スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「蠟」の旁と書き順もマスターしようよ〔芥川龍之介作品学習シリーズ(from 「mixi日記」 of char)〕25


 【尼提】


 ●厠溷(シコン)

 「舎衛城は人口の多い都である。が、城の面積は人口の多い割に広くはない。従ってまた厠溷も多くはない。」

 →かわや、便所のこと。中国語では「厠(ツアオー)」が一般的だが、「厠牀」(シショウ)、「茅房」、「茅司」、「茅坑」、「行来処」、「衛生間」、「浄坊」、「洗漱間」、「便池」、「東司」とさまざまな名称がある。公共トイレは「洗手間」「盥洗所」。

 「厠」は既出(2008年3月15日付「厠上」)、「溷」は1級配当で「コン」で、これも「かわや」。何度か取り上げています。「にご・る」「みだ・れる」とも訓む。「溷淆」「溷肴」(以上、コンコウ)、「溷錯」(コンサク)=以上、入り乱れること。「溷厠(廁)」(コンシ)=「溷軒」(コンケン)はトイレ。「溷濁」(コンダク)=世の中の乱れ。「沐浴抒溷」(モクヨクジョコン=斎戒沐浴)、「墜茵落溷」(ツイインラクコン)は既出。

 ●白毫(ビャクゴウ)

 「沙門はちょっと見たところでは当り前の人と変りはない。が、その眉間の白毫や青紺色の目を知っているものには確かに祇園精舎にいる釈迦如来に違いなかったからである。」

 →仏の眉間にある右巻きの白い渦毛のかたまり。伸ばせば長さ1丈5尺=約4・5メートルもあるという。三十二相の一つで、完全な知慧を具えていることをあらわし、光を放ち、無量の国を照らし、仏の慈悲の光りを表わすと言われている。また、阿弥陀仏の白毫を観ずると、三十二相八十種好の相好が感得できるとされる。「白毫相」(ビャクゴウソウ)、「眉間白毫相」とも呼ぶ。
 仏像では、白い渦巻きとして画かれたものや、もとから付いてない像や、水晶を塡めているものもある。現在では光り物の突起物を付けるのが主流。ガラス、アクリル、パール等も用いられています。
 「毫」は既出(2008年2月14日付「寸毫」)。

 ●安庠(アンショウ)

 「如来はいつか彼の向うに威厳のある微笑を浮べたまま、安庠とこちらへ歩いている。」

 →これは難語。通常、「庠」は1級配当で「ショウ」「まなびや」と訓み、学校のことを意味します。「孟子」には「夏には校といい、殷には序といい、周には庠という」とあり、「庠序」(ショウジョ)、「庠校」(ショウコウ)は古代中国の学校のこと。行政区域ごとに、「邑庠」(ユウショウ)、「郡庠」(グンショウ)などもありました。
 しかし、本文の場合に学校の意味は関係ありませんね。「安詳」(禅定=心を鎮めて一つの対象に集中すること=より出づる時は、やすらかに、落ち着いて、真理をつまびらかにしていること)だとするならば、「ゆっくりと、ゆったりと、安らかな様子で」くらいの意味でしょうか。

 ●《喫驚》(びっくり)

 「けれども尼提はこう思った時、また如来の向うから歩いて来るのに喫驚した。」

 →予想外のことで一瞬おどろく。《吃驚》の方が一般的でしょうか。「キッキョウ」の音読みもあり。「喫」には「こうむる」「身に受ける」という意味があります。「喫虧」(キッキ=損をする、してやられる)。
 「おどろく」は「顫く」「懼く」「慫く」「怛く」「咢く」「駭く」「愕く」。

 ●偈(ゲ)

 「それから、――それから如来の偈を説いたことは経文に書いてある通りである。」

 →お経・論などの中に、韻文の形で、仏徳を賛嘆して教理を述べたもの。また、それに準じて、仏教の真理を詩の形で述べたもの。偈頌(ゲジュ)ともいう。「偈」は1級配当で「ケツ・ケイ・ゲ」。gaathaa(sanskrit)。「偈陀」(ゲダ)」「伽陀」(カダ)とも音写する。

