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「ハイダツ」は今や基本の1級熟語、「ハイハツ」「ハイラク」「ヨウハイ」も書けてね=兆民「続一年有半」⑯

中江兆民の「続一年有半」シリーズの16回目です。

 

 (十)(再び)主観、客観

 

 繰返して言ふ、世の中に純然主観的のものも実に寡い、純然客観的のものも実に寡い、万物皆客主相映じて、両鏡の①センエイなきが如くである。

 

 ①〔 繊 翳 〕→意味〔空のわずかなかげり、世の中の心配事のたとえの意もある〕・「」は〔ほそ・い〕〔こま・かい〕と表外訓み・「」は〔かげ・る〕〔かげ・り〕〔かざ・す〕〔かざ・し〕とも訓む・「翳薈」(エイワイ)=「草木が茂って葉がおおいかぶさり状況が判然とし難い状態」・「尖鋭」「鮮鋭」「船影」ではない

 

 釈迦老子も初年の間は、専ら天下人心の妄念妄想を②イッセンし、根本的にその自説を蒔き付けやうとして、諸行無常とか、唯此一事余二即非真とか、都て世界万物を一無に帰せしめて、ただ心のみを有したやうだが、これも実はやはり方便であつた。而してその最後の考は、遂に万物と我れと、共にこれが世界大経済中の具と為したる如くに見ゆる。故にこの点よりいへば、釈迦も頻りに主観説を主張した後客観説を取りて、両造相調和せしめて始て真乗門を打出したと言ても良い。

 

 ②〔 一 洗 〕→意味〔一気に洗い流すこと〕・「一線」「一閃」「一戦」「一銭」「一選」などの同音異義語と区別できるように訓練しましょう・兆民語

 

 耶蘇はこの辺の事には何も言て居ないやうだ。それもそのはず、耶蘇は一無害の長者、一多情多血の狂信者で、③クドン氏のやうな博学の哲学者ではなかつたのである。ルナンの耶蘇の伝は真を得たものだらうと思ふが、一の極て無邪気の、極て感情に富だ人物、いはば男性のジャンヌダルクとも見るべきであると言て居る。かくの如き人物に、主観の客観のとやかましき議論は固より待つべきでない。

 

 ③〔 瞿 曇 〕→意味〔釈迦のこと〕・「」は〔み・る〕〔おそ・れる〕とも訓む・「瞿麦」は熟字訓で〔なでしこ〕〔クバク〕とも・「瞿然」(クゼン)=「目を見開いて驚くさま、びっくりして顔色を変えるさま」

 

 

 (十一)意 象

 

 それから諸種の意象であるが、草木禽獣といへる如き一切吾人の五官に触るべきものは、その記憶に上りて意象と為るには、固より五官を経て来るに相違ない。これは議論も何もない、ただ不正とか、義不義とか、仁とか善とか、諸種無形の意象に関しては、例の宗旨家及び宗旨混同の哲学家は皆五官を排斥して、乃ち五官の捕捉に繋るが如き人寰臭き意象とは違ひ、人生先天的の意象である、神が吾人の精神に印してあるといふ塩梅に、勿体らしく論じて居る。而して最後に神といへる意象の如きは、およそ意象中の最も高尚なるもので、到底物の一性を感ずるに止まりたる、汚れたる血肉に成れる五官の如きものの関与すべきでなく、吾人人類が生れながら有して居る意象である云々。

 

 かく論じて、その意には挺然高く人間塵埃の表に出でて、一切土臭き臭気を④ハイダツしたる考へであるが、何ぞ知らんこれ正にその極て⑤ソンショウする所ろの神に附与するに、人間の情欲を以てするもので、前後矛盾自家撞着の為たるを暴露して居るのだ。第一血肉が汚らわしいの、無形の物が高尚なの、塵埃の、土臭のと、これ正に吾人人類中での言事である、否な吾人人類中でも不学無術なる人物中での言事である、試に理化学の目から見よ、血でも膿でも、㋐でも尿でも、七色⑥サンゼンたる宝玉⑦キンシュウと、何処に美悪の別がある、小野の小町と⑧ヒヒザルと、㋑那辺に⑨ケンシュウの差がある。憐むべし公らの精神は半ば⑩フカイした軀体より噴出する所の⑪リンカで、正に臭気紛々として居るのだ、これはこれ清浄なる⑫シンカでなく、㋒腌脂極まる⑬ヨッカである。共に意象の事を語るに足らぬが故に、謹で下文に垂示するのを聴け。

 

 ㋐〔くそ〕→音読みは〔〕・類義語は〔〕・「屎尿」は〔しにょう〕

 ㋑〔どこ〕(宛字)→音読みなら〔なへん〕・通常は「何処」「何所」と書く

 ㋒〔えんじ〕→意味〔塩漬けにした肉の脂、この場合は肉欲に塗れきたないもののたとえ〕・「腌」は配当外で「肉を塩漬けにすること」

 ④〔 擺 脱 〕→意味〔古い習慣などをおしのけて抜け出すこと〕・いまや「」は読めるのはもちろんのこと、書けなければ成らない1級配当漢字でしょう・訓読みは〔ひら・く〕〔・るう〕・「擺撥」(ハイハツ)=「払いのけ、振り捨てること。また、ほうっておいて相手にしないこと」、「擺落」(ハイラク)=「払い落とすこと」、「遥擺」(ヨウハイ)=「肩を左右にゆすっていばるさま」

 ⑤〔 尊 尚 〕→意味〔尊敬してたっとぶこと〕・「尊称」「損傷」ではない

 ⑥〔 燦(粲) 然 〕→意味〔あざやかに輝くさま〕・類義語は〔燦燦・粲粲・燦爛・粲爛〕・「」は「あざ・やか」「きら・めく」と訓む

 ⑦〔 錦 繍 〕→意味〔にしきのぬいとりのある絹織物、美しくて豪華なものの形容〕・四字熟語に「綾羅錦繍」(リョウラキンシュウ)がある

 ⑧〔 狒々猿 〕→意味〔オナガザル科の哺乳類〕

 ⑨〔 姸 醜 〕→意味〔うつくしいこととみにくいこと、好ましいことと憎らしいこと〕・類義語は〔妍 蚩〕(ケンシ)・「」は〔うつく・しい〕と訓む・「妍和」(ケンワ)は「景色などが美しくて和めるさま」

 ⑩〔 腐 壊 〕→意味〔ものがくさりこわれ、崩れること〕・「不快」「傅会」「付会」ではない・「腐渣」(フサ)=「おから」・「腐鼠」(フソ)=「くさったネズミ、取るに足らない賤しい者のたとえ」

 ⑪〔 燐 火 〕→意味〔墓地などで燃えてつらなるリンに青い火、おにび、きつねび〕

 ⑫〔 神 火 〕→意味〔神聖なるものを火にたとえた言葉〕

 ⑬〔 欲 火 〕→意味〔はげしい欲情を火にたとえた言葉〕

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2006.3  漢字学習スタート
2006.6  2級合格
2006.10 準1級合格
2007.10 1級合格①
2009.2 1級合格②

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