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「チロウ」は中々出ないんじゃないぞ!もっと己を「攻く」「攻める」べし=兆民「続一年有半」㉑・完

 

中江兆民の「続一年有半」シリーズの第21回です。竟にオーラスです。621日からスタートした兆民大先生の最後の著作物を問題形式で翫わうシリーズも愈々大団円を邀えました。ほぼ1カ月、、、思ったよりも時間がかかりました。それは兆民先生の語彙が、今際の時にもかかわらず質量共に圧倒的に豊富だったからです。かたや同じ言葉が何度も盛り込まれていることから、いわゆる「兆民語」なるものが我々読者にも多少なりとも感覚的にせよ身に付いたのではないでしょうか。いや、少なくとも抵抗感が薄れたのではないでしょうか。漢学、漢籍に裏打ちされた兆民先生の語彙は、漢検1級で求められる語彙に称っていると確信します。是非とも本番前に再び目を通して、復習することをお勧めいたします。

 

「続一年有半」の最後で、兆民先生が「神の有無、霊魂の滅不滅、世界の有限無限、及び始終ありやなきや、その他無形の意象等、古来学者の聚訟する五、七件を把て意見を述たに過ぎない」と述べています。自身の哲学、いわゆる「ナカエニスム」は孝徳秋水ら弟子が集大成してくれるように託しているのです。こうした漢字学習という形ではあるにせよ、21世紀の現代人が彼の作品を、彼の思想を学び、翫わうことでその一端(ナカエニスムの集大成)をになうことができればハッピーですね。いや、になうだけではいけない。さらに発展させなければ。政治、社会、経済、家庭…現下の日本の危機的状況を克服するヒントが秘されているとすら思うのですが、うまく言葉に言い表せない。。まだまだ精進が足りません。

 

 

 さて、本日は前回の「十七 自省の能」の続きからです。

 

 吾人は則ち言ふ、これは決して未来の裁判を要する所の条件ではない。そもそも自省の一能がイメツして自身の行の善悪を感ぜぬほどの人物は、世界の最も憐れむべき人物である。世人皆爪弾きして憎悪しつつある中に立て己れ独①シャゼンとして自省せぬのは、これは最早人間とは言はれない、②ガンメイなる一肉塊と言はねばならぬ。それ人間の徳行に最も必要なる、即ち人として③キンジュウと区別するに唯一の具たる自省の神火が④ソクメツしてわが法身全く暗黒を成せるが如きは、世界でこれに上㋐す懲罰のあるべきはずがない、精神的に無形の⑤チロウに投ぜられたものといはねばならぬ。自省の明の貴尚すべきはかくの如きものである。

 

 ㋐〔・す〕→音読みは〔ユ〕・「踰月」(ユゲツ)=その月をこして、次の月になる、「踰越」(ユエツ)=自分の本分・職分をこえる・「日月踰邁」(ジツゲツユマイ)=月日がどんどん過ぎること、年老いて死期が近くなること=「日月逾邁」とも、「踰閑」(ユカン)=守るべききまりを守らない

 ①〔 洒 然 〕→意味〔心がさっぱりとしてわだかまりのないさま、全く気にせずそこ吹く風といったさま〕・「」は〔あら・う〕〔そそ・ぐ〕とも訓む・「サイ」の音読みもあり、「洒掃」(サイソウ)=水を蒔き、ほうきではく、「洒濯」(サイタク)=あらいすすぐ

 ②〔 頑 冥 〕→意味〔かたくなで道理にくらい、がんこで愚かなこと〕・「頑迷」(道理をわきまえない)とも似ているので要注意です。「がんめいころう」は〔頑迷固陋〕、「めいがんふれい」は〔冥頑不霊〕、「ころうかぶん」は〔孤陋寡聞

 ③〔 禽 獣 〕→意味〔とりや、けもの〕・「鳥獣」ともいう・「禽息鳥視」(キンソクチョウシ)=いたずらに生活の糧を求めるだけで高い志のないことをたとえる

 ④〔 熄 滅 〕→意味〔ほろびてなくなる、物事が止む・やめる〕・「」は〔や・む〕〔き・える〕とも訓む・「熄火山」(ソッカザン=休火山)

 ⑤〔 地 牢 〕→意味〔地下牢〕・「遅漏」ではない

 

 

