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昔「酌婦」、今「キャバ嬢」…もちトークだけよ〔芥川龍之介作品学習シリーズ(from 「mixi日記」 of char)〕⑲

  

LOS CAPRICHOS(ロス・カプリショス)】


 ●嬉笑(キショウ)

 「笑は量的に分てば微笑哄笑の二種あり。質的に分てば嬉笑嘲笑苦笑の三種あり。……」

 →よろこんでわらうこと。たのしそうに声をあげてわらう。「嬉」は準1級配当で「キ」「うれ・しい」「たの・しい」。「嬉嬉」(キキ)、「嬉戯」(キギ)、「嬉游」「嬉遊」(以上、キユウ)、「娯嬉」(ゴキ)、「春嬉」(シュンキ)、「遊嬉」(ユウキ)、「嬉娯」(キゴ)。笑いの種類は、「哄笑」「嘲笑」「苦笑」「爆笑」「嗤笑」「哂笑」「媚笑」「微笑」。

 ●偖(さて)

 「偖悪魔十二の中のイスカリオテと称うるユダに憑きぬ。」

 →ところで。話頭を転じるときに発する言葉。1級配当で「シャ」が音読み。「扨」「扠」も「さて」。扨措き、扨置き。

 ●清湯燕窩(セイトウエンカ)、清湯鴒蛋(セイトウレイタン)

 「私なんぞは話していても、自然と唾気がたまって来ますぜ。そりや清湯燕窩だとか清湯鴒蛋だとかとは、比べものにも何にもなりませんや。」

 →ツバメの巣のスープ。中国語読みでは「チンタン・イェンウオ」。「チンタン」は「スープ」。「イェンウオ」は「ツバメの巣」。

 →こちらは見当たりません。「鴒」は1級配当で「鶺鴒」(セキレイ)で使用。「蛋」は1級配当で「タン」「(鳥の)たまご」。「蛋白」(タンパク)などで用いる。文字通りなら、セキレイの卵を使ったスープなんでしょうが、そんなものがあるのかどうか?中国語サイトで料理の一種であることだけは分かります。「大碗:月影灵芝 (白鴒蛋扒豆苗)」って何でしょうか?

 ●《尨犬》(むくいぬ)

 「その時白楊の並木の根がたに、尿をしやんだ一頭の犬は、これも其処へ来かかった、仲間の尨犬に話しかけた。」

 →むく毛の犬。毛の多い犬。むく。「尨」は1級配当で「ボウ」、これ一字で「むくいぬ」。《尨毛》(むくげ)は「やわらかで薄く短く生えた毛。にこげ。また、獣のふさふさと長く垂れた毛。むく」。「尨眉皓髪」(ボウビコウハツ)、「尨大」(ボウダイ)、「尨然」(ボウゼン)。
 ちなみに《白楊》は「ポプラ」「はこやなぎ」。

 ●桿(さお)

 「もう一人は風見の鶏だった。これはびっくりしたように、ぎいぎい桿の上に啼きまわった。」

 →欄干、手すり。「桿」は「杆」の異体字で1級配当。「カン」「てこ」「さお・ぼう」。「槓桿」(コウカン)、「槍桿」(ソウカン)、「欄桿」(ランカン)、「桿菌」(カンキン=棒状や円筒形の細菌の総称。結核菌・赤痢菌・大腸菌・ビフィズス菌・炭疽菌・破傷風菌など。バチルス)⇔球菌(キュウキン=ブドウ球菌・レンサ球菌・四連球菌)。

 ●《羊歯》(しだ)

 「崖に臨んだ岩の隙には、一株の羊歯が茂っている。」

 →熟字訓。《歯朶》とも書く。シダ植物のうち、シダ類と呼ばれる最も進化し、大形の葉を付ける類の総称。種類が多く約1万種類ある。茎は多く地中にあり、そこから葉と根を生ずる。葉は、単葉または4~5回羽状複葉。

 ●咄嗟(トッサ)

 「トムはその度に身をかわせては、咄嗟に蜘蛛の腹へ一撃を加える。……」

 →ちょっとの間。たちどころ。瞬間。いずれも1級配当で「咄」は2月6日付「咄」で紹介済み。「嗟」は「サ」「なげ・く」「ああ」。「嗟嘆」「嗟歎」(サタン)、「怨嗟」(エンサ)、「咨嗟」(シサ→瞻望咨嗟センボウシサ)、「歎嗟、嘆嗟」(タンサ)、〔嗟来之食〕(サライノシ=無礼な態度で与えられた食物、「さあ来て食らえ」と施し感たっぷりの態度)→出典礼記「檀弓下」。

