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「閻浮檀金」と「白浪滔天」=「碧巌録」で四字熟語

 本日の「碧巌録」からは、「閻浮檀金」(エンブダゴン)と「白浪滔天」(ハクロウトウテン)。

まずは「第一四則 雲門の対一説」の「評唱」に次の一節があります。

 …大いに「無孔の鉄鎚重ねて楔を下す」が如くに相似たり。雪竇文言を使うに、用い得て甚だ巧なり。「閻浮樹下笑うこと呵呵」とは、『起世経』の中に説く。須弥南畔の吠琉璃樹、閻浮洲に映じて、中は皆な青色なり。此の洲は乃ち大樹を名と為て、閻浮提と名づく。其の樹の縦広七千由旬、下に閻浮檀金に聚まれる有り、高さ二十由旬。金の樹下より出生するを以て、故に閻浮樹と号す。所以に雪竇自ら説く、「彼閻浮樹下に在って呵呵と笑う」と。且く道え、他箇の什麼をか笑う。昨夜驪龍の角を拗(ね)じ折られしことを笑うか。…
 前後を端折っているので余計に分かりにくいですね。

 「楔」は「セツ、くさび」。「楔子」(セッシ)とも。

 「須弥南畔」(シュミ)は「宇宙の中心にあるという須弥山」。「吠琉璃」(ベイルリ)は「宝玉の名称」。

 「閻浮洲」は「須弥山シュミセンの四方にあるとされる四大洲のうちの南方。人間界のこと」。

 「閻浮檀金」(エンブダンゴン、エンブダゴン)は漢検四字熟語辞典によれば「良質の金のたとえ」とある。閻浮提(仏教で須弥山の南に在るという大洲の名)にある大樹の閻浮樹(空想上の大木とも、インドに多く産する蒲桃=ふともも=のことともいう)の下に在るという金塊。また、閻浮樹の林を流れる川底にある砂金のこと。その黄金は赤黄色で紫色を帯び、金の高貴なものとされる。「檀」は「那檀」の略で川を意味する。
 「閻浮」の「閻」は「閻魔さま」の「閻」です。1級配当。

 続いて、「第一七則 香林の西来意」の冒頭に次の一節が見えます。

 垂示に云く、釘を斬り鉄を截って、始めて本分の宗師たるべし。箭を避け刀を隈(おそ)るれば、焉んぞ能く通方の作者たらん。針劄不入の処は則ち且く置く、白浪滔天の時如何。試みに挙し看ん。

 「斬釘截鉄」(ザンテイセッテツ)は既出。要復習。

 「隈」は「畏」に通じる。「おそれる」と訓ませている。

 「劄」は「サツ」。「箚」は異体字。針をさすこと。「さす」とも訓む。「トウ」とも読み、「箚青」「劄青」は「いれずみ、ほりもの、タトゥー」。

 「白浪滔天」は、漢検四字熟語辞典には掲載されていません。「大きな浪が天をうつとき、すなわち、全力を最大限に発揮する時」。「滔天」は「大水が天にとどくほどにあふれはびこること、はなはだしく大きい災いや、罪悪に譬える」。「てんにはびこる」とも訓む。「滔」は「水がのたうちまわるさま、こねかえすように水がいきりたつさま」。「滔滔」(トウトウ)は「水の流れるようにしゃべりまくるさま」。

 本日のmixi日記転載四字熟語は次の通りです。

★「黔驢之技」(ケンロノギ)、「屠竜之技」(トリョウノギ)


 「技」ものを二編。「黔驢」は、「自分の腕が悪いのに自覚せず恥を掻くこと、取るに足らない腕前」。「黔」は地名で「驢馬」(ロバ)がいない。或る物好きが驢馬を黔に放し飼いにしたところ、そこにいた虎は、驢馬の嘶きにもビビッて了った。よく視るとたかだか驢馬も次第に大したことないと分かり、虎は昵づくと驢馬に蹴られた。ところが、この程度の力しかないことを悟った虎はしめしめと驢馬を食い殺してしまったという寓話。見掛け倒しはこの世に沢山あります。この漢字学習で得たものも「黔驢之技」で終わらせるつもりはありません。

 一方、「屠竜」は、「学んでも実際には役に立たない技術」。出典は「荘子・列禦寇」で「朱萍(-草冠)漫、竜を屠るを支離益に学び、千金の家を殫くせり。三年にして技成るも、其の巧を用うる所なかりき」。折角、大金を叩いて舎の財産を尽くして学んだ竜を殺す技も、使いどころがなくて、一生かかっても竜にめぐり合うことは無く、無駄になってしまった。よくありますね、この漢字学習で得たものも「屠竜之技」にしてはならない、という強い決意は持っています。

★「妍姿艶質」(ケンシエンシツ)