 ●慇懃(インギン)

 「尼提はこう言う長者の言葉にいよいよ慇懃に返事をした。」

 →ねんごろなこと。礼儀正しくてていねいなようす。ただし、「~を通ず」だと「えっちすること」。ともに1級配当で「慇」は「イン」、「懃」は「キン・コン」「ねんご・ろ」。「慇慇」(インイン)、「慇懃無礼」(インギンブレイ=丁寧すぎて却って無礼になること。上辺は礼儀正しくても内実は尊大で相手を見下していること)、「懃恪」(キンカク)、「懃懃」(キンキン)、「懃懇」(キンコン)。したごごろを取った「殷勤」(インギン)もある。

 ●初果(ショカ)

 「しかし尼提は経文によれば、一心に聴法をつづけた後、ついに初果を得たと言うことである。」

 →仏教の声聞乗(しょうもんじょう)に説く、「四果」の修道階位の最初の位。須陀洹(シュダオン)果のこと。

 

【死後】


 ●《枳殻》(からたち)

 「誰かこれを持っていたことがある、――僕はそんなことを思い出しながら、いつか書斎でも何でもない、枳殻垣に沿った道を歩いていた。」

 →「唐橘」の略。ミカン科の落葉低木。中国原産で、通常は生垣として栽培する。本文も枳殻垣となっている。高さ約2メートルで、よく分枝し、とげが多い。樹皮は緑色。葉は複葉、葉柄に翼をもつ。春の杪、葉に先立ち、白色五花弁の小花を咲かせる。北原白秋作詞の「からたちの花」の歌詞は「からたちの花が咲いたよ 白い白い花が咲いたよ からたちのとげはいたいよ 青い青い針のとげだよ からたちは畑(はた)の垣根よ いつもいつもとおる道だよ」。秋に芳香のある実が黄熟するが食べられない。未熟の実をほし健胃剤とする。臭橘とも。きこく。《枸橘》、「枸」とも。「枳」は1級配当漢字で「キ」。これ一字でも「からたち」です。要チェック。「枳棘」(キキョク)→〔枳棘は鸞鳳の棲む所に非ず〕(キキョクはランポウのすむところにあらず=優れた賢人は低い地位に甘んじるべきではない)、「荊枳」(ケイキ)、「枳枸・枳句」(キコウ)、「枳実」(キジツ)。

 ●嚥む(のむ)、瓦(グラム)

 「僕は一つには睡眠を得るために、また一つには病的に良心の昂進するのを避けるために〇・五瓦のアダリン錠を嚥み、昏々とした眠りに沈んでしまった。……」

 →つかえた物をのみくだす。のみこむ。「嚥」は1級配当で「エン」が音読み。「嚥下」(エンカ、エンゲ)=「咽下」(エンカ、エンゲ)。「のど」の意味もあって、「嚥喉」(エンコウ)=「咽喉」(インコウ)。「のむ」はほかに、「む」「餐む」「咽む」「吞む」「喫む」。

 →仏語grammeの音訳。メートル法の重さの単位で「一瓦」は「一瓩」(キログラム)の1000分の1。「一瓱」は「1ミリグラム」、「一瓸」は「1ヘクトグラム」、「一瓧」は「1デカグラム」、「一甅」は「1センチグラム」。容積の「立」は「リットル」で「竏」「竓」「竡」「竍」「竰」。長さの「米」は「メートル」で「粁」「粍」「糎」「籵」「粨」。


 【年末の一日】


 ●後架(コウカ)

 「僕は思い切って起き上り、一まず後架へ小便をしに行った。」

 →禅寺で、僧堂の後ろにかけ渡して設けた洗面所。その側に便所があり、転じて便所の意になっている。トイレ。溷廁。廁溷。かわや。

 ●赤(あかさび)

