スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「挙一明三」と「截断衆流」=「碧巌録」で四字熟語スタート

 前回は迂生が考える四字熟語学習の有用性の一端を披露いたしました。姑くは四字熟語の習得を目指しますことにします。

 まず、mixi日記で昨年12月、2回目の漢検1級受検に向けて最大のキーポイントとなる四字熟語を猛烈に学習した軌跡があります。芥川に引き続き、これも改めてこのblogに転載することとしましょう。当時は2週間かけ、かなりのロングラン連載となっております。ただ、単純に四字熟語を覚えるのではなく、その言葉が生まれた背景や附随した知識なども網羅しているので、古人の糟魄を嘗めるという趣旨には叶っているのではないかとも思います。1級配当もさることながら、むしろ常用系や準1級系も数多いので、総合的な語彙力を増強するのに相応しい内容ではないかと自負します。

 採取は日本漢字能力検定協会が発行の「漢検四字熟語辞典」。この中から採録した熟語は迂生のセンスです。すなわち適当です。本番の試験で問われたら難しいだろうなぁと思うものを特にピックアップしております。人によっては「そんなの出ないよ」と思うものも多く含まれているかもしれませんが。。。

 そして、迂生としては過去を擬えるだけの「パクリ」だけでは詰まらない。最近、岩波文庫から出ている「碧巌録」という書物(上・中・下)を読み終えたのですが、ここに四字熟語が数多く網羅されていることに気づきました。しかも1級本番に出そうなものばかり。したがって、「碧巌録」を使って四字熟語を学習することは有効ではないかと考えました。

 「碧巌録」とは、中国の禅の教科書、教本です。Wikipediaによると、「宋時代(1125年)に圜悟(エンゴ)克勤によって編された。雪竇(セッチョウ)重顕選の公案百則に、垂示(序論的批評)、著語(部分的短評)、評唱(全体的評釈)を加えたもの。」

 唐代に始まった禅の教壇が、その後の五代の争乱期を経て宋代になると、禅に対する関心が広まり、あらゆる階層からの受容者が増えた。すると、これに呼応してさまざまな経典が乱立する事態となりました。そこで、禅の教科書を一本確立する必要性が強まり、まとめられたのがこの「碧巌録」なのです。雪竇が詠じた頌(ジュ)という詩と禅の奇妙な習合。単なる「教条性」を重視するのではなく、禅の受講生が陥る受身的な姿勢を砕き去る「攻めの仏教典」であるのが特徴です。

 正直言ってその内容はかなり難解です。禅問答であり、漢字検定配当外の漢字も多数登場。迚も迂生の手に負える物ではありません。しかし、四字熟語を手掛かりに、その「一端」でも翫わえればいいのではないか、そう考えました。繰り返し出て来る言葉や言い回しは多く、続ければ何となく馴染んで来る物もある。ま、少しやってみましょうや。。。

 これから四字熟語の転載と「碧巌録」のコラボレーションで四字熟語を克服していきましょう。少しでも記憶に残れば御の字ですね。

 まずは、幾つかの「序」と「巻第一~第三」の「碧巌録・上巻」。気が付いた四字熟語は「挙一明三(コイチミョウサン)」と「截断衆流」(セツダンシュル)です。巻第一の第一則の冒頭に次の一節があります。

 垂示に云く、山を隔てて煙を見て、早に是れ火なることを知り、牆を隔てて角を見て、便ち是れ牛なることを知る。挙一明三、目機銖両は、是れ衲僧家尋常茶飯。衆流を截断するに至っては、東涌西没、逆順縦横、与奪自在なり。正当恁麼の時、且く道え、是れ什麼人の行履の処ぞ。雪竇の葛藤を看取(み)よ。

 「挙一明三」では、「挙」を「コ」と表外音読みするのでこれは1級配当の四字熟語です。「キョイチミョウサン」ではないので要注意です。一を挙げて直ちに三を知るという「明敏」をたとえる言葉です。それに続く「目機銖両」(モッキシュリョウ)も、一目見てその銖(わず)かな重さを知ることで、目敏い人たれということです。「銖」も「両」もわずかな重量単位。四字熟語辞典には載っていないですが、覚えておいて損はないでしょう。とりわけ「シュリョウ」は書き取り問題で出そうで、同音異義語で「蒐猟」「酒量」「酋領」に注意しましょう。

 「截断衆流」は、あらゆる知見を截ち切ること。四字熟語辞典には「俗世間の雑念妄想をたちきること、修行者が煩悩を絶ち切ること」とある。「シュル」とこれも特別な読みですが、岩波文庫では「シュリュウ」と普通に読ませている。「コチチミョウサン」とは違って「ル」でも「リュウ」でもどちらでもいいのでしょうね。「截」が1級配当ですね。基本。

