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絮い「松」の六連発と似非「長恨歌」の二首=柏木如亭「訳注聯珠詩格」


 柏木如亭の「訳註聯珠詩格」シリーズの六回目。白文と如亭訳のコラボレーション、ユニゾンを続けます。まずは、「野外」と題した「四字畳字相貫く格」で絶句の四句すべてに同じ字が重ねて用いられている形式の詩から。詠み人は蔡節斎(南宋の詩人。躬耕して仕えなかったという)という詩人です。

 松裏安亭松作門

 看書松下坐松根

 閑来又倚松陰睡

 セキレキ松声ジョウ夢魂

 如亭訳

 松のうちにちややをこしらへて松を門にした

 松の根にこしかけて松の下で書をよんでゐる

 又あるときは松のこかげによりかかつて睡ると

 さつさつの松の声が夢魂(ゆめ)をとりまいてゐる

 ■ここは第四句目の一点勝負で。。。「セキレキ」が浮かぶかどうか?ともに1級配当です。ヒントの如亭訳は「さつさつ」。これは基本の「颯颯」(サッサツ)ですね。そして、「ジョウ」は1級配当の一字。如亭訳は「とりまいてゐる」。風に揺れる松の音がさっさっ。。と夢の中で聞こえてくる。

 正解は「淅瀝」と「繞」。これっきゃない。「淅瀝」は、風や落ち葉などの寂しげな音の形容です。類義語は「蕭条」(ショウジョウ)、「淒涼」(セイリョウ)。「淅」は「よな・げる」とも訓む。「淅淅」(セキセキ)。「瀝」は「したた・る」「そそ・ぐ」とも訓む。「瀝青」(レキセイ)、「瀝胆」(レキタン)、「瀝滴」(レキテキ)、「瀝瀝」(レキレキ)、「瀝血」(レッケツ)。

 「繞」は「めぐ・る」「めぐ・らす」「まと・う」「まつ・わる」と訓む。音読みも「ニョウ」(呉音)がある。熟語には「繞環」(ジョウカン)、「繞梁」(ジョウリョウ)、「繞繚」(ジョウリョウ)=「繚繞」(リョウジョウ)。和語で「にょう」は「延繞」(えんにょう)、「之繞」(しんにょう)などで用いる。

 ■ 「亭」は、如亭は「茶屋」と訳しているが、いわゆる「四阿」(あずまや)のこと。「閑来」は「平時、何事もないとき」という意ですが、如亭は「またあるときは」と大胆訳を試みている。

 「松」が六回も登場。少し絮い感じもしなくはない。「松」に何の思いを罩めているのでしょうか?何だかよく分からない詩ですな。「聯珠詩格」に選ばれた詩は必ずしも内容が優秀というわけではないようです。形式が当て嵌まっているかどうかも重要なポイントですね。

 次は「崔魯」(サイロ、晩唐の詩人)の「華清宮」(カセイキュウ)。これは「第三句畳字の格」。この「華清宮」というのは、唐の玄宗皇帝が長安の東郊にある驪山の麓に造営した温泉。かの楊貴妃を連れて何度も湯浴みをした場所で有名です。

 草遮カイトウ絶メイラン

 雲樹深々ヘキデン寒

 明月自来還自去

 更無人倚玉ランカン

 如亭訳。

 ぐるぐるとのぼるいしだんも草が遮(しげ)りみゆきも絶(たえはて)り

 雲樹(たいぼく)が深々(たちこん)でけっこうなごてんも寒(ものすご)い

 明月(おつきさま)ばかりが自(ひとりで)に来たり還(また)自でに去(かへ)つたりして

 玉のてすりに人の倚(よつかゝ)つてゐるといふことは更無(さつぱりない)


 ■「カイトウ」のヒントは「ぐるぐるとのぼるいしだん」。浮かびますか?同音異義語は「解答」「魁頭」「魁党」「回答」「解党」「会頭」「解凍」「快刀」「怪盗」「快投」。。。あれれ、常用漢字ばかりだ。「魁」は違うけれど、1級配当は全然ないですね。。。「カイ」は常用で「トウ」は1級配当です。「ぐるぐる」が「カイ」、「いしだん」が「トウ」。いしだん。。。トウ。。。浮かんでほすぃ。。