 「小みちは要冬青の生け垣や赤のふいた鉄柵の中に大小の墓を並べていた。が、いくら先へ行っても、先生のお墓は見当らなかった。」

 →鉄などに生ずる赤色のさび。「」は配当外(JIS第3水準9339)で「シュウ」「さび」「さ・びる」。さびでは「銹」「錆」の方が普通ですね。


 【カルメン】


 ●石竹(セキチク)

 「わずかに僕が覚えているのは胸に挿していた石竹だけである。イイナの愛を失ったために首を縊って死んだと云うのはあの晩の『あの人』ではなかったであろうか?……」

 →ナデシコ科の多年草。中国原産。高さ約30センチメートル。茎・葉は粉白色を帯び、葉は対生して細い。5月ごろ、茎頂や枝端に直径3センチメートルほどの五花弁を付ける。花色は紅・白など園芸品種が多く、観賞用に栽培。からなでしこ。


 【春の夜】


 ●《加答児》(カタル)

 「僕は当時僕の弟の転地先の宿屋の二階に大腸加答児を起して横になっていた。」

 →オランダ語のcatarrhe。粘膜の漿液滲出と粘液分泌が強い炎症の一型。(宇田川玄随の「西説内科撰要」に出てくる語)「腸加答児」(チョウカタル)、「胃加答児」(イカタル)、「肺加答児」(ハイカタル)、「気管支加答児」(キカンシカタル)。


 【悠々荘】


 ●瀟洒(ショウシャ)

 「それは一つには家自身のいかにも瀟洒としているためだった。」

 →すっきりとしてあかぬけたさま。俗を離れてあっさりしているさま。「瀟灑」とも書く。ともに1級配当漢字で、「瀟」は「ショウ」、「瀟瀟」(ショウショウ→風雨瀟瀟たり)、「瀟湘八景」(ショウショウハッケイ)、「瀟然」(ショウゼン)、「瀟碧」(ショウヘキ=竹の別名)。「洒」は、「シャ・サイ・セイ」「すす・ぐ」「あら・う」。「洒心」(サイシン)、「洒掃」(サイソウ)、「洒濯」(サイタク)、「洒然」(セイゼン・シャゼン・サイゼン)、「洒脱」(シャダツ)、「洒落」(シャラク)、「洒落臭い」(シャラくさい)、「洒洒落落」(シャシャラクラク)、「軽妙洒脱」(ケイミョウシャダツ)、《洒落》(しゃれ)、「澣洒」(カンシャ)。また、「灑」も1級配当で「サイ・シャ」「そそ・ぐ」。「灑掃」(サイソウ)、「清灑」(セイサイ)。

 ●蝋引(ろうびき)

 「僕等はいつか窓かけを下した硝子窓の前に佇んでいた。窓かけは、もちろん蝋引だった。」

 →つやだしや防水などメンテナンスのため、蝋を表面に引くこと。蝋引き加工したもの。「窓かけ」はカーテンのこと。糸や生地に蝋を塗ることで、光沢が出るほか、強度など耐性が向上する効果が得られる。「蝋」は準1級配当で「」の異体字。「蝋燭」(ロウソク)、「白蝋」(ハクロウ)、「蝋梅」(ロウバイ)、「蝋涙」(ロウルイ)。
 折角ですから艱しい方を覚えましょう。つくりが艱しいですが、「く+く+く」の下に「口」で、その中が「メ」。その下は、「」(ねずみ)の下と同じで7画で書くのですが、分かりますか?左の縦棒を跳ね(1)、ちょんちょん(2、3)、真ん中の縦棒を跳ね(4)、ちょんちょん(5、6)、右の曲線を跳ねる(7)。
 このつくりの漢字はほかに、「」「」。「旧」(キュウロウ)・「客」(キャクロウ)は「昨年の12月のこと」。「接」(ロウセツ)は「半田付け」。

 ●《沃度》(ヨオド)