 美しくあでやかな姿や肉体のこと。「姸」も「艶」も「なまめかしい、あでやか、うつくしい」。出典は白居易の詩とありますが、分かりません。ただ、「妍」は「うつくしい」と読み、「妍を競う」で頻出ですし、女子フィギュアスケートのキムヨナの「金妍児」で使われているので覚えるのはOKでしょう。「暄妍」(ケンケン)、「妍醜」(ケンシュウ)などがあり。「艶」は「あでやか」。熟語が多く造語力たっぷり。「艶聞」=エロ噂、「艶福家」(エンプクカ)=モテ男、「艶姫」(エンキ)=芸能界で言えばいまならセクシー歌姫、「艶笑小噺」(エンショウこばなし)。


★「形名参同」(ケイメイサンドウ)


 口で言うことと実際の行動を一致させること。言行一致。四字熟語辞典には「参同」を「賛同」と書き誤るなと注意書きが。出典は「韓非子・主道(あるいは揚権にも見える)」で「言有る者は自ら名を為し、事有る者は自ら形を為す。形名参同して、君は乃ち事無く、これを其の情に帰す」。意見のある臣下は自分から進んで述べ、仕事をしようとする臣下も進んで実績を示すようになる。そこでその意見と実績を付き合わせて一致するかどうかを調べれば、君子は何も難しいことをしないで、その実情に任せることができるのだ。形と名を照らして調べるという功績の考課方法です。現代の企業社会で通用するでしょう。形も名も大事なのです。どちらか一方では駄目。明確なビジョンと結果。これが揃って一人前。韓非子らしい成句です。


★「厥角稽首」(ケッカクケイシュ)


 相手に対して最敬礼すること。出典は「孟子・尽心・下」で「其の角を崩すが若く稽首す」と読む。「(殷の民)崩るるが若く厥角稽首せり。征の言たる、正なり。各己を正さんことを欲せば、焉んぞ戦を用いん」から。「厥」はやや難で「ぬかずく」と読む。周の武王が殷を討った時に言った台詞。「暴君・紂王を仆すのが目的で、うぬら一般ピープルに敵意は持って居らぬ」。これに殷の民衆が拝礼したさまを表わしています。征服の征はもともと、正すという意味で、暴君から民衆を正す(=救う)ことが目的だから、戦争の必要はないのだと言うのです。

 それにしても何故に「角」なのか?殷の民衆に角が生えていたとでも言うのか?それとも何かの比喩なのか?岩波文庫の註釈によりますと、額が盛り上がっているさまを角というとか、角が崩れるようにぬかずいたという比喩表現であるとか書いてありました。

★「奔逸絶塵」(ホンイツゼツジン)


 非常に速く走ること。疾走することで、韋駄天走が類義語。「絶塵」は「超塵」と同じで「空を切ること」。「逸」は「佚」とも書く。出典は「荘子・田子方」で「顔淵、仲尼に問うて曰く、夫子歩めば亦た歩み、夫子趨れば亦た趨り、夫子馳すれば亦た馳す。夫子奔逸絶塵すれば、而ち回や後に瞠若たりと」。何とか師である孔子に付いて行こうとする顔回ですが、さすがに疾風のごとく疾駆されるとあきれて後姿を見送るばかりと嘆きます。しかし、顔回のいう奔佚絶塵とは文字通りにとってはいけません。ものも言わないのに民からの信任が篤く、誰に阿りもなく均等に付き合い、君主でもないのに民が滔まってくる、こうした孔子の徳の本源がどこから生まれるのか分からないといっているのです。多少なりとも先生の口先の議論講話くらいなら真似できるが、持っている徳となると先に往きすぎています。これに対する孔子のこたえは。。。興味の御仁は原典に当たってみましょう。面白い。

★「挙一明三」(コイチミョウサン)→「碧巌録」シリーズで既出


 一つのことを挙げ示せば、三つのことを知り悟る意。理解の速いこと。漢検四字熟語辞典には「一を挙ぐれば三を明らかにす」とも読むとあり、読みが特殊であることに注意と喚起しています。出典は彼の有名な「碧巌録」。岩波文庫から出ているのでアクセスは容易。一度読んでみたいと思います。某サイトには、「白い紙の一隅を持ち挙げれば残りの三隅が付いて上がって来て自ずからその全貌が見えてしまう」ともありました。成る程、四角い紙をどう持ち上げるかなんですね。本来、一隅を持っただけでは全体が見えるはずもないのに、それができてしまう。「挙三明一」(注:こんな四字熟語はない)じゃあ当たり前、せめて「挙二明二」(注:これもない)くらいには成りましょうね。対義語は「一知半解」(イッチハンカイ)でしょうか。生半可な知識はないに鈞しいし、いらない。
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不惑以上知命未満のリーマンbloggerです。
言葉には過敏でありたい。
漢検受検履歴
2006.3  漢字学習スタート
2006.6  2級合格
2006.10 準1級合格
2007.10 1級合格①
2009.2 1級合格②

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