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アラフォー世代だけじゃないぜ、「菜根譚」ワールドを咬もうよ

 柏木如亭が飽きたというわけではないですが、ここらで少し「毛色」を変えて「菜根譚」を翫わうことにします。なぜに「菜根譚」なのかは特別な理由はありません。このblogを開設する以前、一度、mixi日記で採り上げたことがあります。この書物の詳細などについてご関心がある向きは、mixiのIDがあれば御覧下さい(ここ)。

 この時は「アラフォー以上にお勧め」なんてこと書いているけれど、そんなことはないですね。20歳代、30歳代だって、いやいや小・中・高校生だって、それぞれの年齢で、それぞれが置かれた状況で、それなりにしみじみ翫わうことができます。ただ、「理念」だけじゃしょうがないのも事実なので、実際の「体験、経験」に基づいて読んだ方がより共感できるというだけのことです。人生経験が長ければ、長いほどもっと胸に染み入るという違いがあるだけです。

 現在、不惑以上知命の世代で漾う、いや、彷徨う迂生にとって人生で最も厳しいけれど、深く考えることの多い時期です。だから、改めて「菜根譚」を翫わいたのです。数回シリーズで。。。そして、またまた問題形式を採用させていただきます。岩波文庫の今井宇三郎訳注を底本とさせていただきます。

 まずは、やはり「菜根譚」シリーズのオープニングも陶淵明つながりから。。。今回改めて全体をざっと概観したのですが、陶淵明を引用するケースが多いことに初めて気が付きました。さすが隠逸詩人は詩の世界だけでない、思索の世界にも深遠なる影響を与えています。

 「後集43条」です。

 チクリの下、忽ち犬吠え鶏鳴くを聞けば、コウとして雲中の世界に似たり。ウンソウの中、雅に蟬吟じ鴉噪ぐを聴けば、方に静裡のケンコンを知る。

 短いでしょ。菜根譚の特徴は箴言がコンパクトだということです。今井氏の解釈はこうです。

 竹垣のあたりで、ふと、犬が吠え鶏が鳴く声が聞こえてくると、ついうっとりとして白雲の仙郷にいるように思われる。また、書斎の中にいて、いつも、蟬が鳴きからすが騒ぐのを聴いていると、(その自然な歌声で)、ついそれによって閑静な別天地にあることがわかる。

  ここでは、陶淵明の「桃花源記」の「鶏犬相聞こゆ」をベースに書いている。柏木如亭が訳注した「聯珠詩格」でも多くの詩人が「鶏犬相聞こゆ」をモチーフにしていました。かように、中国の詩人や思想家にとって、鶏と犬はセットで「仙郷」の風物、シンボルを想起させるのでしょう。

 ■いきなり冒頭で「チクリ」と蚊が刺すような言葉ですが、浮かびますか?その後に続く、「ウンソウ」と対比させています。それぞれ、場所を表しています。解釈をみれば瞭然で、おのおの「竹垣」と「書斎」という意味。分かりますね。「ウンソウ」は難しいかも。。。


 正解は「竹籬」と「芸窓」。「籬」は「ませがき」「まがき」と訓む。熟語では「籬下」(リカ)、「籬垣」(リエン)=「籬藩」(リハン)=「籬牆」(リショウ)、「籬菊」(リキク)、「籬豆」(リトウ)、「籬辺」(リヘン)=「籬畔」(リハン)、「籬落」(リラク)、「垣籬」(エンリ)、「東籬」(トウリ)。
 「芸」(ウン)は「くさぎ・る」「かおりぐさ」とも訓ます。「芸」とは別字であることに留意しましょう。芸術などに用いる「芸」は「藝」の新字体であって、もともとあった「芸」とは出自が異なります。たまたま同じ字体になったということですね。一方、今回の「芸」は、草の名でミカン科ヘンルーダ属の多年草。特有のかおりがある。昔、書物の間にはさんで、防虫剤とした。ヘンルーダ。芸香(ウンコウ)ともいう。転じて、蔵書や、書斎の意味を持つようになった。「芸閣」(ウンカク)、「芸芸」(ウンウン)、「芸黄」(ウンコウ)、「芸斎」(ウンサイ)、「芸省」(ウンショウ)、「芸台」(ウンダイ)=「芸署」(ウンショ)、「芸帙」(ウンチツ)。それでも、「ウンソウ」は少し難しく、浮かび難いかもしれません。「ソウ」が窓で「書斎」を意味するというのはなかなか発想として出てこないでしょう。

