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「病閹」は危険な病気、「佇思停機」もマスターせよ…「〔芥川龍之介作品補遺シリーズ(from 「mixi日記」 of char)〕⑤

 芥川転載補遺シリーズの第5回は、本日3回目の更新です。


 【蜃気楼】


 ●帆布(ハンプ)

 「だって死骸を水葬する時には帆布か何かに包むだけだろう?」

 →船の帆やテントなどに用いる織物。綿糸または麻糸製。カンバス。

 ●《木履》(ぽっくり)

 「あたしの木履の鈴が鳴るでしょう。――」

 →女児用の下駄。台は前部を薄く中後方を厚く前のめりに作る。台の底をえぐり、後ろ側を円くする。多くは黒または朱の漆を塗る。「ぼっくり」とも。

 

【歯車】


 ●膠(にかわ)

 「僕は膠臭いココアを飲みながら、人げのないカッフェの中を見まわした。」

 →動物の皮・骨などを煮込んで冷やして固めたもの。ゼラチン。接着剤用。1級配当で「コウ」が音読み。「膠化」(コウカ)、「膠着」(コウチャク)、「膠漆の交わり」(コウシツのまじわり)は基本ですね。「膠原病」(コウゲンビョウ)、「膠灰」(コウハイ)=セメント、「膠柱」(コウチュウ)、「膠泥」(コウデイ)。

 ●省線電車(ショウセンデンシャ)

 「僕等の乗った省線電車は幸いにも汽車ほどこんでいなかった。」

 →鉄道省の経営した汽車または電車。国鉄時代の国電。

 ●尭舜(ギョウシュン)

 「僕は機械的にしゃべゃているうちにだんだん病的な破壊慾を感じ、堯舜を架空の人物にしたのは勿論、『春秋』の著者もずっと後の漢代の人だったことを話し出した。」

 →中国の伝説で、徳を持って天下を治めた古代の理想的帝王として並称される。尭風舜雨(ギョウフウシュンウ)と、太平の世に喻える。

 ●轢死(レキシ)

 「僕の姉の夫はその日の午後、東京から余り離れていない或田舎に轢死していた。」

 →列車や自動車などにひかれて死ぬこと。「轢」は1級配当で「きし・る」「ひ・く」が訓読み。「軋轢」(アツレキ)、「陵轢」(リョウレキ)、「胡漢陵轢」(コカンリョウレキ)、「轢殺」(レキサツ)、「轢断」(レキダン)、「轢き逃げ」(ひきにげ)。

 ●凝灰岩(ギョウカイガン)

 「凝灰岩を四角に組んだ窓は雪のある庭に向っていた。」

 →火山砕屑岩の一種。灰白色または灰黒色の岩石で、質はもろいが加工しやすく建築・土木の石材に用いる。

 ●巌畳(ガンジョウ)

 「それ等のアフォリズムは僕の気もちをいつか鉄のように巌畳にし出した。」

 →頑丈。岩乗。人や物が堅固で強いこと。

 ●切子硝子(きりこガラス)

 「同時に又右の松林はひっそりと枝をかわしたまま、丁度細かい切子硝子を透かして見るようになりはじめた。」

 →カットグラス。彫琢または切り込み細工を施したクリスタル・ガラス。


 【ある阿呆の一生】


 ●《襤褸》(ぼろ)

 「花を盛った桜は彼の目には一列の襤褸のように憂欝だった。」

 →使い古した布片。古くなって破れた衣服。古くなっていたんでいるもの。熟字訓ですが「ランル」とも読み、「つづれ」では既出です。1級配当の「襤」と一字でも「ぼろ」。

 ●呎(フィート)

 「幹は五十呎より百呎の高さに至り、葉は傘、扇、帽等に用いらる。」

 →長さの単位で、約30.5センチメートル。1級配当の国字。

 ●《柘榴》(ざくろ)