 「東涌西没」(トウユサイモツ)は、東に西に出没自在ということ。

 ちなみに「恁麼」と「什麼人」は読めますか?難しいですが、「インモ」と「いかなるひと」。「恁麼」は「ちょうどこの時、如此」という意味。「什麼」は「何」という意味。

 さて、mixi日記転載の第一回は以下の四字熟語。

★「亥豕之譌」(ガイシのカ)
★「三豕渡河」(サンシトカ)

 書き誤り。類義四字熟語が目白押しです。「魯魚章草」(ろぎょしょうそう)、「魯魚帝虎」(ろぎょていこ)、「烏焉魯魚」(うえんろぎょ)、「魯魚之謬」(ろぎょのあやまり)。似た者同志の漢字をこの際、覚えましょう。「帝」と「虎」はあんまり似ていないかも。

 「亥」は「いのしし」、「豕」は「ぶた、いのこ」。「豕交獣畜」(しこうじゅうちく)もあります。「孟子・尽心」の「食(やしな)いて愛せざるは之を豕として交わるなり。愛して敬せざるは、之を獣として畜(やしな)うなり。」が出典で「人を豚扱いにして、犬や馬を飼うのと同様に扱うこと」。賢者の扱い方を諭している箴言です。「封豕長蛇」(ほうしちょうだ)も忘れずに。「貪欲で残酷な人や国のたとえ。大(封)きな豚と長い蛇の意」。「遼東之豕」(りょうとうのいのこ)=「狭い世界で育ち他の世界を知らないため自分だけ優れていると思い込んで得意になっていること。ひとりよがり」。

 「魯」と「魚」は似ているっちゃあ似てますが。ちなみに、「魯」は地名でもあり、孔子の生まれ故郷。孟子の生まれ故郷は「鄒」。二つ合わせて、「鄒魯遺風」(すうろいふう)。孔子と孟子の教え、すなわち儒教のこと。「鄒魯之学」(すうろのがく)ともいう。しかし、なぜに「魯鄒」(ろすう)と言わないのか?「鄒」と言えば、「蒙求」の「鄒衍降霜」(すうえんこうそう)もあり。ただ、意味は今ひとつ不明。鄒衍は戦国時代の人名で陰陽五行の使い手のようです。→「語本《淮南子》:鄒衍事燕惠王盡忠,左右譖之王,王繫之獄。仰天哭,夏五月,天為之下霜。」


 ★「螻蟻潰堤」(ロウギカイテイ)
ほんの些細なことが油断となって、のちのちには大事になること。「小隙沈舟」(しょうげきちんしゅう)もほぼ同義。「螻蟻(ろうぎ=けらとあり)が堤を潰(ついや、つぶ)す」。出典は「韓非子」(喩老)の「千丈の堤は、螻蟻の穴を以て潰(つい)え、百尺の室は、突隙(とつげき)の烟を以て焚(や)く」。この場合の突隙は「竈の小さな隙間のこと」。


 ★「鴒原之情」(レイゲンのジョウ)

兄弟の深い情愛のこと。水鳥である「鶺鴒」(せきれい)が高原で鳴いているような危急の時には、兄弟の深い情愛が助けになるということ。出典は「詩経」(小雅・常棣)で、有名な「常棣(じょうてい)の華、鄂(がく)としてイイ(「革+華」、難しいので平かな)たらざらんや」から来ている「棣鄂之情」(ていがくのじょう)も兄弟の情愛の深いことをいう。「棣鄂」は「にわうめ」。「鄂」は「花がぱっと咲く形容」。

 このあと、「凡そ今の人、兄弟に如くは莫し。死喪の威れには、兄弟のみ孔(はなは)だ懐う。」と続いて、かの有名な「兄弟牆(げき)に鬩(せめ)げども、外其の務(あなど)りを禦ぐ」につながります。「兄弟はたとえ同じ垣根のうちで争っても、いざ外部から一家を侮るようなものが現れると、互に協心戮力して防御するものだ」という意味。内輪揉めの意味である「鬩牆」(げきしょう)の熟語があります。この流れで全部覚えるべし。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

profile

char

Author:char
不惑以上知命未満のリーマンbloggerです。
言葉には過敏でありたい。
漢検受検履歴
2006.3  漢字学習スタート
2006.6  2級合格
2006.10 準1級合格
2007.10 1級合格①
2009.2 1級合格②

calendar
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
recent entry
recent comment
category
monthly archive
search form
RSS links
links
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。