 ■「コウ」はいかがでしょう?「コウとして」という状態を示している。解釈によりますと、「うっとりとして」。これでお分かりですね。



 正解は「恍」。「ほの・か」「とぼ・ける」とも訓む。熟語は「恍惚」(コウコツ)、「恍然」(コウゼン)、「恍惚大悟」(コウコツタイゴ)、「恍恍」(コウコウ)。

 ■「雅に」は「つね・に」と表外訓み。稍難しいです。漢字源によると「平素から使い慣れているさま、また、いいなれているさま」とある。「雅素」(ガソ)、「雅志」(ガシ)、「雅故」(ガコ)の熟語例が見えます。

 ■「方に」は「まさ・に」と表外訓み。「方に~を知る」で「初めて~を知る」。

 ■「ケンコン」は特に問題にする必要もないんですが、漢字検定1級試験では二回に一回は必ず出題されると言ってもいいほど頻出語なので肯えて注意喚起も含めて出しました。ノーヒント。



 正解は「乾坤」。周易(易経)の八卦の一つ。「乾」が天、「坤」が地。陽と陰、男と女。「いぬい」(西北)と「ひつじさる」(南西)の方角も表わす。「旋乾転坤」(センケンテンコン)は「天地をひっくり返す」。本文の「静裡の乾坤」を「閑静な別天地」と訳しているのは上手い訳だと思います。


 外に出て桃花源を思えば雲界に居るが如し。内に居ても蟬、鴉のうるさい声も逆に静けさの世界を感じるのだ。自然を賞でる心は人間を優しくします。ぎすぎすした塵埃の世界から一日も早く抜け出して迂生は「仙界」に辿り着きたいと思っているのですが、いつのことやら。。。

 次は「後集94条」です。ここも「鶏犬相聞こゆ」から。。。


 文は拙を以て進み、道は拙を以て成る。一の拙の字、無限の意味あり。桃花に犬吠え、桑間に鶏鳴くが如きは、何等のジュンロウぞ。寒タンの月、古木の鴉に至っては、工巧の中に、便ちスイサツの気象あるを覚ゆ。

 今井氏の解釈を見ましょう。

 文を作る修業は拙を守ることで進歩し、道を行う修養は拙を守ることで成就する。この拙の一字に限りない意味が含まれている。「桃の花咲く村里で犬が吠え、桑ばたけの間で鶏が鳴く」などというのは、なんと素直で味わいのある文章であろう。これに対して、「深く澄んだ淵に映る月影、枯れ枝にに止まっているからす」などというのは、(配合の妙は)いかにも巧みだが、かえって生気のない寂しい趣を感じる。

 ■「拙」(セツ)が三度も登場します。つたない、小細工を弄せず、自然で飾らぬ意。次の「工巧」(コウコウ)の対極にある語。今井氏の解説によると、「守拙」(シュセツ)という熟語に使う。同じく陶淵明の「園田の居に帰る」(五首の其の一)に「荒を南野の際に開かんとし、拙を守って園田に帰る」がある。「世渡りべたなもちまえの性格を守り通す」という訳が見える。

 ■「ジュンロウ」は難しいですよ。同音異義語は「醇醪」。これはまじりけのない濃い酒のことで「濃醪」(ノウロウ)ともいう。「醪」は「もろみ」「どぶろく」「にごりざけ」とも訓み、「濁醪」(ダクロウ)、「醪醴」(ロウレイ=にごり酒)などがある。余談は扨措き、「ジュンロウ」ですが、今井氏の訳によると、「素直で味わいのある」となっています。「ジュン」で「すなお」と言えば、「醇」「純」「淳」などが浮かびますね。ここは「淳」で行きましょう。問題は「ロウ」です。「ロウ」で味わい深いというのはどうでしょう?「ロウ」で1級配当漢字を探してみると、「醪」「髏」「隴」「陋」「鑞」「鏤」「踉「褸」「螻」「螂」「蘢」「薐」「」「臈」「莨」「臘」「縷」「簍」「癆」「瘻」「瓏」「琅「潦」「櫟」「窶」「楞」「朧」「壟」「哢」「僂」などかなり多いです。でも、この中にはないんです。実はもう一つ意味があって「入り乱れる」という時は「ホウ」と読む漢字なんです。分かりますか?これは難問奇問の部類ですね。分からんでも文句ないです。