 「彼は部屋の戸口に立ち、柘榴の花のさいた月明りの中に薄汚い支那人が何人か、麻雀戯をしているのを眺めていた。」

 →ザクロ科の落葉小高木。「石榴」とも書く。初夏に鮮紅色の花をつけ、球形の果実を結ぶ。果実は熟すと不規則に裂ける。種皮は食用。「安石榴」とも書く。「柘」は1級配当で「シャ」「やまぐわ」。《柘植》(つげ)、「桑柘」(ソウシャ)。「榴」も1級配当で「リュウ」。柘榴のことを指し、「榴火」(リュウカ)、「石榴」(セキリュウ)、「柘榴」(セキリュウ)、「榴霰弾」(リュウサンダン)=ざくろだま。

 ●一宇(イチウ)

 「すると黄ばんだ麦の向うに羅馬カトリツク教の伽藍が一宇、いつの間にか円屋根を現し出した。……」

 →一棟の家。一軒。「八紘一宇」(ハッコウイチウ)は「屋根を同じくする一つの国。日本のこと」。

 ●酸鼻(サンビ)

 「が、死骸の重なり重った池の前に立って見ると、『酸鼻』と云う言葉も感覚的に決して誇張でないことを発見した。」

 →甚だしくいたみかなしむこと。むごたらしくいたましいさま。

 ●宦官(カンガン)

 「若しこの詩人の足あとを辿る多少の力を持つていたらば、――彼はデイヴァンを読み了り、恐しい感動の静まった後、しみじみ生活的宦官に生まれた彼自身を軽蔑せずにはいられなかった。」

 →中国で去勢されて後宮に仕えた男の役人。「宦」は1級配当で「つか・える」が訓読み。「宦界」(カンカイ)、「宦事」(カンジ)、「閹宦」(エンカン)、「仕宦」(シカン)、「游宦」「遊宦」(以上ユウカン)、「宦游」「宦遊」(以上カンユウ)。

 ●老獪(ロウカイ)

 「殊に『新生』に至っては、――彼は『新生』の主人公ほど老獪な偽善者に出会ったことはなかった。」

 →長い経験から世間慣れして、ずる賢いこと。「獪」は1級配当で「わるがしこ・い」が訓読み。「獪猾」(カイカツ)、「狡獪」(コウカイ)。「猾」「狡」「黠」も仲間です。

 ●涎(よだれ)

 「彼はペンを執る手も震え出した。のみならず涎さえ流れ出した。」

 →口から流れ落ちる粘り気のある唾液。「牛の涎」「涎を垂らす」。1級配当で「セン、エン、ゼン」が音読みですが、「ゼン」が一般的。「垂涎」(スイゼン)、「流涎」(リュウゼン)。

 

【老年】


 ●見台(ケンダイ)

 「鮮やかな緋の色が、三味線の皮にも、ひく人の手にも、七宝に花菱の紋が抉ってある、華奢な桐の見台にも、あたたかく反射しているのである。」

 →書物をのせて読むための台。支柱に板を斜めにとりつけ、その板の上に本をのせる。邦楽の譜面をのせるのにも用いる。

 ●点者(テンジャ)、微禄(ビロク)

 「…歌沢の師匠もやれば俳諧の点者もやると云う具合に、それからそれへと微禄して一しきりは三度のものにも事をかく始末だったが、…」

 →連歌、俳諧、川柳などで、評点してその優劣を判定する人。

 →おちぶれること。零落。


 【ひょっとこ】


 ●吉原かぶり(よしわらかぶり)、米屋かぶり(こめやかぶり)

 「中にいる人間は、皆酔っているらしい。幕の間から、お揃いの手拭を、吉原かぶりにしたり、米屋かぶりにしたりした人たちが『一本、二本』と拳をうっているのが見える。」

 →いずれも手ぬぐいなどの被り方。吉原かぶりは、「手ぬぐいを二つに折って頭にのせ、背の両端を髷(まげ)の後ろで結ぶかぶり方。江戸では吉原かぶり、上方では大尽(だいじん)かぶり・大臣(おとど)かぶり。 遊里での芸人や新内流しなどが用いた」。米屋かぶりは、「頭を後ろからすっぽり包み、両端を額から後ろに回して留める。米屋・搗き屋(つきや)などが、精米作業中に頭に糠(ぬか)がかかるのを 防ぐためにする手ぬぐいのかぶり方。 米屋冠(こめやかむり)」。

