるかも。

「十段」まで続けると、己の脳内のストーカーに限界があることを感じないわけにはいかない。体力の限界ならぬ、脳内の限界、ストーキングの限界。回路がショートを起している。あちこち撞着だらけ。あっちを立てれば、こちらが立たず。こっちを捐てても、あちらも立たず。もう「引退」ですよね、普通。限界を感じたんだから。さて、どうする?次の一手や如何に?このまま、ストーキングは続けられないぞ。もう狂い死にするしかないのか。あなたならどうする?

(以上、charのmixi日記、2009年3月13日付から転載)
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Author:char
不惑以上知命未満のリーマンbloggerです。
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2006.6  2級合格
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2007.10 1級合格①
2009.2 1級合格②

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