 かつ懲罰を以て復讐的のものとしやうとして、ここに以て犯と罰とが相ひふのを重要視するが如きは、尤も⑥ロウケンといはねばならぬ、虫の喰つてる旧思想といはねばならぬ。死刑を廃せんとの傾向正に㋑なる今日において、復讐的刑法を割出しとして哲学の一説と為すが如きは、尤も⑦ビュウレイといはねばならぬ。

 

 ㋑〔さかん〕→音読みは〔イン〕・「殷賑」「殷軫」「殷盛」「殷富」「殷阜」「殷雷」「殷盛」「殷昌」・「おお・い」とも訓む・「あか・い(黒みがかった赤)」との訓みもあるが、この場合の音読みは「アン」→「殷紅」(アンコウ

 ⑥〔 陋 見 〕→意味〔せまくてつまらない意見・考え、自分の意見を謙遜していう言葉〕・「」は〔せま・い〕〔いや・しい〕とも訓む・「陋廬」(ロウロ)=「矮屋」(ワイオク)、「陋賤」(ロウセン)=むさくるしくて下品、「賤陋」(センロウ)とも・「老犬」ではない

 ⑦〔 謬 戻 〕→意味〔あやまって道理にもとる、道理と食い違うこと〕・「」は〔あやま・る〕と訓む、「」は〔もと・る〕

 

 

 (十八)帰納、エンエキ

 

 余は前章で既に推理の一力を論述したが、更に細に論ずれば、推理の方法に自ら二種ありて、一は⑧エンエキで、一は帰納である。

 

 ⑧〔 演 繹 〕→意味〔一般的な原理をおしのばして特殊の事象を導き出すこと、また、そのような考え方〕・対義語は「帰納」・「」は表外訓みで「の・べる」・1級配当の「」は〔たず・ねる〕とも訓む

 

 帰納は箇々の道理を⑨コウキュウし⑩ソウルイして上つて、これら道理を包容する所ろの大理に㋒するをいふのである。エンエキは正にその反対で一の大理を前に置きソウルイして下つて、これが包容する所ろの箇々の道理を㋓するをいふのである。この両事は普通一般のものであつてほとんど知らない者はないのだから、ここにはただその目を挙ぐるだけで最早詳論する必要はあるまいと思ふ。

 

 ㋒〔そかい〕→意味〔水の流れにさからってぐるぐる回りながらのぼること、さかのぼって思い起こすこと〕・「溯」は「遡」・「」は配当外で「川の流れをさかのぼる」

 ㋓〔さいせき〕→意味〔ひろいあつめること〕・「」は配当外で「寄せ集める」

 ⑨〔 攻 究 〕→意味〔突っ込んで研究すること〕・「」は「おさ・める」「みが・く」と表外訓み・「攻学」(コウガク)=学問を研究する、「攻玉」(コウギョク)=智徳をみがくこと、「攻心」(コウシン、こころをおさむ)=心をきたえ徳をみがくこと・「後宮」「惶急」「遑急」「好逑」「好仇」「羔裘」「恒久」「高給」「高級」「購求」「降級」が同音異義語です

 ⑩〔 層 累 〕→意味〔幾重にもかさなること〕・類義語は「層畳」(ソウジョウ)、「層沓」(ソウトウ)・「藻類」「瘦羸」「走塁」ではない

 

 

 第三章 結論

 

 かくして道徳論理と順次論道すべきはずではあるが、元これ組織的に哲学の一書を編するのではない、組織的に一書を編するのは、著者今日の境遇の容るざる所ろである、故に首章より輒ち雑乱を極めて居る。但大体趣旨とする所ろは、神の有無、霊魂の滅不滅、世界の有限無限、及び始終ありやなきや、その他無形の意象等、古来学者の聚訟する五、七件を把て意見を述たに過ぎない。他日幸にその人を得てこの間より一のナカエニスムを組織することがあるならば、著者に取て⑪ホンカイの至りである。

 

 ⑪〔 本 懐 〕→意味〔本来のおもい、宿志、宿願〕

 

 

 兆民先生ありがとう、さようなら。また会う日迄…。。。。

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char

Author:char
不惑以上知命未満のリーマンbloggerです。
言葉には過敏でありたい。
漢検受検履歴
2006.3  漢字学習スタート
2006.6  2級合格
2006.10 準1級合格
2007.10 1級合格①
2009.2 1級合格②

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