 ●毿々(サンサン)

 「軽快な蹄の音、花々しい槍の閃き、それから毒竜の炎の中に、毿々と靡いた兜の乱れ毛、……」

 →髪の毛の長く乱れる態さま。また、物の細長くたれるさま。柳の枝などの細長く垂れる貌。孟浩然の詩に「岸毿々楊柳垂」、また、漱石の「明暗」(百五十五)に「蒼白い血色は、帽子の下から左右に垂れている、幾カ月となく刈り込まない毿々たる髪の毛と共に、彼の視覚を冒した。」とあります。「毿」は配当外(JIS第3水準8645)で「サン・ソン」。

 ●《夫藍》(サフラン)

 「時々古い舟べりを打っては、蒼白い火花を迸らせる、夫藍色の浪の高さ。」

 →アヤメ科の多年草。南ヨーロッパ原産。秋に線形の葉を出し、薄紫色の六弁花をつける。赤い三本の花柱を乾燥させ、薬用、香料、黄色染料とする。《番紅花》「バンコウカ」は漢名で生薬の名称。

 ▼おまけ(御馴染みのハーブ、香辛料を訓みましょう、漢字で書きましょう。「ほぼ日刊イトイ新聞・声に出して読めない日本語」から引用)。
「オレガノ」 花薄荷 (はなはっか)       
「ガーリック」 大蒜 (にんにく)
「カルダモン」 小荳蒄 (しょうずく)
「キャラウェイ」 姫茴香 (ひめういきょう)
「クミン」 馬芹 (うまぜり)
「クローブ」(既出)丁子、丁字 (ちょうじ)
「コリアンダー」 胡づい子 (こづいし)・香菜(しゃんつぁい、こうさい)
「シナモン」 肉桂桂皮 (にっき、にっけい)(けいひ)
「ジンジャー」 生姜 (しょうが)
「スターアニス」 八角 (はっかく)・大茴香(だいういきょう)
「ターメリック」 宇金、欝金 (うこん)
「チリペッパー」 唐辛子 (とうがらし)
「ディル」 蒔蘿 (じいら)
「ナツメグ」 肉荳蒄 (にくずく)
「バジル」 目箒 (めぼうき)
「パプリカ」 甘唐辛子 (あまとうがらし)
「フェンネル」 茴香 (ういきょう)
「ペッパー」 胡椒 (こしょう)
「ローズマリー」 万年蝋 (まんねんろう)・迷迭香(めいてつこう)
「ローレル」 月桂樹の葉 (げっけいじゅのは)


 【長崎小品】


 ●更緲(サラサ)→更紗

 「薄暗き硝子戸棚の中。絵画、陶器、唐皮、更緲、牙彫、鋳金等種々の異国関係史料、処狭きまでに置き並べたるを見る。」

 →2月24日付「更紗」(サラサ)と同義、いや、これは「紗」の誤りでしょう。芥川が間違えたのか誤植かは不明。「目」が余計です。ちなみに、「緲」は1級配当で「ビョウ」「かすか」「はるか」。「縹緲」(ヒョウビョウ=縹渺、縹眇)。

 ●《甲比丹》(カピタン)

 「古伊万里の茶碗に描かれたる甲比丹、(蘭人を顧みつつ)どうしたね? 顔の色も大へん悪いようだが――」

 →江戸時代、東インド会社が日本に置いた商館の最高責任者「商館長」のこと。元はポルトガル語で「仲間の長」という意味があり、日本は初めにポルトガルとの貿易(南蛮貿易)を開始したため、西洋の商館長をポルトガル語の「Capitão(カピタン)」で呼ぶようになった。その後ポルトガルに代わりオランダが貿易の主役になったが、この呼び名は変わらなかった。商館長はオランダ語で「Opperhoofden(オッペルホーフト)」というが、日本では浸透しなかった。甲比丹、甲必丹、加比旦。

 ●氈(かも)