 正解は「淳」。「淳」は「すなお」「あつい」「きよい」などと訓む。熟語には「淳澆」(ジュンギョウ)、「淳厚」(ジュンコウ)、「淳淳」(ジュンジュン)、「淳徳」(ジュントク)、「淳風」(ジュンプウ)、「淳良」(ジュンリョウ)、「淳魯」(ジュンロ)、「淳和」(ジュンワ)などがあり、いずれも「醇」との書き換えが可能です。
 そして、超難問の「」。厚みがあって大きいという意味では「ロウ」、「とりとめもなく乱れたさま」では「ホウ」と音の読み分けがなされます。熟語は「錯」(ホウサク)は、もやもやと入り乱れるさま。三国時代に蜀の諸葛亮とともに、劉備に仕えたのは「統」(ホウトウ)。「涓」(ホウケン)は、戦国時代の魏の武将の名。「眉皓髪」(ホウビウコウハツ)は、太い眉と白い髪、老人のこと。「龐龐」(ホウホウ)は、充実したさま、もやもやとして大きいこと、ぼんぼんと鳴る太鼓の音。漢字源ではこうなっていましたが、これは「ロウロウ」の方が正確かもしれません。ここはあやふやです。すいません。

 ■「タン」は「淵」のこと。もちろん1級配当漢字で「タン」では「痰」「憚」「餤」「靼」「鐔」「酖」「鄲」「赧」「賺」「譚」「覃」「襌」「袒」「蜑」「蕁」「緞」「站」「眈」「猯」「澹」「湍」「毯」「殫」「檐」「摶」「蛋」などまだまだありますが、余計なことはいいですね。淵ですから。。。



 正解は「潭」しかない。「ふち」「ふかい」とも訓み、「潭影」(タンエイ)、「潭思」(タンシ)、「潭湫」(タンシュウ)、「潭心」(タンシン)、「潭深」(タンシン)、「潭潭」(タンタン)、「潭府」(タンプ)など。

 ■「スイサツ」は「推察」でないのは瑩らか。「生気のない寂しい趣」で浮かぶかどうかです。「サツ」が案外難しいかもしれません。通常は「風のさっと吹くさま」なんですが、ここでは「やせほそるさま、衰えるさま」を意味する。これが大ヒントです。


 正解は「衰颯」。おとろえてしおれる、おとろえて勢いがなくなること。「颯」は「颯颯」(サッサツ)、「颯然」(サツゼン)、「颯爾」(サツジ)、「颯爽」(サッソウ)、「颯沓」(サットウ)。これも難問ですかね。


 この篇では、文章を作る上での重要なポイントを舒べています。「拙」が大事だと。。。陶淵明のシンプルな表現は「拙」だと言うのです。だからこそ、素直で味わいが深い。ところが、あまりに技巧に走ると、巧みでも生気がない表現に陥ってしまうことがあると戒めています。でも、これは難しいよ。陶淵明ブランドと、その他ブランドじゃ、天と地、雲壌月鼈ですよね。淵明が詠めば何でもいいかと言うとねぇ。。。ただ、感じたことを素直に詠むということが如何に難しいかは、詩や文章を書いてみれば誰しもがぶち当たる壁。しかし、その壁は書くことによってしか、書き続けることでこそ、凌駕できるものと信じています。その思いだけは失わずに迂生はblogを認め続けます。

 本日は以上です。「菜根譚」ワールドは限りなく深いぞ。。。

 【今日の漢検1級配当漢字】

 今日は稍多めです。

 譚、漾、彷徨、箴、鴉、噪、裡、籬、芸、牆、帙、恍、醪、醴、扨、髏、隴、陋、鑞、鏤、踉、褸、螻、螂、蘢、薐、、臈、莨、臘、縷、簍、癆、瘻、瓏、琅、潦、櫟、窶、楞、朧、壟、哢、僂、龐、澆、涓、痰、憚、餤、靼、鐔、酖、鄲、赧、賺、譚、覃、襌、袒、蜑、蕁、緞、站、眈、猯、澹、湍、毯、殫、檐、摶、蛋、潭、瑩、湫、颯、舒、鼈、稍

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char

Author:char
不惑以上知命未満のリーマンbloggerです。
言葉には過敏でありたい。
漢検受検履歴
2006.3  漢字学習スタート
2006.6  2級合格
2006.10 準1級合格
2007.10 1級合格①
2009.2 1級合格②

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