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「ニッカン」って日刊?日韓?肉感?いえ…=兆民「続一年有半」⑱

 中江兆民の「続一年有半」シリーズの第18回です。

 本日は前回の「(十三)神の意象」の続きからです。

 

 

 元来吾人がその軀体の作用たる精神を、体外に発出するは何如してである、取も直さず五官と号する窓を経て発出するではないか。もし目がなければ何に由りて色彩に関する影象を得やう、耳がなければ何に由りて音韻に関する影象を得やう、①シュウコウの影象、②シミの影象、③ケンゼイ、寒熱等④フキに関する影象、皆この窓より惹き入るるのである。吾人もし仮りに㋐たる⑤コントン的肉塊であつたならば、何の影象も得るに由なくて、乃ち吾人の記性は常に㋑として無一物であらう、海に浮ぶ海月と一般だらう、何の先天的の意象もあるべき道理はない。

 

 ㋐〔たいぜん〕→意味〔あとに退いてすなおにしたがうさま、退然〕・「」は配当外で「くずす、くずれる、おちる」という意味・「瘁」(タイスイ)=物が崩れてこわれる=「頽瘁」(タイスイ)

 ㋑〔りょうぜん〕→意味〔ぼんやりしたさま〕・「」は配当外で「かどばった、いかつい」

 ①〔 臭 香 〕→意味〔におい〕・「衆口」「羞紅」「就航」「修好」「醜行」「周航」ではない

 ②〔 旨 味 〕→意味〔あじ、うまみ〕・「蠹魚」「紙魚」ではない

 ③〔 堅 脆 〕→意味〔かたいこととやわらかいこと〕・「」は〔もろ・い〕とも訓む・「脆味」ゼイミ)は「歯切れが良くて美味である」・「脆美香味」(ゼイビコウミ)・「香美脆味」(コウビゼイミ)は「豪華でぜいたくなすばらしい食事のこと」・「県税」ではない

 ④〔 膚 肌 〕→意味〔はだ〕・「棋譜」「寄付」「亀趺」「欺誣」「鬼斧」「貴腐」ではない・

 ⑤〔 混 沌 〕→意味〔形がはっきりしない様子、雑然として区別がつかないさま〕・「渾沌」(コントン)、「混淪・渾淪」(コンリン)とも書く

 

 プラトンは実質を不完全とし、意象を完全とし、意象なるものは吾人前世にあつた時、即ちいまだ罪を獲て娑婆に⑥タクせられざる前、即ち常に神の⑦シッカに侍して、完美⑧ホウスイの物のみ見聞した時の遺物として今なほこれを有して居るので、即ち意象なるものはこの世の実物を形写するではなくて、前世の完美ホウスイの物を影写して出来たのであると言つた。而して世の哲学者皆プラトンを以て病狂者と為さずして、高遠無比の大哲学者と為してこれを崇拝するとはむしろ笑止の極ではないか。

 

 ⑥〔    〕→意味〔官職を落として地方に流すこと、罪を責めて罰すること〕・「謫落」(タクラク)=罰して辺境に左遷すること、「謫徙」(タクシ)=とがめを受けて官位を落とされ地方に左遷されること、「謫居」(タッキョ)=罪をおかしその罰として遠方へ流されること、また、そこでの侘び住まいのこと

 ⑦〔 膝 下 〕→意味〔ひざもと、主君・親などのそば近く〕・「膝癢搔背」(シツヨウソウハイ)=ひざがかゆいのに背中をかく、見当違いのことをするたとえ

 ⑧〔 豊 粋 〕→意味〔豊かで立派なこと〕・辞書にはない兆民語・「豊瘁」「烽燧」「烹炊」「放水」「豊水」ではない・ちょっと難しいですね…

 

 以上論ずる所ろに由れば、意象の系図知るべきである。実物に関するものは無論のこと、即ち無形で殊に実物とは何の交渉もなきかの如く思はれるものでも、その始めは必ず五官の窓から吾人の精神を誘発し⑨カンコウ(カンキョウ)し来る所の外物が、先づこれが模型となり、ケンレンし、変化し、絪縕し、化醇して影象となり、記性中で若干時月を経る中に、また変じて純然抽象的となりてここに以て意象を作成するのである、しかれば意象の作成には記性最も与りて力ありといはねばならぬ。

 

 ⑨〔 感 興 〕→意味〔物事に興味を覚えること〕・ルビは「カンコウ」と振られていますが、辞書には「カンキョウ」で載っていました、どっちでもいいのでしょうかね?どっちしろ「観光」「環境」ではない

 

 (十四)記 憶

 

 記性または記憶は精神の一方面で、総て五官の窓から入り来る外物の絵画、即ち影象を蓄へてこれを消化し、これを⑩ソシャクし、これを整列し、新旧を別ち各々歳月日時を附して、他日の用に備ふる能力である。記性の強弱は或点までは吾人人類⑪ケングの別を為す財料の重なるものとなつて居る。彼れ白痴者病狂者は多くは記性の完全ならざる徴候を見はして居る。ハツクスレー、リツトレーの属がその記性中に⑫チクゾウした意象の数は、凡そいくばく千万億であつたらう。而して田舎の翁媼の如きはその有する所ろの影象たる、米麦その他の物類に過ぎないのである。その優劣果して如何である、記性中の意象の多少は、あたかも商家⑬コチュウ品物の多少もて貧富を別つと一般である。

 

 ⑩〔 咀 嚼 〕→意味〔良くかんで消化すること、物事や文章などの意味をよく考えて味わうこと〕・「」も「」も「か・む」

 ⑪〔 賢 愚 〕→意味〔かしこいこととおろかなこと、賢者と愚者〕

 ⑫〔 蓄 蔵 〕→意味〔たくわえしまっておくこと〕

 ⑬〔 庫 中 〕→意味〔くらの中〕・これはひっかっけ問題で「壺中」ではない・「壺中天」(コチュウのテン)は押さえて…

 

 記性はまた夢と密接の関係を有して居る。夢なるものは記性中にある意象を引出して、現にその意象の源頭たる実物に接するが如く自信するのである。即ち死だ父母または友人に係る影象を引来つて、その夢の間はあたかも直ちにその生時に父母に逢ひ友人に逢ふが如くに信じて、決して死人としてこれを遇せぬのが例である。

 

 また脳神経⑭キョウケンの時は、多くは遠い過去の事、即ち幼時の事を夢みるので、⑮ニッカン遭遇した所ろの事柄は、殊にこれが誘因と為るに過ぎないのである。乃ち場所の如きでも、多くは童子の時⑯チョウユウした処とか幼時居住した家とかを夢みることが多くある。これに反して脳神経の疲労した時は、直ちに近事(時カ)の事を近事として夢みるのである。これは神経過敏になつて日常遭遇する所ろの事物でも、深く神経を動かしてここに至ると見ゆるのである。

 

 ⑭〔 強 健 〕→意味〔がっちりして健康であること、強壮〕・「驕蹇」「矯虔」「狂狷」「恭虔」「強権」「狂犬」「強肩」ではない

 ⑮〔 日 間 〕→意味〔ふだん、ちかごろ、このごろ〕・「日刊」「日韓」「肉感」ではない

 ⑯〔 釣 游(遊) 〕→意味〔釣りをしてあそぶこと〕・「長揖」ではない
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Author:char
不惑以上知命未満のリーマンbloggerです。
言葉には過敏でありたい。
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2006.3  漢字学習スタート
2006.6  2級合格
2006.10 準1級合格
2007.10 1級合格①
2009.2 1級合格②

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