 正解は「回磴」。「いしばし」「いしざか」とも訓みますが、ちょっと難しいですね。「磴桟」(トウサン)、「磴道」(トウドウ)、「石磴」(セキトウ)などの熟語があります。

 ■「メイラン」のヒントは「みゆき」。。。ん?「幸」?ちがうねぇ、「美由紀」?はぁ?「美幸」「美雪」「深雪」「未幸」「ミユキ」。。。女の名前ばかりじゃん。「みゆき」ちゃんとは、付き合ったことはありませ~ん。じゃあ、「みゆき」って何でしょうね?「メイラン」ですよ。「滅入らん」じゃぁな~い。これ、難しいですね。やはり「みゆき」をどう読み解くかがポイントですね。「華清宮」のことを詠んでいる詩。玄宗皇帝が楊貴妃を連れて温泉に入りに来た。。。石段には草が生い茂り、「みゆき」も無くなった。。。皇帝の訪問。。。いささか無理矢理ですが、皇帝の外出は「御幸」(ギョコウ)、「行幸」(ギョウコウ)。これは「みゆき」とも言いますよね。そこから「メイラン」を想起できないか?いや~、知らないと解けんかな。

 正解は「鳴鑾」。これは天子の車につける鈴のこと、転じて、天子の乗り物、さらには、天子が車に乗って出かけることを意味する。「鳴鸞」とも書く。「鑾」は「すず」とも訓む。「鑾輿」(ランヨ)、「鑾蹕」(ランヒツ)、「鑾駕」(ランガ)、「鑾輅」(ランラク)。少し難しいかな。

 ■「ヘキデン」はノーヒントで。当て嵌まる熟語はこれしかないでしょう。如亭訳は「けっこうなごてん」。

 正解は「碧殿」。碧玉で飾られた立派な御殿。「碧」は「みどり」。これを用いた1級、準1級配当漢字がらみの熟語は「碧澗」(ヘキカン)、「碧霄」(ヘキショウ)、「碧紗」(ヘキサ)、「碧蘚」(ヘキセン)、「碧潭」(ヘキタン)、「碧梧」(ヘキゴ)、「碧鱗」(ヘキリン)。

 ■「ランカン」もノーヒントで。如亭訳は「てすり」。もう簡単。。。ただし、1級配当を用いて。。。

 正解は「闌干」。「闌檻」「欄干」「欄檻」も正解と言えましょうが、1級配当が入っていない「欄干」はアウト。「闌」は「てすり」「たけなわ」「おそ・い」「た・ける」とも訓む。「闌夜」(ランヤ=よふけ)、「闌入」(ランニュウ)、「闌単」(ランタン)、「闌散」「闌珊」(以上ランサン)などを押さえましょう。そう言えばものぐさ坊主の作った「ワイラン」で出ましたね。。。

 この詩は白居易の「長恨歌」ばりに、楊貴妃と玄宗皇帝の思い出話を詠じたものでしょう。安禄山の乱で楊貴妃を手に掛けた玄宗皇帝。。。祭のあと。。そう、いつか祭は終わるのです。でも、自然だけは、季節だけは、人間のしたことに関わらずに、巡るのです。時は運るのです。あの「華清宮」も思い出だけを残して朽ち果てていくのです。。。

 本日は以上です。次回は少し趣向を変えて、突然ですが「菜根譚」を少しだけ咬んでみようと思います。脈絡はないけれど、予告です。。。気紛れ散人ですのでご了解を。。。

 【今日の漢検1級配当漢字】

 蔡、躬、倚、颯、淅瀝、繞、蕭、淒、繚、絮、罩、嵌、崔、驪、磴、鑾、鸞、蹕、輅、霄、蘚、潭、闌、檻、譚、咬
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char

Author:char
不惑以上知命未満のリーマンbloggerです。
言葉には過敏でありたい。
漢検受検履歴
2006.3  漢字学習スタート
2006.6  2級合格
2006.10 準1級合格
2007.10 1級合格①
2009.2 1級合格②

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