 「硝子絵の窓だの噴水だの薔薇の花だの、壁にかける氈だの、――そんな物は見た事もありますまい。」

 →獣毛で織った敷き物。「かもしか」(ウシ科の哺乳動物。日本特産で山地の岩場にすむ特別天然記念物。ヤギに似て雌雄とも枝の無い角を持つ。カモシシ。ニホンカモシカ)は《氈鹿》と書き、毛皮を毛氈(モウセン=獣毛で織った敷き物)に用いるシカから来ています。《氈瓜》(かもうり)も「とうがん」のことですが、その白い外皮が毛氈に似ていることから。「かもしか」は《羚羊》とも書く。
「氈」は1級配当で「セン」。「けむしろ」(毛席)。毛を蹂みて布状の片と成す。フェルト。「氈案」(センアン=もうせんを敷いた机)、「氈裘」(センキュウ=匈奴人が着る毛織のかわごろも。故に其の君長を──之君という)、「氈幄」(センアク)=「氈帳」(センチョウ=もうせんを張ったとばり=旃帳·氈幕)、「氈屋」(センオク=フェルトを張ったテント状の家)、「氈車」(センシャ=匈奴の乗った車)、「氈毳」(センゼイ=細毛で織った織物。また、其の衣服、則ち夷狄の服)、「氈帽」(センボウ=毛織の帽子)。

 ●涕泣(テイキュウ)

 「蘭人、ああ、何と云う情ない言葉だ!(涕泣す)」

 →涙を流して泣くこと。「涕」は1級配当で「テイ」「なみだ」。「涕涙」(テイルイ)、「涕泗」(テイシ=なみだとはなみず)=「涕洟」(テイシ)、「泣涕」(キュウテイ)、「垂涕」(スイテイ)、「流涕」(リュウテイ)、「涕零」(テイレイ)。「なみだ」はほかに、「洟」「泪」「泗」。
 泣く種類には、「涕泣」「嗚咽」「感泣」「慟哭」「落涙」「号泣」「欷歔」「零涙」「号哭」「泣哭」「痛哭」「哀咽」「感泣」などがあります。

 

【庭】

 ●《四阿》(あずまや)

 「栖鶴軒、洗心亭、――そう云う四阿も残っていた。」

 →四方の柱だけで壁が無く、屋根を四方に葺き下ろした小屋。庭園などの休息所とする。亭(チン)。「シア」と音読みもする。東屋、阿舎とも書く。「阿」は準1級配当で「ア」「おもね・る」。この場合は「ひさし・棟」の意。

 ●附合(つけあい)

 「『山はまだ花の香もあり時鳥、井月。ところどころに滝のほのめく、文室』――そんな附合も残っている。」

 →連歌、俳諧で前句に付ける付句(つけく)を作ること。また、その前句・付句の一組。前句が長句(5・7・5)なら付句は短句(7・7)で、前句が短句なら付句は長句で付ける。本文の場合は、井月の作ったのは長句なので、文室は短句です。

 ●旱り(ひでり)

 「その内に隠居の老人は、或旱りの烈しい夏、脳溢血の為に頓死した。」

 →「旱」は1級配当で「カン」、これ一字で「ひでり」と訓む。長い間雨が降らず、水が枯れてしまうこと。「旱魃」(カンバツ)=干魃、「旱害」(カンガイ)=「旱災」(カンサイ)=「旱殃」(カンオウ)、「旱天」(カンテン)、「旱稲」(カントウ)、「旱路」(カンロ)、「炎旱」(エンカン)、「涸旱」(コカン)、「水旱」(スイカン)、「大旱」(タイカン)、「乾旱」(カンカン=からから)、「旱潦」(カンロウ=ひでりと大雨)。「魃」(1級配当、バツ)も「ひでり」。「ひでりの神」の意味。「男旱」(おとこひでり)と「女旱」(おんなひでり)とでは、どちらが哀れでせうか?

 ●酌婦(シャクフ)

 「翌年は次男が春の末に、養家の金をさらったなり、酌婦と一しょに駈落ちをした。」

 →料理屋や宴会で、三味線などの芸はしないがトークしながらお酌する女性。売春するケースもあったといいます。いまでいうスナックのコンパニオンなんでしょうが、微妙なニュアンスは違う。コンパニオンは軽く明るいタッチがありますが、酌婦はもっと落ち着いたしっとり感の強い淫靡な言葉です。

 ●癆症(ロウショウ)

 「と思ふと雪の降る頃から、今度は当主が煩ひ出した。医者の見立てでは昔の癆症、今の肺病とか云う事だった。」

 →肺結核の古称で「労症」とも書く。類義語は「癆咳」「労咳」(以上、ロウガイ)。「癆」は1級配当で「ロウ」。

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Author:char
不惑以上知命未満のリーマンbloggerです。
言葉には過敏でありたい。
漢検受検履歴
2006.3  漢字学習スタート
2006.6  2級合格
2006.10 準1級合格
2007.10 1級合格①
2009.2 1級合格②

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