 「が、ちょうど南に向いた硝子窓の框の上には薬壜が二本並んでいた。 『ははあ、沃度剤を使っていたな。――』  Sさんは僕等をふり返って言った。」

 →沃素(ヨウソ)のこと。独語Jod。ヨード。「紫に似た」の意のギリシア語iodesに由来している。
 ハロゲン族元素の一種。元素記号 I。原子番号五三、原子量一二六・九。光沢ある黒紫色の鱗片状結晶。昇華しやすく、蒸気は紫色で有毒。水にはわずかしか溶けないが、ヨウ化カリウム水溶液には溶け、褐色となる。多くの有機溶媒に溶け、アルコール溶液は褐色、四塩化炭素は紫色、ベンゼン溶液は赤色を呈す。澱粉(デンプン)と反応して青紫色を呈する(ヨウ素デンプン反応)。脊椎動物の甲状腺ホルモン中に含まれ、不可欠元素。海藻などに有機化合物として濃縮されて含まれている。ヨードチンキ(沃度丁幾)・ルゴール液、その他の医薬品の原料となる。《沃度丁幾》(ヨードチンキ)は覚えましょう。
 「沃」は準1級配当で「ヨク・オウ」「そそ・ぐ」。この場合は、独語のJodに音を当てただけで意味の連関はありません。「沃饒」(ヨクジョウ)、「沃土」(ヨクド)、「沃野」(ヨクヤ)、「沃灌」(ヨッカン)、「啓沃」(ケイヨク)、「饒沃」(ジョウヨク)、「肥沃」(ヒヨク)、「豊沃」(ホウヨク)。《沃懸》地(いかけじ=蒔絵の技法)。


 【彼】


 ●五郎八茶碗(ゴロハチヂャワン)

 「僕は番茶の渋のついた五郎八茶碗を手にしたまま、勝手口の外を塞いだ煉瓦塀の苔を眺めていた。」

 →やや大きめで安物の茶漬け茶碗。一膳飯用で径13.5センチくらい。江戸時代初期に肥前国の陶工である、高原五郎八(一説に、高原五郎七とも)によって造られたとされる。

【彼第二】


 ●《桃花心木》(マホガニー)

 「その部屋のカミンに燃えている火も、火かげの映った桃花心木の椅子も、カミンの上のプラトオン全集も確かに見たことのあるような気がした。」

 →センダン科の常緑広葉樹。散孔材。西インド、中南米(ホンジュラス産が最高級らしい)などで産出し、材は赤黒色で木目が美しく堅牢で水に強いという耐久性を持ちあわせているため、高級家具、彫刻材などに使用される。チーク、ウォールナットと並び世界の三大銘木のひとつ。

 ●砧手(きぬたで)

 「彼女は体こそ痩せていたものの、誰よりも美しい顔をしていた。僕は彼女の顔を見た時、砧手のギヤマンを思い出した。

 →中国の青磁の一種。南宋時代(1127~1279)に龍泉窯でつくられた青磁のうち粉青色の上手のものを日本では砧手と呼んだ。素地は灰白色で、釉肌は粉青色を呼ばれる鮮やかな青緑色をなし、厚く掛けられている。わが国では、中国青磁を大別して、南宋時代のものを「砧青磁」、元・明時代のものを「天竜寺青磁」、明末時代のものを「七官青磁」と呼び分けている。「砧」という名称は、砧形の花入に由来するとされる。重文の青磁鳳凰耳花入「千声」の銘が砧に似た形に由来する」とし、また静嘉堂文庫美術館にある青磁鯱耳花入(千利休、伊達家、岩崎家伝来)の「ひびわれ」を砧を打つ「ひびき」にかけて千利休が名付けたともいう。
 ギヤマンはオランダ語でガラスのこと。

スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

profile

char

Author:char
不惑以上知命未満のリーマンbloggerです。
言葉には過敏でありたい。
漢検受検履歴
2006.3  漢字学習スタート
2006.6  2級合格
2006.10 準1級合格
2007.10 1級合格①
2009.2 1級合格②

calendar
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
recent entry
recent comment
category
monthly archive
search form
RSS links
links
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。