 ●喜撰(キセン)

 「悪く云えば、出たらめで、善く云えば喜撰でも踊られるより、嫌味がないと云うだけである。」

 →歌舞伎舞踊。清元・長唄掛け合い。


 【孤独地獄】


 ●《綽号》(あだな)

 「物故してから、もう彼是五十年になるが、生前一時は今紀文と綽号された事があるから、今でも名だけは聞いている人があるかも知れない。」

 →当て字。通常は諢名、綽名、渾名。「綽」は1級配当で「シャク」「ゆる・やか」。「余裕綽綽」(ヨシュウシャクシャク)、「綽約」(シャクヤク)、「綽然」(シャクゼン)、「綽約」(シャクヤク)。

 ●拵え(こしらえ)

 「黄八丈の着物に黒羽二重の紋付と云う拵えで人には医者だと号している。――それと偶然近づきになった。」

 →装い。飾り。「拵」は1級配当で「ソン」が音読みながら熟語はなし。

 ●手合(てあい)

 「前に書くのを忘れたが、その時津藤には芸者が一人に幇間が一人ついていた。この手合は津藤にあやまらせて、それを黙って見ているわけには行かない。」

 →連中。なかま。たぐい。同類。多くは軽んじていう。

 ●疎忽(ソコツ)

 「そこで幇間が、津藤に代って、その客に疎忽の詑をした。そうしてその間に、津藤は芸者をつれて、自分の座敷へ帰って来た。」

 →通常は「粗忽」と書く。かるはずみ。粗相。軽率。

 ●懸守(かけまもり)

 「――大兵肥満で、容貌の醜かった津藤は、五分月代に銀鎖の懸守と云う姿で、平素は好んでめくら縞の着物に白木の三尺をしめていたと云う男である。」

 →ひもで首に掛けて胸に垂らす、主に筒形の守り袋。平安時代後、女形が用いた。

 ●口吻(コウフン)

 「そう云う口吻を洩らして見たが、別にこれと云って打明ける事もないらしい。」

 →口ぶり。話しぶり。言い方。「吻」は1級配当で「くちびる」「くちさき」が訓読み。「吻合」(フンゴウ)=ぴったりあうこと、対義語は齟齬(ソゴ)。「接吻」(セップン)。

 ●疏抄(ソショウ)

 「唯その日禅超は、錦木の許へ金剛経の疏抄を一冊忘れて行った。」

 →「疏」は準1級配当で「むずかしい文句を説き分けて意味をとおした解説」という意味。それを書き写したもの。

 

【父】


 ●被服廠(ヒフクショウ)

 「その退屈な空の下で、高架鉄道を汽車が通る。被服廠へ通う荷馬車が通る。」

 →衣服を裁断する廠(しごとば)。この場合は、旧陸軍の軍服を作る工場のこと。「廠」は準1級配当で「しごとば」。「工厰」(コウショウ)、「廠舎」(ショウシャ)。

 ●佇立(チョリツ)

 「紫の打紐のついた懐中時計を右の掌の上にのせながら、依然としてポンプの如く時間表の前に佇立しているのである……」

 →じっとその場にたたずむこと。しばらくの間立っていること。「佇」は1級配当で「たたず・む」が訓読み。「佇思停機」(チョシテイキ)、「延佇」(エンチョ)。


 【虱】


 ●《麻疹》(はしか)、罹る(かかる)

 「だから、佃組と山岸組とを問わず、船中にいる侍と云う侍の体は、悉く虱に食われた痕で、まるで麻疹にでも罹ったように、胸と云わず腹と云わず、一面に赤く腫れ上がっていた。」

 →幼児に多い急性の感染症。発熱し全身に発疹が出て口中に白い斑点ができる。一度かかると一生の免疫ができる。「マシン」とも読む。「疹」は1級配当で「シン」。「湿疹」(シッシン)、「発疹」(ハッシン)、「風疹」(フウシン)。

 →病気になる。「罹」は1級配当で「リ」。「罹病」(リビョウ)、「罹患」(リカン)、「罹災」(リサイ)。


 【酒虫】


 ●《地面》(じびた)

 「不思議な事に、その中の一人は、素裸で、仰向けに地面へ寝ころんでいる。」

 →地面を俗っぽく言う当て字。じべた。

 ●象貌(ショウボウ)、奇古(キコ)

 「もう一人は、黄色い法衣を着て、耳に小さな青銅の環をさげた、一見、象貌の奇古な沙門である。」

 →姿かたち。身なり。

 →風変わりで古めかしい。

 ●葱嶺(ソウレイ)

 「皮膚の色が並はずれて黒い上に、髪や鬚の縮れている所を見ると、どうも葱嶺の西からでも来た人間らしい。」

 →中央アジア、パミール高原の中国名。山中に生える一種の葱に由来する名称という。古代から中国と西方諸国とを結ぶ重要な交通路。

 ●亭午(テイゴ)

 「日は正に、亭午であろう。犬も午睡をしているせいか、吠える声一つ聞えない。」

 →まひる。正午。

 ●炎靄(エンアイ)

 「それから、その末に見える空も、一面に、熱くるしく、炎靄をただよわせて、雲の峰さえもこの旱に、肩息をついているのかと、疑われる。」

 →炎に撼らぐようなもや。「靄」は1級配当で「アイ」「もや」。「靄然」(アイゼン)、「山靄」(サンアイ)、「暮靄」(ボアイ)。和気靄靄(ワキアイアイ)。

 ●病閹(ビョウエン)

 「たとえば、張三の黒内障が、忽、快方に向ったとか、李四の病閹が、即座に平癒したとか、殆、奇蹟に近い噂が盛に行われているのである。」

 →性病。「閹」は1級配当で「エン」。「閹人」(エンジン)、「閹尹」(エンイン)、「閹宦」(エンカン)=宦官。「閹割」(エンカツ)、「閹寺」(エンジ)、「閹豎」(エンジュ)、「閹然」(エンゼン)。

 ●信施(シンゼ)

 「まず、物貰いですな。信施でもしてくれと云うのでしょう。」

 →信者が三宝(仏・法・僧)に捧げる布施。信者の寄進する施物。「シンセ」とも。

 ●貧道(ヒンドウ)

 「貧道は、あなたの病を癒しに来たのです。」

 →僧侶の謙称。

 ●聊(いささか)

 「それが、今ふと口を出す気になったのは、全く酒虫と云う語の興味に動かされたからで、酒の好きな先生は、これを聞くと、自分の腹の中にも、酒虫がいはしないかと、聊、不安になって来たのである。」

 →わずかに。すこし。「些か」とも。1級配当で「リョウ」が音読み。「聊爾」(リョウジ)、「聊頼」(リョウライ)、「聊浪」(リョウロウ)、「無聊」(ブリョウ)。

 ●《眩暈》(めまい)

 「そこで、首を動かして、汗の進路を変えようとすると、その途端に、はげしく眩暈がしそうな気がしたので、残念ながら、この計画も亦、見合せる事にした。」

 →目が回ること。目が眩んで仆れそうになること。「眩」は1級配当で「ゲン」「くら・む」「く・れる」「くるめ・く」「めまい」「まぶ・しい」「まばゆ・い」と訓読みが非常に多く、要注意です。「眩暈」(ゲンウン)、「眩惑」(ゲンワク)、「眩人」(ゲンジン)、「眩耀」(ゲンヨウ)、「震眩」(シンゲン)。

 ●俤(おもかげ)

 「今年で、酒虫を吐いてから、三年になるが、往年の丸丸と肥っていた俤は、何処にもない。」

 →面影。その人だと見て分かるようす。1級配当の国字。人と、その弟が似ていることからできた字。

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char

Author:char
不惑以上知命未満のリーマンbloggerです。
言葉には過敏でありたい。
漢検受検履歴
2006.3  漢字学習スタート
2006.6  2級合格
2006.10 準1級合格
2007.10 1級合格①
2009.2 1級合格②

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